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参議院の動き

参議院70周年記念論文表彰式

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 子ども準国会議員制度で変える

大阪府  大阪教育大学附属池田中学校 3年

梶  朝香

議会制民主主義をとっている日本の政治において民意を反映させることはとても重要です。では、その反映させるべき民意とはどのようなものなのでしょうか。日本の人口は減少していると言っても、1億2,000万人もの人が日本に住んでいます。それだけの人が集まっていれば、当然、多種多様な考え方が生まれます。その数え切れないほどの考え方の中には両立できないものも数多くあるはずです。そのようにまとめるのが難しい民意をまとめ、よりよい方向に導くためには、新しい発想も必要になります。全く違う視点で捉えることで解決できないと思われていたことが、思いがけず上手くいくこともあるからです。

そこで私が考えたのは子ども準国会議員制度です。子ども国会議員と言っても夏休みなどに行われている、体験イベントではありません。継続的に制度として取り入れるのです。この制度は、小中学生の希望者の中から都道府県単位で「準国会議員」を選び、定期的に子どもの政治に関する意見を聞き、また、子どもの政治に関する質問に国会議員が答えるというものです。小中学生程度の政治もよくわからない子どもの意見を聞いても仕方がない、何のために行うのだ、と思う人も多いと思います。確かに、民意と言って一番はじめに思い浮かぶのは有権者の意見であり、有権者の意見はとても大切です。しかし、選挙権を持たない子どもの意見も大切な民意の1つです。そして、子どもは大人にはない柔軟な考え方を持っています。これが、私が国会議員になったら子ども準国会議員制度を実現したいもっとも大きな理由です。子どもの柔軟な発想がもたらす良いことには次のようなものがあります。子どもは大人がよく考えずに納得してしまう物ごとも、疑問に思い、理由を知りたいと考えます。このことは、日常生活の中で実感する人も多いはずです。私もその場面を見たことがあります。私が家族と買い物に出かけたときのことです。小学校1年生くらいの子どもが、スーパーのレジの横で母親に「どうして消費税ってあるの。」と聞いていました。それに対して母親は「消費税って大事だからだよ。」と答えていました。「大事って何で」とさらに問う子どもへの回答は「大事だから大事。」でした。その子どもは母親が当然のこととして受け入れていたことも疑問に思って質問していたのです。

私はこの視点を子ども準国会議員として制度化することで国政に生かすことが出来ると考えました。国会議員が疑問に思ったこともない部分を子どもが異なる視点で質問することで現在ある制度、新しく始める予定の制度を見直すことが出来るでしょう。

また、子どもが国会に触れることは子どもにとってもとても良いことです。自分の意見を政治に反映させられる機会を持てば、子どもは政治について子どもなりに真剣に考えるようになります。そうして政治への関心を高めていくでしょう。逆に、子どもの疑問にそうだからそう、とばかり答えていてはその子どもは政治に対する批判的意識を失い、政治への関心も次第に失っていってしまいます。子どもは次の世代を担う存在です。政治への関心は高くなくてはなりません。子どもですから、いくら政治への関心が高くても見当違いなことを言うこともあるでしょう。

私は、その子どもの意見の弱点を国会議員の、大人の知識で補うことが出来ると考えます。子どもの意見にはまた、実現が難しいものも多くあるはずです。しかし、それらの実現の難しい意見は実現することが出来れば非常に魅力的なものでもあります。そこでも国会議員が子どもの意見を実現不可能と断じてしまうのではなく、国会議員として培った経験や視点から実現させることでより良い社会を作ることが出来ると考えます。また、このように国会議員の働きを高めることだって出来るのではないしょうか。

そして、この子ども準国会議員制度が実現すれば国会議員も子どもの質問にわかりやすく答えるためにより詳しく現在の制度、これから実施する予定の制度について調べるはずです。そうすれば国会議員の意識も良い方に変わっていくと考えられます。

わかりやすく作られた回答は子どもだけのものではありません。今までよく分からないと政治を遠ざけていた大人も、子ども準国会議員制度を機に改めて政治について学ぶことも出来ます。

これらの4つの理由、子どもの柔軟な発想から政治を見つめ直す、子どもの政治への関心を高める、国会議員の仕事の質をさらに高められる、大人の政治に関する考え方を見直すきっかけとなることから、私は子ども準国会議員制度を提案したいとおもいます。