第10回国会
昭和26年5月31日
参議院本会議
現在退職金と退職積立金とは、低賃金と不安定な雇傭関係とに悩む勤労大衆にとつては、激浪の中の唯一つの救いの舟に等しい重要な意義を持つている。それは単に企業内での労働政策としてのみならず、勤労大衆の生活の支えとなる社会政策の問題でもある。しかるに現在では、退職金は給与所得に上積みされて課税されるために、高率の所得税が課せられ、退職者の生活の前途に、非常な圧迫を及ぼしている。又退職積立金として留保される部分に対して法人税が課せられることは勤労者の生活を擁護せんとする目的に反し、ために勤労者の勤労意欲を阻害するのみならず、企業の負担を一層重くする。
故に政府は速やかに退職金並びに退職積立金の特殊性に鑑み、社会政策的見地から、これ等に対する課税減免の措置を講ずべきである。
右決議する。