大阪府 大阪教育大学附属池田中学校 2年
山田 理子
20年後の私は何をしているだろうか、そう考えた時ふと不安を覚える。20年後、私は34歳。これから女性がもっと活躍するようになって、働き盛りな年齢であり、もしかしたら結婚や出産なんてこともあるかもしれない。その時、私はどんな毎日を送っているだろうか。朝、急いで子供を預け、満員電車で出勤しているのだろうか。子供は楽しく満足する毎日を送れているのだろうか。
今、保育所不足による待機児童の増加などが問題になっているが、果たして保育所の数だけ増やせばいいのか、私は疑問だ。確かに数は必要である。
赤ちゃんから幼児期は、たくさんの愛情を感じ、人として大切な人間性が育まれる時期である。ただ子供を預けられればそれで良いのだろうか。
そして母親は、物理的距離のある子供を心配したり、罪悪感を感じながら仕事をしなければならない。そんな環境は嫌だ。
私は女性の立場が尊重されつつある社会で、女性が働きやすく、かつ将来の有望な人材を社会が育成出来る環境を整える事が必要であると感じている。
そこで、私がもし国会議員になった時に実現したいこととして掲げるのは「女性が安心して社会活動ができ、かつ将来の有望な人材を育成できる法律の作成」だ。
まず1つめの法律は、企業に保育所の設置と病児保育室の設置を義務付ける、という事である。
会社に保育所の設置が義務付けられると、母親も一緒に出勤して子供を預ける事が出来るし、何かあれば直ぐに子供の様子を確認できたり、ミルクをあげにいったりする事が容易になり、安心感が増す。
またさらに、病児保育室を設置する事により子供が病気になっても、仕事を休んだり、早退する必要が減る。子供の病状を仕事を極端に中断することなく見に行くことが出来る。
子供が病気になり職場に電話がかかってきて、仕事との都合で困ってしまう…という話を聞かないだろうか。感染症であれば何日も休まなければならない。それによって、仕事に支障をきたすだろう。
私も病気になった事で、仕事中の母親に迷惑をかけてしまう事が多々あり、その度にとても申し訳ない気持ちになった。物心のついた子供であれば、こう思うのは私だけではないだろう。それにより、しんどい事を我慢してしまう子供もいるかもしれない。
職場内に保育施設があれば、子供も親も罪悪感を感じずに安心感を得る事が出来る。魅力的ではないだろうか。
2つめの法律は、保育士と幼稚園教諭の区別をなくし、「幼育校教諭」という職業を作るという事だ。
今、保育士は資格を必要とするが、比較的取得しやすい環境にある。保育士は福祉の従事者であり、厚生労働省の管轄だ。一方、幼稚園教諭は専門学校以上の学び、免許を取得する必要がある。幼稚園教諭は学校教育法に基づいて教育を行う教員であり、文部科学省の管轄であるという違いもある。
これでは保育所に通った子供と幼稚園に通った子供では差が生じてしまうのではないか。
そこで、全ての保育所、幼稚園を現在の幼保連携型認定こども園の進化型の「幼育校」とし、就学前の子供の為の教諭による学校とする。また、「幼育校教諭」という免許を作り、4年制大学の幼育校教職課程を修了した者が幼育校教諭になれるようにしたいと考える。
小学校教諭と同じ条件で幼育校教諭を育成し、給料などの待遇も小学校教諭と同じにする事で、より良い人材を育成出来るのではないだろうか。
将来の有望な人材を育成する為には、乳幼児心理学などの知識を深く身に付け、且つ愛情を持って乳幼児に接する事の出来る幼育校教諭という人材と、その環境を整えたい。
しかし、実現するにはたくさんの費用が必要であり、多くの問題や課題もあるだろう。
でもそれは、将来を担う心身共に健康な人材を育成する為には、重要な投資ではないだろうか。また、女性の社会活動が活発になると税収は増え、経済的にも発達したり、男女共同参画社会を促進する。それだけでなく、子供が育てやすくなれば少子高齢化対策にもなる。
そう考えると、国の発展の為にも、この様な法律を作る意義は十分にあるのではないだろうか。
これらの理由から、私は国会議員になったら「女性が安心して社会活動ができ、かつ将来の有望な人材を育成出来る法律の作成」を実現したいと考える。