第7回国会
昭和25年4月24日
参議院本会議
わが国における結核のまん延は、長期にわたり戦時状態の非常な悪条件に曝されたため今なお極めて憂慮すべき現状にある。即ちその患者数は百数十万にのぼり、死亡数は年間十四万の多きを算え、欧米文化諸国の五、六倍に達している。
結核が患者及び家族に与える精神的、物質的苦痛は言をまたないが、これがひいては、国家経済に甚大な損失を及ぼし、文化国家の再建に一大障害となつている。
最近結核の死亡率は、徐々に低下のすう勢にありこの際政府が強力な予防対策を講ずるならば今後五ヶ年乃至十ヶ年の間に、世界の最低水準にまで、その死亡率を低下せしめることも不可能ではない。
よつて政府は、療養所等収容施設の整備拡充、自宅療養者に対する医療と保護の徹底並びに保健所機能の強化と予防接種の普及等、一切の結核予防施策の急速な実現に全力を傾倒すべきである。
これがためには、結核予防法の根本的改正を要することは勿論、近く確立される社会保障制度は、特に結核予防事業の遂行に必要な方途の講ぜられたものでなければならない。
右決議する。