政策を実現したり、社会や経済の諸問題を解決し、国民の安心と生活の向上を図るため法律がつくられます。
ここでは、法律が成立するまでの流れを紹介しましょう。
法律の基となる法律案を提出できるのは、国会議員(衆議院議員、参議院議員、両院の委員会等)と内閣です。
法律案の作成に当たっては、政策を実現する手段として法律をつくることが適当か、憲法に適合しているか、他の法制度と調和がとれるかなど、多角的に検討され、法律独特の様式や用語を用いて条文の形式で作成されます。
法律案は、国会の会期中に提出することができます。国会議員が法律案を提出する場合は自身の所属する議院の議長に、内閣が法律案を提出する場合は内閣総理大臣から衆議院または参議院どちらか一方の議院の議長に提出します。
国会の審議は、最初に法律案が提出された議院からはじまります。
法律案を受け取った議長は、まず、その内容にふさわしい委員会を選んで法律案の審査を担当させます(これを付託といいます)。
委員会は、法律案について詳しく専門的に審査した後、採決を行い委員会として結論を出します。
委員会の審査が終わった法律案は、次に本会議で審議されます。
本会議では、委員会での審査結果を踏まえ、議員全員で採決を行い、議院としての最終的な意思を決定します。
最初の議院の審議が終わった法律案は、もう一方の議院に送られ、同じように委員会の審査、本会議の審議が行われます。
このように、法律案は、衆議院と参議院の両院で別々に審議され、原則として両院の意思(議決)が一致すると法律として成立します。
法律案は、審議の過程で修正されたり、否決されたりすることもあります。また、常に両院の意思が一致するとは限りませんので、憲法では、衆議院の出席議員の3分の2以上の多数による再議決や両院協議会の制度を定めています。
成立した法律は、天皇によって公布され、官報に掲載され国民に知らされます。
法律が実際の社会で運用がはじまることを施行といいますが、通常、国民への周知の観点から公布後一定期間をおいて施行されています(ただし、公布の日から施行されるものもあります)。