1. トップ >
  2. 参議院の動き >
  3. 平成29年の参議院の動き >
  4. 参議院70周年記念論文表彰式

参議院の動き

参議院70周年記念論文表彰式

受賞論文一覧に戻る 


 すべての子どもたちに夢と希望を

大阪府  大阪教育大学附属池田中学校 3年

倉田 結衣

「日本の6人に1人の子どもが貧困状態にある」ということをあるテレビコマーシャルで知った。私も私の周りの友達も普通に恵まれた環境で育っているので、その数字を聞いて驚いた。調べてみると、現在、日本では約16.5%、6人に1人の子どもが貧困状態にあり、その中でも、ひとり親家庭の子どもの貧困率は約54.6%、2人に1人が貧困である。

貧困には絶対的貧困と相対的貧困があり、絶対的貧困は必要最低限の生活水準を維持する食料や生活必需品も購入できない貧困者を指したもので、主に途上国で起きている問題である。他方、日本のような先進国での貧困問題は相対的貧困率をもとに考えられる。相対的貧困率とは、所得の中央値の半分を下回っている人の割合で、その国の所得格差を表している。日本の子どもの相対的貧困率は、1990年半ば頃から上昇傾向にあり、先進国の中でも高い水準にある。どうしてこのような状況になったのだろう。もし私が国会議員になったら、子どもの貧困ができるだけ少ない社会をつくりたいと思う。

日本の子どもの貧困とは具体的にどのような状況であるのか。家庭で朝食を食べられない。給食や修学旅行などの費用が支払えない。塾など習い事に行けず、勉強ができない。高校・大学に進学できない。などの状況が考えられる。また、これらの子どもは学校の友達とも馴染めず孤立することも多いようだ。このような貧しい家庭で育った子どもは学力不足のため就職も不利となり、大人になったとき、生まれ育った家庭と同じように貧しい生活を送らなくてはならない。こうして親から子へと貧困は連鎖する。

子どもの貧困に対して、日本ではどのような取り組みが行われているのか。例えば、子どもの貧困対策に関する法律がある。教育費負担の軽減、生活費や必要な支出などの支援や就労支援などの取り組みがある。しかし、このように様々な取り組みがされているものの、その効果は見られず、就学援助率は上昇し続けており、貧困に苦しむ子どもは増加傾向にある。どうすればいいのだろう。

日本だけでなく、世界でも子どもの貧困が問題となっている国は多くある。その中でイギリスは、この問題について様々な対策をし、約10年間で子どもの貧困率を26%から18%、ひとり親世帯の子どもの貧困率を49%から22%にまで低下させることに成功している。イギリスが具体的にどのような取り組みをしたのかというと、例えば、親が無職か低収入の児童数に応じて学校に補助金を出す「児童特別補助」という制度を作ったり、放課後学習支援や始業前に朝食を出す「朝食クラブ」という取り組みや、子どもがいる低所得世帯などに現金給付するタックスクレジットという制度を作ったりしている。

子どもの貧困や貧困の連鎖が社会問題化する中、日本でも多くの自治体で「子ども食堂」や貧困家庭向けの「学習支援事業」の立ち上げが相次いでおり、より身近な環境の中で食や教育の支援体制が整いつつある。国の方でも給付型奨学金制度を本格的に検討し始めた。根本的な解決になるのか分からないが、少しずつでも良くなっていけばいいと思う。

私が国会議員になって子どもの貧困問題に取り組みたいと思うのは、いかに大変な環境に置かれていても、誰にも相談できず、どうしようもできない子どもたちがかわいそうだからというのもあるが、日本の将来にとってもマイナスだと思うからだ。少子化の時代、少ない人数で国を支えるには一人ひとりが自立して力を高めないといけない。そのためには、家庭の経済状況に関係なく、等しく教育を受けることができて、誰もが夢や希望を描ける社会でないといけないと思う。私が国会議員になったら、子どもの貧困問題解決に取り組み、貧困の連鎖を断ち切って、日本のすべての子どもたちが夢と希望を持てる明るい社会をつくりたい。



《参考文献》

・子供の未来応援プロジェクト
  http://www.kodomohinkon.go.jp/


・NHKオンライン
  http://www.nhk.or.jp/


・公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
  https://cfc.or.jp/


・内閣府
  http://www.cao.go.jp/


・ひみつ基地-Publishers
  https://children.publishers.fm/