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参議院本会議決議本文

第78回(臨時)国会

昭和51年11月1日 
参議院本会議 

災害及び地震対策の促進に関する決議

 今回の台風第十七号に伴う災害は、全国各地に多数の死傷者と甚大な被害をもたらし、また異常低温による北日本を中心とする冷害は、我が国農業に深刻な影響を与えており、被災者の救済、被災地の復旧、災害の再発防止に係る対策が強く望まれている。
 また、近年世界各国で大地震による甚大な被害が発生しており、地震国といわれる我が国においても地震予知及び地震対策の総合的かつ強力な推進が望まれる。
 このような事態にかんがみ、政府は、次の諸点について特段の配慮を行い、万遺漏なきを期すべきである。
一、今次の激甚な災害の実態にかんがみ、災害危険箇所の確認を急ぐとともに、立ち遅れの著しい治山治水施設を強化するため、第五次治山治水事業五箇年計画において十分な事業を確保し、災害を未然に防止するよう努めること。とくに災害復旧に当つては、改良復旧に重点を置き再度災害の防止に努めること。
一、災害及び冷害対策を推進するため、速やかに財源措置を講ずるとともに地方債、特別交付税等の措置により、地方財政の運営に支障を来すことのないよう十分に配慮すること。
一、個人災害の救済を図るため、災害弔慰金の支給、災害援護資金の貸付け、災害復興住宅資金の貸付け、政府系中小企業金融機関による被災中小商工業者向け融資、被災者に対する諸税の減免猶予措置等、これら特別救済措置の円滑かつ迅速な実施を行う等適切な措置を講ずること。
一、冷害による被災農民の救済に万全を期するため、天災融資法及び激甚災害法の早期適用を図る等により十分な融資措置を講ずるとともに、農業共済金の年内支払い、被害地における雇用機会を確保するための公共土木事業等の実施等により適切な措置を講ずること。
一、地震対策を促進するため、地震予知に関する各種の観測、研究、調査等を拡充し、総合的かつ機能的な地震予知推進体制を早期に確立するとともに、大都市地域の再開発、都市建築物の耐震不燃化、避難地・避難路の確保、防災体制の整備等総合的な防災対策を積極的に推進すること。
 右決議する。