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参議院の動き

参議院70周年記念論文表彰式

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 教育資源リサイクル法案を提案する

富山県  南砺市立福光中学校 2年

細川 依純

小学校5年生の夏休みの宿題に読書感想文の宿題が出た。その時私は、その年度の課題図書である「永遠に捨てない服が着たい-太陽の写真家と子どもたちのエコ革命」という本を読み、感動した。永遠に捨てない服、それはリサイクルされた服のことで地球温暖化を防ぐ為に活動をしているカメラマンの岡部さんが提唱する「体操服リサイクルプロジェクト」によって生まれるものであった。必要としなくなったモノが、生まれ変わって必要としている人の手に届くシステムは素晴らしいと思った。

当時の約束だった京都議定書は、先進工業国全体では2011年までに1990年に出した温室効果ガスの5.2%を減らそうという国家間の約束で先進工業国である日本の目標値は、6%であった。しかし、その後、COP21の「パリ協定」において、さらに厳しい目標を掲げた。このような流れからいけば、体操服リサイクル運動などの環境保全活動はさらに力を得て動くはずなのに、そのような動きはなかなか感じられない。

それは、やはり「体操着」の回収は手間がかかるからだろうと考える。実は、私が通っていた小学校でも、これに類似することを行ったのだが、いつの間にか立ち消えてしまった。PTAの方が中心となり、卒業生などに呼びかけたのだが、結果はあまり良いものではなかったらしい。

しかし、この体操服のように「一度原料化して再生産」するよりも、「卒業して不要になった学用品」を集めて再利用すれば、必要としている児童・生徒に直接届けられるのではないだろうか。そして、再利用の物品を学校内に管理しておくというのはどうだろうか。そして、不要な学習用具の回収運動を軌道に乗せることができれば、家庭における教育費の負担は軽減されるのではないだろうか。

今、新聞などを読んでいると、親が働いていて一人で食事をしたり、経済的な理由で満足に食べられなかったりする子どもたちに無料で食事を提供する「子ども食堂」の取組などが広がっているそうだ。それほど、現在「子どもの貧困」は問題になっている。そんな中、入学時のランドセルや制服などは高額なものが多く、保護者への負担は大きい。そして、体操着を1着しかそろえられない家庭があり、1週間同じ服を着ていることもあったりする。においがしたり汚れたりしているので、いじめに発展することもあるようだ。

そこで私は、「教育資源リサイクル法案」を提案したい。例えば習字道具の「すずり」、がそうだ。私が住んでいる県は、「習字道具」と「書き初め用具」の2つが必要だ。そして、高校生となって書き初めをする機会はほぼないと言っていい。だから、筆とかはともかく「すずり」などは再利用してもいいようにおもわれるのだ。別に新品ではなくても構わない。実用に耐えうるものであれば、リサイクル品でよいのではないだろうか。

そしてそれは、「すずり」だけではない。音楽の「鍵盤ハーモニカ」や「縦笛」などの楽器。絵の具セットや算数セットなど、使い回しができるものがいろいろあるのではないだろうか。そして、そのような物品を指定し、学校の中に備え付けておけばよいのではないだろうか。幸い生徒の数が少なくなり、校舎の中には空き教室として利用していないものも少なくないのではないかと考える。リサイクルを進めるには、「品物が集まるか」とか「誰が、どこに整理するか」という点が問題になることが多いが、この法案が通れば問題も解決するように思われる。「誰が」に関しては、PTAの管理下でボランティア的、あるいは、ある程度の報酬を提供すればよいのではないだろうか。

ランドセルや通学カバン、制服、体操服、上履き、傘、ヘルメットなど、一式をそろえるとなると10万円程度は必要になる。このように重い教育的負担を解消し、「子どもの貧困」を解消したいと考える。対象を広げて、上記のほかに捨てるには惜しい子供服(上着、コート類のみ)や履く機会のなかった靴、まだ使えるスキーやウェアや板など、範囲を広げればいくらでも広がるように思われるのだ。そして、真に困窮している世帯から、この恩恵が受けられるようにすれば良いと思う。

品物が余ったときの処分方法は、在外教育機関や海外の学校などに寄付を行うという手もあるだろう。

そして、この法律を推進することで、品物集め、整理、配給などに生徒自身に参加してもらいたい。そうすれば、教育を受けることのありがたさが身にしみてわかると思う。私が国会議員になったなら、地球環境の保全と教育のありがたさを同時に感じられる「教育資源リサイクル法案」を推進したいと考える。