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参議院の動き

参議院70周年記念論文表彰式

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 安心して快適に移動のできる社会を目指して

京都府  京都府立洛北高等学校附属中学校 1年

藤本  新

最近、テレビで2016年に全国で起きた交通事故による死亡者数が3,000人台にまで減ったというニュースを耳にしました。一方で、交通事故死亡者のうち65才以上の高齢者の占める割合は、過去最高になっています。実際、高齢者が起こす交通事故のニュースは、毎日のように流れています。人々が安心して移動できる社会を実現するために、まず高齢者が起こす事故を減らせないかと考えました。

実は、僕の祖父も車をぶつけてしまったことがあります。自宅の車庫に駐車しようとした際、エアコンの室外機にぶつけてしまったそうです。それを機に、祖父は「もう運転しいひん」と言って車の運転をきっぱりやめてしまったのです。祖父は兵庫県の田舎町に住んでいました。スーパーや病院は家から遠く、タクシーを呼んでも、来てもらうのに時間がかかる始末。車のない日々の生活は、祖父にとっても祖母にとっても大変不便だったに違いありません。祖父の他にも様々な理由で車を運転することが出来なくなり、不便な生活を強いられた人は多いと思います。そのような人々を助けるために、完全自動運転の車を広く普及させたいと思いました。

完全自動運転の技術の開発には、すでに日本の大手自動車メーカーが乗り出しています。自動運転の車には、事故を減らせるという利点だけでなく、渋滞や山間部の移動の不便さの緩和、高齢者や障害者の移動の補助などの効果も期待されています。更には、物流やエネルギー使用の効率化など、効果が及ぶ範囲は幅広いものだといいます。

自動運転には、事故への懸念や、法律の整備など、まだまだ課題は山積みです。でももし僕が国会議員になれば、祖父母が住んでいたような、高齢化、過疎化の進む田舎から社会実験を始めたいです。車や自転車、歩行者の数が少なく、自動運転の事故の懸念となる障害が少ないからです。また、何より移動手段を必要とする高齢者の割合が多いからです。

事故を引き起こしているのは、高齢者ばかりではありません。若者も事故の原因になっています。自転車の危険運転による事故がそのひとつです。現に、僕自身も一度自転車にぶつけられたことがあるのです。小学6年生のときでした。僕の家の近くには大きな大学があり、毎朝スピードを出して学生さんたちが自転車をこいでいます。登校中、歩道を歩いている僕の横を、後ろから来た自転車がかなりのスピードをだして追い抜かしていきました。その時、自転車に乗っている人のカバンが、僕の肩を直撃しました。その拍子に僕は転んでしまいましたが、その人は何事もなかったかのようにその場を立ち去っていきました。その人は、スマートフォンやヘッドフォンを使用していたために、僕がぶつかったことに気づかなかったのかもしれません。僕のズボンは破れ、ひざから血がでていました。事態を重くみた先生が事故として警察に届けて下さいました。謝ってほしいというより、僕と同じ目にあう人を一人でも減らしたいと思います。

そこで、道路を車道と歩道、そして自転車専用道に分けることを提案します。一般的な道路は、車道と歩道の2つに分かれています。ところが自転車はあいまいです。車道を走る自転車が車とぶつかりそうになったり、僕が経験したように、歩道を走る自転車が歩行者の安全を脅かしたりしています。歩道に線をひいた自転車専用道の普及が進んできてはいますが、十分な対策とは言えません。ガードレールなどで区切り、車、自転車、そして歩行者それぞれの安全を守り、快適な移動を確保したいです。完全自動運転車の導入とは逆に、自転車専用道の整備は、都市部の大通りから進めるべきだと考えています。

完全自動運転の導入、自転車専用道の整備により事故が少なくなっても、一時的ならば全く意味がありません。その効果を維持していくために、都会や田舎を問わず、広く国民に交通安全教育をする必要があると思います。自転車やシニアカーの運転についても講習を義務化する。「ながらスマホ」「ながら携帯」がいかに危険かを広め、より厳しく取り締まることなどです。中でもこれからの日本を生きていく僕たち若い世代への交通安全教育を一層充実させていきたい思います。

誰もが安心して快適に移動ができる社会。僕が国会議員になったら実現したい、僕が望む未来です。それはきっと、今の日本が抱える多くの問題解決の糸口になることと信じています。