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参議院の動き

参議院70周年記念論文表彰式

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 意識を変えて、考えを持って

東京都  板橋区立赤塚第二中学校 2年

大竹 乙葉

私が国会議員になったのなら、地方の活性化を目指したい。最近「ふるさと納税」などの、地方を活性化させようとする試みがよくみられる。また、各メディアでは話題として取り上げられている。そのせいか、私のような中学生は「地方がにぎやかになっているのか、良かったなぁ。」などと、のんきにかまえていた。しかし、本当にそうだろうか。日本中がにぎやかなのだろうか。

私は学校で「過疎、過密」という言葉を習った。地形の問題や、就学、就労のために地元を離れる若者が多いという。それどころか高齢化が進み、人口も減ってきているそうだ。「にぎやか」とは到底言えない。しかしその一方、都心は人口が増え、混み合っている。私は東京生まれ、東京育ちだ。「過密」が当たり前の世界に生きている。数分おきに来る満員電車に、人で溢れた繁華街、24時間営業のスーパーマーケット。全てが私の日常風景だ。だからこそ、授業で改めて学ぶまで、地方の話題に対し「良かったなぁ。」と他人ごとにし、薄い考えを持ったのだろう。また、地方に関する他人ごと意識は、私だけでなく社会にも広まっているのではないかとも思う。それではますます関心を持ちにくく、過疎化が進んでしまう。活性化は難しくなってしまう。

そこで、私が国会議員になったら、と考えることにした。やはり、まずは若い世代、過密に住む人々への「意識付け」に着手すべきだろうというのが結論だ。理由は2つある。1つは現状を知れば、行動に移す人々が増えるかもしれないという点。もう1つは既存の取り組みへの協力者を募りやすくできるという点だ。「知ること」は間接的に行動につながっていくはずである。そして、行動は結果をつれてきてくれる。では、どうやって意識付けをするか。一方的な押しつけでは、「そうなんだ。」と、他人ごとのまま終わらせてしまうだろう。つまり、ただアピールするだけでは振り向いてもらえない。ならば、「参加型プロジェクト」たるものを立ち上げるのが妥当だ。例えば小学生を対象とする。学習指導要領を改訂し、「総合的学習の時間」で日本の現状を教え、自分の考えを持たせる。その後、学校で考えをまとめ、市区町村で冊子を発行してもらう。自分たちの考えが共有されているという実感が、小学生に芽生えていくだろう。まさに「参加型」である。また、中高生を対象としたボランティア活動はどうか。一見、その場だけの活動のようだが、違う。長期休みの間だけでも、過疎地域の方とふれ合うことで「自分たちも活性化のお手伝いが出来る。」と思えるはずだ。実際私もそうだった。ボランティア活動ではないが、学校の行事で農村体験があったのだ。「過疎、過密」の存在を意識してから、数か月ほどたった頃だった。農村の方のこんな言葉が耳に残る。

「若い人たちはみんな都会に行ったさ。残っているのは私たちみたいな、おじいさんとおばあさん。バスも減ったし、不便になったね。でも、この村が好きさ。大好きだよ。」

そして、「今度は遊びにおいで。」

その時、メディアの話題、授業で習った言葉は、私にとって遠いものではなかったのだということを実感した。私が家族を愛おしく思うように、友達を大切だと感じるように、この村が「好き」なのだ。守りたいのだ。農村の方々の思いがひしひしと伝わり、少しでも力になりたいと思った。

活動を通し、私にはそのような意識が芽生えていた。私だけでなく、過疎地域を訪れた人々にも芽生えていくことだろう。だからこそ、私はボランティア活動を後押ししたいと思うのだ。

私は現在14歳だが、あと4年で選挙権を持つ。私は地方活性化に取り組んでくれる方、自分の地域を大切に思う人々に寄り添ってくれる方に投票したい。また、ただ投票するだけでなく、協力できる人でありたい。それは、他人ごと意識を持たず、自分のことのように考えられる人だ。国会議員になったら、と考えたことで、そのような人に一歩近付けたと思う。そして私は「意識を変え、考えを持つ」人が増えること、地方が、日本中が活性化することを望んでいる。