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参議院本会議決議本文

第12回(臨時)国会

昭和26年11月17日 
参議院本会議 

農林業振興基本政策確立に関する決議

 かねて政府は、わが国が国際連合食糧農業機関に加盟することを希望し、今回これが憲章を受諾することについて国会の承認を求めた。
 この憲章は、その前文において、この憲章を受諾する国の決意を明記している。然るに、わが国の農林業政策は果してこの決意に副つているか、かえりみて甚だ忸怩たるを得ない。
 講和後におけるわが国自立経済の確立と民生の安定を図ることは政府の重要使命である。然るに、政府の施策中、特に農林業政策を見るに、及ばざるところが尠くなく、且つ一貫性を欠き、ために農業者は不断の動揺にさらされ、生産に対して積極的熱意を持つことが困難と思われる状態にある。かかる条件の下においては、自立経済の基盤は確立せられず、ひいては民生の安定を期待することも至難と言わなければならない。
 年間千数百億円にのぼる食糧の輸入を最大限に節約するに足る食糧自給度の向上は、わが国農業が当面する重大な課題であると共に、経済自立の緊切な要件であつて、これは決して狭隘なアウタルキーを意味するものではなく、寧ろわが国工業が要求する重要原料の確保に必要な外貨に余裕を与えるという積極的役割を果すものというべきである。
 かかる意味において、政府は農林業生産力の発展強化を図るため、速やかに、一貫した、長期不動の政策を確立し、これを完遂するに足る経費を確保すべく財政的、資金的処置を講ずるの要切なるものがある。
 わが国が国際連合食糧農業機関憲章を受諾し、世界農業機構の一環につらならんとする今日、右の趣旨に沿つて政府の断乎たる措置を要求する。
 なお政府は右に関する具体的方針を決定し、できるだけ速やかに本院に報告せられたい。
 右決議する。