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参議院の動き

参議院70周年記念論文表彰式

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 地方のまちを元気にする

広島県  熊野町立熊野中学校 2年

永谷 咲希

「日本一の生産量を誇る筆の町」それが私が住んでいる熊野町です。書道用、絵画用、化粧用の筆の製造が町の主な産業で、その筆は「伝統的工芸品」に指定され、「熊野筆」として知られています。サッカーワールドカップで優勝した「なでしこジャパン」への国民栄誉賞の副賞として、「化粧筆」が贈られ全国的にもとても有名になりました。

このように「他に誇れる産業があるまち」ですが高齢化率は30パーセントを超え、「高齢化社会の波を大きく受けているまち」であるとも言えます。伝統ある「熊野筆」の文化・技術を継承するべき若者が少なく、地域をこれからどのように盛り上げ、活性化していくのか私たち自身も考えるべき時期を迎えていると感じます。

そのような、伝統と文化が根付いた地域であっても、過疎化や少子高齢化によって、私のまちと同じように若者が少なく、その地域特有の歴史、文化、技術が継承できなくなってしまう地域も数多く存在していると思います。そこで、国は「地方創生」に取り組み、大都市への人口流出を防ぎ、地方への人の流れをつくる政策を実施しています。私はその取り組みを加速・充実させることが、私のまちのような地方の高齢化が進むまちには非常に効果的だと感じています。

そのような視点で、私が国会議員になったと考えてみると、地方が元気になるような取り組みを実施したいと思います。単に国のお金を地方に配り地方に任せるのではなく、そのお金をもとに、効果的な取り組みが行えるよう国が大きな視点で、全国に働きかけていく必要があると感じています。

まず、今住んでいる小中学生、高校生、大学生などの若い人たちが、自分のまちを好きになり、住みたいと思うための政策を実施するのに必要な支援や、実際の取り組みに対する支援を検討するべきだと思います。若者の流入を増やす取り組みも必要ですが、まずは今いる若者の転出を防ぐことが必要だと考えるからです。

そこで私が考えるのは、自治体の奨学金制度です。地方の自治体が奨学金として支援する代わりに、地元の企業に就職してもらうことを条件とし、その地域からの転出を防ぐことで、税収の確保に努める等のしっかりとした取り組みをする地方に対し、財源を措置することも地域の「ブランド」として効果が期待できるのではないかと思います。しかし、それには地元の企業が元気でなくてはなりません。創業支援や新技術の積極的な開発など、新たな雇用が生まれるような企業の取り組みに対しても、地方だけでなく国が支援できる仕組みを作ります。

また、「伝統的工芸品」などのその地域特有の技術や伝統の保護、後継者育成の取り組みを促進し、その地域の輝きを失わない取り組みが必要だと思うので、地域で実際の住民の声を聞き、真に必要とされる支援を政策に反映することで、発展してきた良い伝統、文化をもう一度見つめ直し、地域の魅力を発信する取り組みにつなげていきたいと思います。

次に、その地域に住んではいなくても、地域を応援し、「地域を元気にする」ことを専門的に研究している研究者や企業との橋渡しをすることで、その先進的な取り組みや力を地域の活性化策として役立てる政策や、地元大学生と自治体が知恵を出し合う仕組みづくりを行い、地域の特徴を生かした政策につなげるためにも、学生が少子高齢化により減少し、再び都心回帰している大学や国立研究施設を大都市ではなく地方に移す取り組みを見直すなど、地域の担い手の育成に力を注ぎたいと思います。

これらの取り組みに加えて、やはり必要となるのは、若者の移住を促進し、大都市に集中する人の流れを、「地方のまち」に呼び込むための支援だと思います。財政規模が小さなまちが、大きな周辺都市に負けない取り組みをするためにも、財源の有効活用を検討し小さなまちが移住希望者への住宅購入援助や高齢化により問題となっている空き家の有効活用などに取り組み、独自の魅力あるまちづくりを行うことによって「住みたいまち」を作っていけるような、お金の流れを作る必要があると思います。

いずれにしても、私が国会議員になったら地方の元気には地方の力が必要であることを念頭に置き、しっかりと国民の声を国政に反映することが務めであると考えています。

そのためにも、今の私が地方のまちや我がまちを元気にするためにできることは、私たち一人ひとりが、まちを知り、好きになり、住みたいまちとなるよう、常に意識を持つことで、住民自らが自らの地域の未来を考え、方向を決めていくことにつながるのだと感じました。