ライブラリー

参議院本会議決議本文

第1回(特別)国会

昭和22年12月9日 
参議院本会議 

租税完納運動に関する決議

 インフレーシヨンの進行と共に、わが国の財政は膨大な数字に達し、国民負担もまた未曽有の巨額に上つている。しかも国民所得の分布はきわめて不正常且つ不均衡なものとなつており、徴税方法も又完全なものとはいえないため、現在のように、所得税の申告納税額は八月末までで、わずかに八十三億円程度に止まり、予算額に比し一割七分にすぎず、また租税及び印紙収入も、本年度本予算、補正予算合計千三百三十億円に対し、十月末日までの收入済額は三百二十億円程度に達したに止まり、他面百億円内外の滞納額があるというきわめて憂うべき事態を招来している。しかしながら政府はこれがために脱税者怠納者として不法に利益せしむべきでなく、且つ租税負担の公平を期するためあらゆる努力をなすべきであり、また国民も現状のまま推移するにおいては、財政は根底から覆滅し、恐るべきインフレの悪化を見るに至るべき事態を充分に認識して、いやしくも適正妥当な租税の完納については、進んで協力一致すべきである。私共はこの危機打開のために租税完納運動を展開する。
 右決議する。