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参議院のあらまし

「代表質問の在り方について」外一項目の答申

参議院制度改革検討会報告書

 本検討会は、議長からの諮問を受け、「代表質問の在り方」及び「通常選挙後の調査会」について検討を行ったので、経過及び結果について別紙のとおり報告する。

 平成十年六月十六日

参議院制度改革検討会座長 佐々木 満

 参議院議長 斎藤十朗 殿


 本検討会は、議長からの諮問を受け、本年二月二十六日に設置されて以来、「代表質問の在り方」及び「通常選挙後の調査会」について鋭意検討を進めてきた。この間、「通常選挙後の調査会」に関して、国際問題に関する調査会長林田悠紀夫君、国民生活・経済に関する調査会長鶴岡洋君、行財政機構及び行政監察に関する調査会長井上孝君から意見の聴取を行うなど、検討会においては六回にわたり、また、各会派の委員からなるワーキンググループにおいては五回にわたり熱心かつ慎重な検討の結果、「代表質問の在り方」については意見を集約するに至らず、「通常選挙後の調査会」については意見の一致を見たので、次のとおり議長に答申する。

一 代表質問の在り方について

 参議院改革の一環として、参議院における「代表質問」の基本的性格を再検討し、参議院として特色ある審議を行い得るよう、改善のための方策について検討を進めてきたところであるが、意見を集約するに至らなかった。検討の過程における主な意見は次のとおりである。

1 「代表質問」の在り方について

  •  「代表質問」は、基本的には、議院内閣制の下で各会派が政府の政治姿勢、政策との相違を明確にするために行われるもので、第一回国会以来形成されてきた合意に基づくこれまでの方法を基本にすべきである。
  •  参議院では、本院議員の専門性及び個性を十分いかし、質疑時間を細分化して「代表質問」を行うことにより、国民に分かりやすい焦点のはっきりしたものとすることが望ましい。
  •  専門的議論は委員会で行うべきで委員会審査の活性化こそが必要である。
  •  あらかじめテーマを決めて課題別に「代表質問」を行ってはどうか。
  •  「代表質問」においては各会派がその意見を表明してはどうか。
  •  質疑者の数は、必ずしも各会派一人に限られるものではないが、おのずから「代表」にふさわしい人数(一~三人)であるべきである。
  •  議院内閣制下においては、与党は「代表質問」を行う必要はないのではないか。
  •  与野党の質疑時間の比率は、以前の野党に配慮した範囲(与党の時間は野党の時間を超えない等)に戻すべきである。
  •  同一会派の質疑者が複数ある場合の質疑順序については、二人目以降の質疑は会派一巡後に行うべきである。
  •  上記については、会派ごとに連続して質疑を行うべきである。

2 小会派の「代表質問」について

  •  所属議員が十人未満の小会派の「代表質問」は、常会に限って五人以上の会派に認められていることを除き、現状では認められていないが、小会派の発言権を尊重するため、五人未満の小会派にも配慮し、「代表質問」の機会を認めてはどうか。
  •  小会派の発言は各委員会で配慮すべき問題である。
  •  三人以上の会派にも「代表質問」を認めることができることとしてはどうか。

3 「再質問」の活用等について

  •  「代表質問」を活性化し、緊張感のあるものとするため、参議院規則第百十条に規定されている再質疑の制度を活用することが望ましい。
  •  本会議では原則として文書の朗読を禁止する旨定めている参議院規則第百三条の趣旨がいかされるよう検討し、併せて政府側にも協力を求めるべきである。

4 その他

  •  本院での「代表質問」が衆議院における「代表質問」の論議を踏まえて行うことができるよう、両院において「代表質問」の日程を協議してはどうか。
     なお、「代表質問の在り方」と密接な関係にある「政府演説」に関しても、次のような意見があった。
  •  政府四演説の内容が相互に重複している点も少なくないので、内閣総理大臣の演説のみ(予算が提出されている場合には大蔵大臣の演説を加える)にとどめてはどうか。
  •  その時々の緊急重要課題について所管大臣の演説を加えてはどうか。
  •  「政府演説」の改善方につき政府に要請してはどうか。

二 通常選挙後の調査会について

 調査会は、六年という参議院議員の任期に着目し、国政の基本的事項に関して長期的かつ総合的な調査を行い、それに基づき政策提言等を行う目的で、昭和六十一年七月に創設されたものである。その後四期十二年間にわたって、参議院独自の機関として特色ある活動を積み重ねてきた調査会は、参議院改革の大きな成果の一つである。

 調査会のこれまでの経過及び実績にかんがみ、来る通常選挙後は、次のとおり調査会を設置し、併せて調査会の組織や運営等の改善に努めるべきであるとの意見で一致した。

  1. 調査会の数、名称及び委員数について
     調査会の数は三とする。
     調査会の名称は、国際問題と国民生活・経済の二つの枠組みを継続し、今後の社会においては高齢者と若者、男性と女性、健常者と障害者などの共生問題が重要と考えられるので共生社会を加え、次のとおりとする。
      ○国際問題に関する調査会
      ○国民生活・経済に関する調査会
      ○共生社会に関する調査会
     調査会の委員数は、いずれも二十五人とする。
  2. 調査会の組織、運営等に関し改善すべき事項について
    (1)  調査会の理事及び委員の在任期間
     中長期的視点から継続的に活動を行う調査会の特性を考慮し、調査会長はもとより、調査会の理事及び委員についても三年間継続して在任できるよう、各会派において十分配慮するものとする。
    (2)  調査会の運営
     調査会は、調査の成果を議員立法として具体化することに積極的に取り組むものとする。
    (3)  その他
     調査会のより一層の充実のため、客員調査員を含めた調査会のスタッフの強化並びに予算措置についても配慮するものとする。

議院制度改革検討会      (会派)
  座長     佐々木  満(自民)
      委員     片山 虎之助(自民)
      同      鴻池  祥肇(自民)
      同      斎藤  文夫(自民)
      同      齊藤   勁(民主)
      同      平田  健二(民主)
      同      猪熊  重二(公明)
      同      谷本   巍(社民)
      同      吉岡  吉典(共産)
      同      戸田  邦司(自由)
      同      佐藤  道夫(二院)
      オブザーバー 奥村  展三(さき)
      同      山口  哲夫(新社)
      同      山崎   力(改ク)