国際関係

外国議会との交流

アルゼンチン共和国上院議長の招待による同国公式訪問及び
各国の政治経済事情等視察参議院議長一行報告書

    団長 参議院議長 扇  千景
        同夫君    林 宏太郎
        参議院議員 清水嘉与子
        同       輿石  東
        同       風間  昶
    同行 国際部長   貞岡 義幸
        議長秘書   宮崎 一徳
        参事      森  黒土
        警護官     日向  進

一、始めに

 扇議長は、アルゼンチン共和国シオリ上院議長の招待により同国を公式訪問するとともに、ブラジル連邦共和国及びパラグアイ共和国を訪問した。
 これらの国は、豊富な天然資源に恵まれ、多数の日系人社会を有し、それぞれ一時の経済危機を脱し力強い経済の歩みを再開し、国際的にも発言力を高めているにもかかわらず、アルゼンチンについては、十六年にわたって参議院議長の訪問がなく、更にブラジル、パラグアイに至っては、一度も参議院議長の訪問がないという状況であった。このため、昨年、これらの国々を訪問する予定であったが、衆議院解散が行われたという経緯もあり、本年、アルゼンチン上院議長の招待を受け、前記三か国を訪問することとなった。
 今回の訪問では、後述するように、アルゼンチンにおいては、扇議長訪問を契機に友好議員連盟の再結成等による交流強化の基盤形成を、ブラジルにおいては、日本人移住百周年である二〇〇八年日伯交流年に向けた関係強化の着実な推進を、それぞれもたらす等、大変有意義なものとなった。

二、訪問日程

議長一行は、八月十八日に日本を出発し、同月三十一日に帰国した。その日程は以下のとおりである。

 八月十八日(金) 東京発
   十九日(土)  リオデジャネイロ着
             ダウンタウン等視察
             リオ日本商工会議所及び日系団体代表との懇談
   二十日(日)  リオデジャネイロ発
             ポルトアレグレ着
             リゴット・リオデグランデドスル州知事との懇談
             リオグランデドスル州への日本人移住五十周年行事出席
             日系団体代表との懇談
             ポルトアレグレ発
             サンパウロ着
   二十一日(月) 開拓先没者慰霊碑献花
             日本館視察
             レンボ・サンパウロ州知事との懇談
             ガルシア・サンパウロ州議会議長との懇談
             日系団体代表との懇談
   二十二日(火) サンパウロ発
             ブラジリア着
             レベロ下院議長との会談
             アモリン外務大臣との会談
             ブラジル外務省主催昼食会
             カリェイロス上院議長との会談
             ルーラ大統領との会談
             ブラジリア発
             サンパウロ着
   二十三日(水) エタノール工場視察
             トヨタ工場視察
             日本商工会議所との懇談
   二十四日(木) サントス視察
             各県人会等との懇談
             サンパウロ発
             ブエノスアイレス着
   二十五日(金) シオリ上院議長との会談
             在留邦人・日系団体代表との懇談
   二十六日(土) ブエノスアイレス発
             イグアス着
   二十七日(日) パラグアイ・イグアス移住地訪問
             イグアス発
             ブエノスアイレス着
   二十八日(月) フェルナンデス首相との会談
             バレストリーニ下院議長との会談
             バレストリーニ下院議長主催昼食会
             タイアナ外務大臣との会談
             シオリ上院議長主催晩餐会
   二十九日(火) 扇議長主催答礼レセプション
             ブエノスアイレス発
   三十日(水)  パリ着
             パリ発
   三十一日(木) 東京着

三、アルゼンチン共和国訪問概要

 議長一行は、まず、ブラジルを訪問し、次いで、アルゼンチン、パラグアイ・イグアス居住地を訪問したが、本報告では、招待国であるアルゼンチンについて、先に記述することとした。
(一)アルゼンチン共和国概要
 アルゼンチンは、豊富な天然資源に恵まれ、経済発展の潜在性の高い国であり、国際社会でも重要な役割を果たしている。
 同国は、二〇〇一年末の経済危機後、対外債務問題を背景に我が国との経済関係は低迷し、人的交流も停滞を余儀なくされたが、近年、順調に経済回復・発展を示している。
 また、同国は、中南米で三番目の日系社会(約三万四千人)を有しており、我が国とは、百年以上にわたる友好関係にある。
(二)シオリ上院議長との会談
 アルゼンチン上院の機構及び情報化等の取組に関する説明があった後、シオリ上院議長から、「アルゼンチン上院を代表し、訪問を歓迎申し上げる。当国は、二〇〇一年及び二〇〇二年の経済危機から回復しつつあり、現在は、政治、経済、社会、文化等あらゆる面において挑戦する段階に来ている。当国には、トヨタやホンダなどの日本企業が進出している。九月中旬には、亜日経済合同委員会が開催される予定であり、二国間の関係が更に強化されることを期待する。」等の発言があった。
 これに対し、扇議長は、「貴国を訪問するのは、私個人としては、一九八〇年以来のことであるが、当時は軍政であり、あまり良い印象がなかったが、今回改めて訪問して、貴国の民主主義が安定しており、素晴らしい力で経済危機を脱出したこと、また、シオリ議長が上院議長兼副大統領として、貴国の復興に力を発揮されたことに対し敬意を表する。日本と貴国の関係は、百年以上の歴史があり、両国間の距離は遠いが、心は近いと思う。貴国において、三万四千人の日系人が温かく迎え入れられていることに対し、改めて感謝申し上げる。今後、両国関係を更に強化すべきであり、その観点から、両国間の議員交流を更に活性化させるべきであると考える。」と述べるとともに、シオリ上院議長の訪日招待を行った。
 その他、女性の社会進出、環境問題等について、議論が行われた。
(三)バレストリーニ下院議長との会談
 扇議長から、「貴国が、安定した民主主義国家を建設され、また、二〇〇一年末の未曾有の経済危機から、たゆまぬ努力により、力強く回復を遂げつつあることを、大変喜ばしく思う。貴国では、多数の日系人が温かく迎えられており、人と人とのつながりが両国関係の大きな礎となっている。しかし、議員交流があまり活発でないことは残念である。先般、貴国議会において亜日友好議員連盟が再結成されたと伺ったが、大変喜ばしいことであり、一層の交流促進に、今後知恵を出し合って努力していきたい。」との発言があった。
 バレストリーニ下院議長は、「未曾有の経済危機によって、議会は予算面の問題などから思うように活動できない状況が続いたが、現在当国経済は、危機から回復しつつあり、今後、下院としても、亜日関係発展のため議員交流等に励んでいきたい。また、扇議長の当国訪問に合わせて、新たな亜日友好議員連盟が結成されたことをうれしく思う。」と述べた。
(四)フェルナンデス首相との会談
 扇議長は、「貴国は、二〇〇一年末に未曾有の経済危機に見舞われたが、ここ数年力強く回復を遂げつつあると承知している。また、一昨年にはCOP10(気候変動枠組条約第10回締約国会議)を開催したほか、通商交渉、PKO等国際社会でも重要な役割を果たしている。国際社会の諸問題において、貴国と我が国が、北朝鮮によるミサイル発射問題などで共通の政策を採っていることは心強い。日本・アルゼンチン関係には百年以上の歴史があり、両国間の距離は遠いが、心は近いと思う。貴国において多数の日系人が温かく受け入れられていることに対し、改めて感謝したい。その一方で、例えば、両国間の貿易・投資は、必ずしも両国の経済規模や発展性に見合ったものとは言い難く、両国の経済・貿易関係を更に拡大させる必要がある。貴国との関係では、債務や国連安保理改革等立場が異なる問題があるが、これらの問題は、今後対話等を通じて解決可能であり、また解決していかなければならないと考える。」と述べた。
 これに対し、フェルナンデス首相から、「日系社会及び日系人は、当国にとって重要な存在となっていることを申し上げたい。現在の両国の貿易・投資は、両国の規模に見合っていないというのはそのとおりであり、拡大するために何をすべきか調査すべきである。当国は、経済危機・政治危機に陥ったが、現在、信頼回復に努めている。また、債務問題の話があったが、この問題を解決することは容易ではないというのが現状である。日本との関係で私が強調したいのは、債務問題という「木」のみを見るのではなく、両国関係という「森」を見るべきであるということである。債務問題とは別に、その他の様々な分野での二国間関係を強化していくべきであり、引き続き日本からの支援を期待したい。」との発言があった。
 この発言を受け、扇議長は、「日本にも『木を見て森を見ず』ということわざがあるが、両国関係もそのようになってはならない。あらゆる分野での関係強化に努めるべきと考える。」と述べた。
(五)タイアナ外務大臣との会談
 扇議長から、「貴国は、未曾有の経済危機から、たゆまぬ努力により、ここ数年力強く回復を遂げつつあり、改めて敬意を表する。また、今日、貴国は、環境、通商交渉、PKOなどで国際社会でも重要な役割を果たしている、取り分け、現在国連安保理非常任理事国として、さきの北朝鮮ミサイル発射問題への対応にも現れているように、国際平和の問題をめぐっても、貴国と我が国が協力関係を築いていることを大変うれしく思う。貴国と日本は、これまで百年以上にわたり友好協力関係を有しており、貴国において、多数の日系人が温かく迎えられていることに改めて感謝する。その一方で、例えば、両国間の貿易・投資は、必ずしも両国の経済規模や発展性に見合ったものと言い難く、自分としては、両国の交流は、経済関係を始めとして、今後まだまだ拡大する大きな可能性を有していると考える。貴国とは、懸案となっている債務問題や国連安保理改革など、貴国と我が国との間で立場が異なる問題はあるが、両国はあらゆる分野で交流を一層活発化するとともに、相互の協力関係をより強固なものとしていかなければならないと考える。」との発言があった。
 これに対し、タイアナ外相は、「日系人の方々は、当国社会に多大な貢献をしてくれており、感謝申し上げる。北朝鮮問題の例に見られるように、思慮深く、節度のある日本が国際社会において何らかの懸念を示した場合、我が国は、直ちに検討し、行動を取る用意があることをお伝えしたい。経済問題については、当国経済は、完全に危機を脱し切れたわけではないが、新しい段階に入っている。現在、重要な時期であり、両国の経済関係を促進させるべき時と考える。今後、日本とは、経済のみならず、議会交流、科学技術、スポーツ面などあらゆる分野で、関係を再活性化していきたい。」と述べた。
(六)その他の日程
 バレストリーニ下院議長主催による上下両院亜日友好議員連盟メンバーとの昼食会が開催され、日本の政治システム、日本の金融政策、環境問題等について、活発な意見交換が行われた。また、一行は、在留邦人・日系団体代表と懇談を行うなど、精力的に活動を行った。
 なお、今回、アルゼンチンのみならずブラジル及びパラグアイにおいても、一行は、日系団体と懇談の機会を持った。現地の日系社会を取り巻く諸問題について、意見交換を行うとともに、今般の公職選挙法の改正により、在外選挙人名簿への登録申請の利便性の向上が図られ、次の参議院選挙からは選挙区への投票も可能となった旨、及び積極的に在外選挙に参加願いたい旨の啓蒙・啓発を行っている。

四、ブラジル連邦共和国訪問概要

(一)ブラジル連邦共和国概要
 ブラジルは、人口、面積、経済力等において南米最大の国であり、国際社会において大きな発言力を有している。
 また、同国には、約百四十万人の日系人が居住し、他方、我が国には、約三十万人の在日ブラジル人が居住しており、我が国とは、伝統的に友好関係にある。
 二〇〇八年は、日本人がブラジルに移住を始めてから百周年を迎える。同年は、日伯交流年とされており、両国関係を飛躍的に発展させるための契機とすべく準備が進められている。
(二)カリェイロス上院議長との会談
 扇議長から、「BRICSの一員として、世界的に目覚ましい発展を遂げている貴国を訪問できたことをうれしく思う。百四十万人もの日系人が存在するのは貴国のみであり、加えて、現在、三十万人を超えるブラジル人が我が国に在住し、社会、経済に大きな貢献をいただいている。両国は、歴史の中で人と人とのつながりによって友好を深めてきたところであり、その一つの結果として二〇〇八年に移民百周年を迎えることとなった。百周年に関し、日伯交流年として、貴院においても祝賀行事を行うということに感謝申し上げる。また、二〇〇八年に向け、人々の交流に加えて、議員間の交流も深めていきたい。我が国からは、参議院議長としてはこれまで誰も訪伯したことがなく、今回が参議院史上、議長として初めての訪伯であることを光栄に思うとともに、受入れに感謝申し上げたい。今回の訪問では、エタノール工場を視察する予定である。資源の無い日本にとってエタノール等の再生可能エネルギーは、環境の面からも二十一世紀のエネルギーとして非常に魅力あるものである。現在、トヨタもガソリン・エタノール両用車を開発している最中と聞いており、これについても視察を行う予定であるが、貴国が有するエタノール関連技術をいかに我が国に導入するのかとの観点を含め、視察を行いたい。」との発言があった。
 これに対し、カリェイロス上院議長は、「扇参議院議長をお迎えでき大変光栄である。日伯は、互いに地域における戦略的パートナーとして重要な存在であると考える。また、百四十万人の日系人、三十万人の在日ブラジル人の存在は、非常に重要であると改めて感じている。当国は、再生可能な新たなエネルギーの開発、供給に大きな力点を置いている。特にエタノールは、既に三百以上のプラントが存在し、日々、改良、開発を行っている。また、バイオディーゼルについても、近い将来の有力なエネルギー源であり政府の優先事項として取り組んでいる。扇議長は、エタノール工場やガソリン・エタノール両用車開発を視察されるとのことであるが、ブラジルにおいてもガソリン・エタノール両用車を作ることでエタノールの使用を広めたとの経緯がある。」と述べた。
(三)レベロ下院議長との会談
 扇議長から、移民百周年を迎える両国の人的交流、記念行事を下院で予定していることへの感謝、議会間交流の活性化、エタノール燃料への注目等に関して発言があった。
 これに対し、レベロ下院議長は、「(幼少時代に近隣の日系人家族と親しく交流したとの自らのエピソードを語りつつ、)私は、貴国に大変な親しみを抱いているほか、歴史の中で貴国が直面してきた様々な局面において、日本人が規律と忍耐をもって更なる発展を勝ち得てきたことを大変尊敬している。当国には、百万を超える日系人が存在し、当国社会において、政治、経済、文化と様々な分野で貢献している。当国における日系人のプレゼンスを、我々はもっと高く評価すべきであり、日本側においても、当国政府が日系人を高く評価しているとの事実をもっと知っていただきたい。移民百周年は、日伯二国間関係上も重要な意味があるものであり、二国間関係や移民の歴史といったものの集大成となるよう、是非盛大に祝賀を行わねばならないと考える。当国は、現在、再生可能エネルギーの国内外への供給という新たな挑戦を行っている。当国は、本分野について経験と知識を持っており、今後、日本と本分野でも協力を行っていきたい。」と述べた。
(四)ルーラ大統領との会談
 扇議長から、「二十六年振りに貴国を訪問したが、発展振りに感嘆している。今回、エタノール工場を見学する予定であり、資源のない日本としては、二十一世紀の有望な再生可能エネルギーであるエタノールに注目しているところ、貴国の技術や経験を是非参考にしたく、楽しみにしている。また、トヨタがガソリン・アルコール両用車を開発していると聞いており、こちらも見学する予定である。小泉首相とルーラ大統領との間の合意により作られた二十一世紀協議会の提言が、本日、ルーラ大統領に提出されると聞いている。同提言は既に小泉首相にも提出されているが、私も百年も二百年も続く日伯関係の構築に向けて提言の実現に努力したい。二〇〇八年の移民百周年に際して、皇室の訪伯を要請する声があるが、この実現についても努力したい。」との発言があった。
 これに対し、ルーラ大統領は、「日伯関係はいろんな分野で進展しているが、安保理では同じ立場であるし、経済的にもデジタルテレビの方式採用や半導体に関する勉強会等、更に関係を進める条件が整っている。百四十万人の日系人、三十万人の在日ブラジル人が交流をしており、これを活用してお互いの政府も関係を深めるべきである。移民百周年に際し、本日、天皇陛下に当国への招待状をお出しすることを決定した。移民百周年は、盛大な祭典としたい。日本人・日系人は、ブラジル社会の発展に大きく貢献しおり、同祭典は日伯の関係が戦略的なものであることを示す良い機会であると考える。」と述べた。
 また、扇議長が、「本日、ルーラ大統領の出席を得て、サントスの日本人会館返還の式典(署名)が行われることに加え、二十一世紀協議会の提言提出も後刻行われる予定と聞いており、本日はブラジルにとって、まさにジャパンデーである。」と述べたところ、大統領は、「まさにその通りである。」と応じた。
(五)アモリン外務大臣との会談
 扇議長から、移民百周年、経済関係活性化問題、本年十一月に予定されるWHO事務局長選挙及び、移民百周年における皇室の訪伯を含む日伯二十一世紀協議会の提言に関して発言があった。
 これに対し、アモリン外相は、「日伯関係は、現在、首脳の相互訪問、デジタルテレビの方式採用等、政治的に極めて良い状況にある。また、二〇〇八年には移民百周年を控えており、こうした時期に扇議長をお迎えすることができて大変うれしく思う。日伯は、現在、政府間のみでなく、国民同士、国家同士の関係にあると言える。」と述べた。
 会談の後には、ブラジル外務省主催の昼食懇談会が開かれ、一行は、ルーラ大統領への提言報告を直後に控えたバチスタ座長を始めとする日伯二十一世紀協議会ブラジル側委員らと、今後の日伯関係の在り方等につき、活発な意見交換を行った。
(六)リオグランデドスル州への日本人移住五十周年記念式典
 本年は、リオグランデドスル州へ初めて日本人が集団移住してから五十年目に当たるため、同地では、一連の祝賀行事が行われていた。議長一行が訪問した際、議長は、栄誉礼を受け、一行のための日系人関係者を集めた昼食会がリゴット州知事主催で開かれるなど、現地で大歓迎を受けた。また、一行は、州知事との懇談、五十周年記念行事視察のほか、日系社会代表と懇談を行った。
(七)その他の日程
 以上のほか、一行は、レンボ・サンパウロ州知事及びガルシア・サンパウロ州議会議長と懇談を行ったほか、エタノール工場、トヨタ工場の視察、日系社会と懇談を行うなど、精力的に活動を行った。

五、パラグアイ共和国・イグアス移住地訪問概要

(一)イグアス移住地概要
 パラグアイへ日本人の移住は、一九三六年に開始され、現在、約七千人が在住する。イグアス移住地は、日本海外移住振興会社の直轄移住地として一九六一年に設立され、面積約八万ヘクタール、在留邦人約五百五十人、日系人約二百五十人、非日系人一万一千人の人口を有する。
(二)イグアス移住地訪問の概要
 一行は、イグアス移住地において、日系各団体幹部との懇談、慰霊碑への献花、日本人会診療所視察、農協サイロ製粉工場視察の後、イグアス日本人会、農協幹部及びパラグアイ日系団体幹部と昼食懇談会を行った。右昼食懇談会において、扇議長から、「一世の方々の時代には余裕はなかったとは思うが、今後は、政治の世界への参加もあるだろうし、地域社会への更なる貢献を期待したい。」との発言があった。

六、終わりに

 一行は、訪問各地の周到な準備により、順調かつ有意義に日程を実施することができた。今回の訪問が、我が国と訪問各国との友好関係の一層の促進につながるものであることを確信する。
 本報告を終えるに当たり、シオリ・アルゼンチン上院議長を始めとする各国関係者の多くの温かい配慮に対し、改めて深い感謝の意を表するものである。また、各大使館及び各総領事館の行き届いた支援についても、ここに特記し、厚く御礼申し上げる。