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参議院本会議決議本文

第156回国会

平成15年7月18日 
参議院本会議 

政策評価に関する決議

 我が国は厳しい財政事情の下で、無駄を排した効果的かつ効率的な行政の推進が求められている。しかし、これまでの行政においては、法律の制定や予算の獲得等が重要視され、一度政策が決定されると、その効果や内外の社会経済情勢の変化をあまり考慮せずに政策を継続することが多かった。
 平成十三年一月から全政府的に導入され、十四年四月からは法律に基づいて実施されている政策評価制度は、このような行政を改め、国民本位の効率的で質の高い行政を実現し、国民的視点に立った成果重視の行政へ転換するとともに、国民に対する行政の説明責任の徹底を図ることを目的としている。
 政策評価制度は、導入されてからまだ日が浅く、評価手法の開発、評価結果の政策への適切な反映など改善すべき課題が多い。今後、政策評価の重要性は一層増大することから、政策評価の質的向上を図り、政策評価情報の国民への積極的な提供と内容の充実に努めることにより、政策評価の信頼性・実効性を高め、同制度を定着させることが必要である。
 よって政府は、政策評価制度の充実・発展を図るため、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一、政策評価の実施に当たっては、政策評価の精度及び客観性を高めるため、可能な限り定量的な評価手法を採用するとともに、政策評価の結果を次年度の政策に適切に反映させるため、政策評価書の早期作成・公表及び評価の拡充に努めること。
二、総務省による評価専担組織としての政策評価の結果を踏まえ、各行政機関は、政策の見直し・改善に向けた措置を講ずること。また、総務省は、各行政機関が講じた政策の見直し・改善の状況について的確なフォローアップを行うこと。
三、容器包装のリサイクルの促進に関する政策については、容器包装廃棄物の減量化と資源としての利用を更に推進する必要があることから、リターナブル容器の使用を一層増大させる方策を講ずるとともに、分別収集等に係る費用負担の在り方について拡大生産者責任の徹底を図ることを含め、同政策の検証作業を進めること。
四、地域輸入促進に関する政策については、国際環境、経済情勢等の変化により、同政策の意義・役割が薄れてきていることにかんがみ、新たな輸入促進地域の設定に係る主務大臣の同意及び既存地域に係る新たな施設整備への支援について、原則として行わないこと。
五、リゾート地域の開発・整備に関する政策については、社会経済情勢や国民の余暇活動に対するニーズ等の変化により、総合保養地域における特定施設の整備状況や利用実績が当初見込みと比べ大幅に下回っていることから、道府県の同意基本構想の廃止等も含めた抜本的な見直しを促進させるよう、国の基本方針を早急に改めること。
六、障害者の就業等に関する政策については、障害者の社会的・職業的自立の促進に資するため、養護学校等生徒の就労支援や就職した卒業者の職場適応・定着支援の実施に際し、関係機関は一層の連携協力を図りつつ、きめ細かな施策の充実に努めること。また、障害者の法定雇用率達成に向けて、事業主に対する指導等の徹底を図ること。
七、政府金融機関等による公的資金の供給に関する政策については、民業補完に徹し、民間金融機関の機能回復・強化の状況を踏まえつつ、政府金融機関等の改革を着実に進めることとするが、当面は、中小企業等の経営環境に最大限配慮し、政府金融機関等の積極的な活用を図ること。
 右決議する。