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参議院本会議決議本文

第5回(特別)国会

昭和24年5月20日 
参議院本会議 

青少年の不良化防止に関する決議

 戦後国情の混乱は、幾多深刻なる社会問題を引き起しているが、国家将来の活力たるべき青少年が、或は親を失い、家庭を離れ、巷に放浪して遂に罪を犯すに至るものが近時著しくその数を増加していることは誠に憂慮に堪えない。
 よつて、政府は自由を名目とする放任主義政策を是正し、三千五百万に余る児童及び青少年の社会福祉に関する積極的方針を確立し、その心身を健全に保護育成して前途に光明を与え、不良化を防止して国家社会の明朗なる将来を建設するため、左記各項につき適切なる施策を断行して、その結果を次期国会において本院に報告すべきである。
        記
一、青少年及び児童の社会的実態を示すべき調書を公表し、これに対応する福祉施策を確立すること。
二、児童福祉法、少年法、労働基準法、職業安定法、学校教育法、社会教育法等各種関係法制施行に当つては適切な調整を図り、主管行政の独善的弊害を排し、青少年の善導に万全を期すること。
三、青少年の適性指導並びに適性職能補導施策を充実促進すること。
四、青少年及び児童の心身の健全なる発達を阻害する社会環境の是正に努むると共に、刊行物、芸能作品及演出、遊技、娯楽及び各種広告物等に関する文化財の質的向上を図ること。
五、青少年及び児童に対する厚生施設の整備普及を図ること。
六、青少年及び児童の自治的共励運動を促進してその発達を期すること。
七、青少年不良化の誘因たる道義荒廃の根元を究明して、民主的平和日本確立のための国民運動を展開し社会風教の刷新を図ること。
 右決議する。