1. トップ >
  2. 参議院の動き >
  3. 平成29年の参議院の動き >
  4. 参議院70周年記念論文表彰式

参議院の動き

参議院70周年記念論文表彰式

受賞論文一覧に戻る 


 みんなで支え合う高齢化社会を

山形県  山形大学附属中学校 2年

石原 美千愛

数多くある社会の問題の中で、私が特に急務であると考えている事のひとつは、年を重ねても安心してみんなで支えあえる社会をつくる事である。

そう考えさせられた理由としては、私の家族が抱えた事情が背景となっている。昨年の秋に祖父が他界してしまった。約2年間の闘病生活の末であった。病気を患う前の祖父はとても元気そのもので、自分で車を運転したり、雪国ということで屋根の雪おろしもこなすなど、寝たきりになってしまうとは本人も家族も想像すらしていなかったのである。病気の進行とともに、初めて多くの現実をつきつけられた形となってしまった。医療現場の問題や介護制度のこと、認知症や身体的機能の衰え、設備などの問題、実に戸惑う事ばかりであった。また、介護をするためには家族が仕事をも後回しにしなければならない現状など、実に多くの課題が山積みになってしまったのである。

介護と向きあうことはよほど大変だったのか祖父を介護する母は、自分が年老いた時にひとりっ子である私に介護の心配をさせるくらいなら、いっそ迷惑をかけないうちに…などとつぶやいたりもしていた。またつづけて母が言うには経済力の差によっても老後の生活は大きく変わるというのである。

考えてみれば少子高齢化社会といわれて久しい。新年を迎え、新成人が減り続けている傾向にあることがテレビで映し出されていた。また、高齢者の平均寿命は延び続けている事を考えても高齢者は増え、若い人達の割合が減っている現実がある。高齢化社会を支えるためには少子高齢化対策も同時に深刻な問題だ。

私は祖父の介護をする家族との生活の中でさまざまな問題を少しでも回避する方法がないかと家族の中でもよく話題にしていた。そこで浮かんだアイディアとしては「介護貯金」なるものである。もちろん文字通りのお金を貯めるものではないので「介護貯勤」と言い換えても適切かもしれない。その内容としては、自分の老後に備えて、他の人の介護に関わり、単位制あるいはポイント化することにより自分の老後に振り替えて使えるというシステムである。

先に述べたように、介護の問題を遠いものとしてとらえず、若い人が早目に高齢化社会を意識して理解する事が大切だと考える。このまま少子高齢化がどんどんすすめば単純に考えても介護される人は増え、介護する側の人が足りなくなるのである。また家族の中だけでは到底限界がある。そのためにはいろいろな福祉施設の充実や、介護に関わる多くの人手が必要となる訳である。

また、提案している「介護貯金(勤)」をしっかりしたものにしていくためには様々な工夫も必要である。そのためには介護に関わることをしっかりサポートできるように勤める企業なども介護に関わる休日を認めていくようなしくみを組みこまないとなかなかまとまった単位にはならないだろう。また若いうちから積極的に関わる事を推し進めるためにも、金融機関で言うところの金利のような形で増えていくならば若いうちから積極的にとらえ、また将来の自分のあり方を考えたり、老後の備えなども意識して考える事にもなり得ると思う。世代間によって生じる壁も、お互いの関わりを持つことによって、人はそうしてお互いに支えられて生きている事を感じることは、どちらにとっても必要だと考えられる。

さらに成熟した社会にしていくためには、介護のことばかりではなく、高齢者の人が生きがいを持ってより楽しく充実した生活ができる事が望ましい。自身の趣味を活かしたり、また高齢者だから難しいと思われることも、取り除く事ばかりではなく、目的にかなう方策がないかを探ることも大切だと思う。

さらには高齢者のように時間を多く充てられるからこそできる追求にも応援できる社会でありたいと思う。年老いる事が不安よりさらに楽しみであるような状況を目指せていけたらと思う。

私が国会議員になったら「介護貯金(勤)」のシステムをつくりあげることを最優先する。介護における内容を細分化し、子供達でも協力できることから難しい介護内容までが書かれてある介護内容リストをつくることによって協力できる目安をもてるようにすることでどんな人でも介護にかかわる機会をもてるようなしくみをつくりたい。さらに年をとってもその人らしい生活ができるような施設、サービスをより具体的なものにしていきたい。誰もが年老いることを楽しみにできるような社会を実現したい。