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参議院の動き

参議院70周年記念論文表彰式

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 日本の教育

大阪府  関西学院千里国際中等部 3年

八代 英咲

「もし私が本当に国会議員になったとしたら、私はまずなにを変えるだろう」と私は考えるところから始めました。お友達は憲法の話や他の国との今後の国交の在り方などについて話をしていましたが私にはそれらについてはよくわかりませんでした。私は5才から14才までの9年間をイギリスで過ごしました。そのため、日本のことはよく知りません。しかし、日本の学校に通いはじめて気が付いたことがあります。それは日本の教育とイギリスの教育の違いです。そして私はそれを日本の教育の欠点、問題点だと感じました。それは2つあります。

まず1つ目は、日本の言語教育の遅れです。現在の日本の大学生の大半は英語をしゃべることができません。中学1年生から高校3年生までの、計6年間も英語を習っているにもかかわらず、しゃべることができません。私はイギリスではスペイン語とドイツ語を習っていました。そして先生がいつも私たちに言っていたのは言語は知っていてもしゃべることができなければ意味がないということです。むこうでの言語の授業で最初に習ったのは、「I think」、「私は思う」の表現の仕方でした。これにより私たちは自分の考えを相手に伝えることができます。一方、日本の中学校1年生の教科書でまず最初に教えるのはこのフレーズです。

「This is a pen.」

つまり、「これはペンです。」の表現の仕方です。ここで私には疑問があります。このフレーズはいったいいつ使うのでしょう。私はいままでに2、3回程しか使ったことがありません。2、3回程しか使わないフレーズをなぜ一番最初に教えるのでしょうか。私は考えました。そしてたどりついた答えは、日本での言語教育はしゃべられるようになることを目的としていないということでした。あのフレーズは使う場面は少ないですが、文法は正しいです。試験などで「is」の部分などをわざと抜かし、試験問題にすることが簡単にできる文章です。日本ではしゃべられるようにではなく、試験で点数がとれるようになる言語教育しかしていないということを感じました。たくさんの英語教師が、英語をしゃべることができなくても英語を教えることができているということも、このことをより説得力があるものにしています。

2つ目の問題点は日本での異常な程の暗記教育です。これは私が今、一番苦しんでいることです。私は今まで、暗記をすることを試験に求められたことはありませんでした。イギリスでの社会の試験は環境問題についてどう考えるかなどの私の意見についてを聞いてきました。しかし日本では、年号などの知らなければ答えることのできないことが問われます。暗記教育による利益は記憶力がよくなるということかもしれません。ですが、記憶力というのはそんなに大切なものでしょうか。高校や大学での勉強を終え、社会にでたとたんに自分の意見をもつことが求められます。けれども、学校はそれを教えません。そのような訓練はしません。していないので、それができないというのが今の日本の社会人の大半だと思います。私は思考力の方が大切だと考えます。自分の考えを相手に正確に伝えるというのはとても難しいことです。プレゼンテーションをすることが難しいと感じる人が多いのはこのためです。言葉というのはそこまで堪能ではないのです。自分の考えを堪能ではない言葉で表現することほど大変な作業はありません。しかし学校はそれも教えません。ですが教えているのは将来すごく役にたつわけでもない暗記教育です。これには意味があるのでしょうか。最近ニュースで鎌倉幕府が始まったのは1192ではなく実は1185だと言っていました。変わるかもしれないことを一生懸命に覚えてなにになるのでしょうか。

この2つのことが私が感じたおもな問題点です。英語をしゃべることができるという能力は今後私たちにとって必要不可欠となってきます。難しい文法を知っていても、知るだけでは意味がないのです。これに加え、私にはもう1つ伝えたいことがあります。それはなぜ中国語や韓国語をとりいれないのかということです。私がドイツ語やスペイン語を習っていたのはそれらの国がイギリスに近かったためです。日本にとってそれは中国と韓国です。これから、それらの国との関わりは大きくなると思います。しゃべれるようになることで国と国との間もよくなるかもしれません。そう願っています。

私が国会議員になったのならば、これら2つのことをまっ先に変えます。近い未来これらが現実になる社会を願います。