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参議院の動き

参議院70周年記念論文表彰式

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 足元ではない一歩先を見た政治

長野県  信州大学教育学部附属松本中学校 3年

曽山 耕平

「未来への投資」僕の実施したいことを総括したスローガンです。人間は足元ばかり見て歩いていると転んでしまいます。それと同じく、政治の面でも目下の問題ばかりに囚われ過ぎていると、行く先が閉ざされていってしまうと思います。そこで僕はある程度のデメリットを覚悟で常に上を向き続ける、つまり、未来に向けた政策を提案します。

具体的な内容は、少子化に目を向けると見えてきました。未来の日本を背負っていく担い手そのものがいなければ話が進みません。そもそもなぜ日本では大きく問題視されるほど少子化が進行してしまったのでしょうか。高度経済成長などを経て、日本は現在、先進国の仲間入りを果たしています。その中で、戦時中などは子供をたくさんつくることがほとんど義務と化していたものが、個人の意思が尊重されるようになり、女性が社会に出て活躍する機会も増えました。そうすることにより、結婚や子育てというものが選択肢の1つになっていったように感じます。そして、結婚や出産は後回しにされています。では何故、後回しにされがちなのか。それは結婚、出産することにハードルがある。そう考えます。

1つ目の結婚のハードルについては雇用格差、非正社員の増加による若者の収入の低さが理由に挙げられます。経済力に不安があると一家を養っていく責任を負う自信がなく、結婚に対して奥手にならざるを得ません。

2つ目の出産のハードルは仕事と子育ての両立の難しさです。子育てには多くの時間と労力、経済力を要します。そうなると、削らなくてはならないのは仕事の時間ですが、選択肢の1つでしかない出産は仕事よりも後回しにされがちになってしまうという仕組みになってしまっています。そこから更に第2子の出産に対するハードルも付け加えられます。夫婦1組に対し、子供が2人以上生まれなければ、少子化の減少は食い止めることができません。しかし、子供の教育費は親にとっての相当な負担になっていると僕は思っています。1人を育てていく教育費の余裕はあるけれど、2人分の教育費を負担するとなると生活が苦しくなる。そういう家庭は実際多いのではないでしょうか。どうしても、お金というものは生きる上で必要になってくるので仕方がないのですが、それをどう補っていくのかそのことを考えるのが政治だと考えました。

そこで僕が1つ目に提案したいのが、正社員雇用の推奨です。今の日本の社会の雇用体制として非正社員やアルバイトが増えている傾向にあります。少しでもサービス、製品、商品を安くしたいという企業の意図が働くため、人件費削減をしようと給料を安く抑えられてしまう非正社員やアルバイトの雇用が増加するのは仕方のない事なのかもしれません。しかし、先述のように経済力のない若者が増え、結婚への足踏みとなるばかりか、金の回りが悪くなり、日本全体の不景気へともつながります。そうすると会社の経営が圧迫され、更に非正社員やアルバイトの雇用が増えます。そうなることによりどんどん労働環境が悪化していく負のスパイラルに陥ってしまうのです。非正社員雇用の制限や、正社員雇用割合の最低ラインを設けるなど、正社員雇用の推奨をしていくことでそのスパイラルから抜け出すことができると考えます。

2つ目に提案するのは育児・介護休業法の再改正です。今の法は労働者が申し出ることによって子供が1歳に達するまでの間、育児休業を取ることが可能となっているのですが、申請を必要とするものではなく、半義務化にします。そうすることで、育児休業取得への抵抗感や、偏見を払拭することができると考えるからです。しかし、企業によっても差がありますが育児休業中は給料が出ないところが多くあります。そのため、若い年齢で結婚、出産に踏み切る決断の足かせとなってしまうだけです。なので、企業ごとの査定により、申請者のみ育児休業制度取得の辞退を設けます。半義務化という表現は申請者の取得辞退を考慮したものです。

そして、最後に提案するのは教育機関への公的支出の増加です。日本はGDPに占める教育機関への公的支出が世界の先進国と比較すると大幅に低くなっています。その結果、個人の負担する教育費が増え、子供を設けるハードルを一層高くしているのです。教育は未来の日本を育成していくことそのものだと僕は捉えます。その部分をないがしろにしていては国の発展はあり得ません。国や、地方自治体が教育機関に金を割き予算を立てることでさらに良い日本となっていくと思います。

以上が僕の実施したいことです。

この政策により日本の未来、教育や労働環境など根本から変革していき、豊かな人間性に溢れ、それぞれの能力を最大限に生かすことができ、それにより今よりもさらに発展した国になることを願っています。