第140回国会
平成9年4月4日
参議院本会議
本院は、議員友部達夫君の議員辞職を勧告する。
右決議する。
理由
政治に対する信頼は、議会制民主主義の根幹である。
国会議員は、国民の代表としてより高い倫理的義務を負っており、清廉に徹し、いやしくも国民の疑惑を受けるような行為をしてはならない。
本院は、議員友部達夫君が年金会オレンジ共済組合の実質的主宰者として顧客を欺いて金銭を取得したとする詐欺被疑事件について、本年一月二十八日、内閣から同君の逮捕について許諾を求められ、翌二十九日に全会一致をもってこれに許諾を与えることを議決した。同君は、直ちに逮捕され、二月十九日、本事件について詐欺罪で起訴されるに至った。その政治的・道義的責任は極めて重大である。
本院は、各会派代表者懇談会の決定に基づき、議員辞職勧告決議の前提として、慎重に手順をふみ、議院運営委員長等が、去る三月十二日勾留中の同君に接見し辞職を促したが、同君は、頑なにこれを拒み国民の批判が一層局まる中、今日に至ってもなお議員の職にあることは、断じて許しがたい。
もとより、憲法に保障された国会議員の身分は重く、係争中の事案に際してはその審理の結果を踏まえて対処すべきは言うまでもない。しかし本事件の重大性にかんがみ、このような状況をこれ以上放置することは、国民の政治に対する信頼を著しく失墜させ、良識の府である本院の名誉と権威を傷つけるものである。よって、議員友部達夫君は、速やかに議員の職を辞すべきである。
これが、本決議案を提出する理由である。