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参議院本会議決議本文

第19回国会

昭和29年6月1日 
参議院本会議 

中小企業の危機打開に関する決議

 わが国現下の経済情勢に鑑み緊縮政策の遂行は真にやむを得ざるものあるも、不況の皺は経済的に弱小なる中小企業に多く寄せられ、その倒産また相次ぎ事態甚だ憂慮すべきものがある。而もこの困難は寧ろ今後においていよいよ深刻の度を加えようとしている。
 よつて政府は次の諸点に深甚の配慮を加え、中小企業の危機打開に万遺憾なきを期せられたい。
一、中小企業に対する不当なる圧迫、特に下請代金の支払遅延等に対し厳重なる取締を励行すること。
二、中小企業等協同組合に対する税制上その他の処遇につき、他の協同組合との均衡をはかるよう措置するとともに、中小企業者の団結を強力に推進すること。
三、加工貿易の一層の推進により、原料高・製品安に悩む中小企業の難局打開をはかること。
四、親企業振出の手形不渡によつて生ずる中小企業の苦難打開のため適切なる措置を講ずること。
五、回収困難なる債権の損金算入を認めるなど中小企業に対し税制運用上特別の配慮を加えること。
六、中小企業金融機関に対する指定預金の引揚延期・新規預託並びに金融債の引受増加等を行い、もつて中小企業向資金源を確保し、更に金融機関の中小企業向貸倒準備金の損金算入限度を引上げること。
 右決議する。