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参議院の動き

参議院70周年記念論文表彰式

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 この家、空いてます

神奈川県  川崎市立生田中学校 1年

高山 泰子

全国の住宅総数6,063万軒のうち、800万軒が空き家となっています。空き家率は13.52パーセント。計算すると約7軒に1軒が空き家という事になります。空き家率の最も高い山梨県は22.01パーセントもが空き家です。山梨県の他には長野県、和歌山県、高知県、徳島県と中部地方と四国地方が続いています。この中の山梨県と長野県、和歌山県には別荘が空き家になっていて、人口10万人あたり、別荘の軒数は全国平均で323.61軒にもなっています。特に多い長野県の別荘数は人口10万人あたり2,007.53軒、全国平均のおよそ6倍です。

もう人が住まなくなった住宅が解体されている、それが現状です。2階建て30坪の木造住宅を解体する場合、4トントラック5台から10台分もの廃棄物が出てしまいます。

1年間で排出される日本国内のゴミの量は5億トンと言われ、焼却場の数はアメリカの3.5倍で世界1位です。2階建て30坪の木造住宅を10軒解体すると最大で400トンものゴミが出てしまいます。これは日本が抱える問題の中でも特に注目されている環境問題にも大きな影響を及ぼす事につながってしまうと思います。

住宅(別荘)を必要としていない人とは反対に、必要としている人に視点を変えてみると「家を失った」というキーワードが思い浮かびます。

東日本大震災で全壊、半壊の被害を受けた住宅は関東全体で39万4,487軒。2016年1月時点の避難生活者は、約17万8,000人。岩手県・宮城県・福島県の3つの県に仮設住宅で生活している人は、およそ6万人。避難者の住宅の受け皿となる「災害公営住宅」はまだ計画の43パーセントしか完成していません。また、移転し住宅を再建するための宅地は、まだ計画の2割しか引き渡し出来ない状況です。完成まで残り2、3年かかってしまうケースもあるそうです。仮設住宅の耐用年数は2年と言われていますが、まだおよそ6万人もの人が暮らしています。また自主避難者への住宅の無償提供は、今年3月末で打ち切られる事になっています。

震災の被災者が一番苦しんでいるのは「お金」です。生活費、学費とある中でもお金が沢山かかってしまうのが、家を建て直すためのお金や新しく部屋を借りるときの家賃です。こういった不安や苦しみから、自分から命をたつ人も少なくないと聞きました。

空き家問題と被災地の復興問題を絡めて考えてみると、家を必要としていない人が必要としている人に提供する事が2つの問題を解決するベストな選択だと考えます。

「自分が生まれ育った場所から出たくない。」という声が数多くテレビで発信されてきました。この声は高齢者に多く、住む場所が変わってしまうと自分がどこにいるのかがわからなくなり、混乱してしまうという事があると聞いた事があります。そんな人には今いる場所にとどまる事が一番良いのかもしれません。しかしこのような対策はどうでしょう。1.知っている人、家族や友達など話し相手になってくれる人と同居する。1.引越しをする前から空き家の近所に住む人と接して、話し相手(自分が今どこにいるのかを教えてくれる人)をつくる事。こうした対策をとる事で問題を解決する事が出来ると私は考えます。「沢山のお金をつぎ込んで建てた別荘を提供する事で利益を得る事は出来るのか。」と感じる人も多いと思います。この活動は1つの家族がもう1つの家族を支えるという内容なので、母子家庭と同じように税金を減額する対策をとれば良いと思います。別荘の現状維持にかかるお金、解体費用もかからないので利益にもつながると思います。

空き家を震災の被災者に提供する事で被災地復興のための税金の削減、空き家解体時の環境への問題解消、被災者のストレス解消にもつながります。

私はこれからの日本が環境に優しく、一人一人の事を支える事の出来る国であってほしいです。そのために父と母、身の周りの大人の方たちは一生懸命働き税金を納めています。そんな日本を作り上げるためにはこの活動が必要だと思います。