日本では、国民が自分たちの代表者を選び、選ばれた人たちの話し合いで、国民みんなの生活にかかわることや外国との関係など、国の政治の進め方を決めていきます。
国会は、国民に選ばれた代表者(国会議員)が話し合って、国民のためにさまざまなことを決めていく大切なところです。
国会のもっとも大切なしごとは法律をつくることです。法律をつくれるのは国会だけです。法律のもとになる案(法律案)が国会に提出され、それについて国会の中で話し合われます。そして参議院と衆議院の両方で、法律にしていいと決まると法律が成立します。
それから、国の予算を議決することも国会の大切なしごとです。
内閣から提出された予算は、国会の議決によって正式の予算となります。
このほかにも、内閣総理大臣の指名、条約の承認など、国会には大切な仕事があります。
よりくわしく知りたい人やもっと調べたい人は国会のしくみと法律ができるまで!を見てね。
中央の塔を境にして、正面に向かって右側が参議院、左側が衆議院です。右と左はまったく同じ形になっています。外見だけでなく中のつくりも、左右ほぼ同じになっています。このようなつくりになっているのには大きなひみつがあります。
国会は国民の代表が集まって国の大切な取り決めを行うところです。わが国の国会は衆議院と参議院の2つの議院から成り立っています。このような国会のしくみを二院制とよんでいます。
国会では2つの議院が、それぞれ独立して話し合いをすることで、国の大切な決定をより慎重(しんちょう)に行うことができるようにしているのです。
いずれも国民の代表者で構成される衆議院と参議院がそれぞれの特徴(とくちょう)をいかしながらその役割(やくわり)をよりよく果たすという、わが国の国会のしくみが、国会議事堂の形に表されていると言えます。
本会議場は衆参ともに議事堂の2階にあって、3階までふきぬけになっています。 面積はともに743平方メートルです。
正面中央のいすは、天皇陛下が開会式のときにおすわりになるお席です。 このお席は参議院の本会議場だけにあって、衆議院の本会議場にはありません。
議長席は一段高くなっていて、議場全体がよく見渡せるようになっています。
そのとなりには、議長を手助けする事務総長の席があります。
議長の机の右手に置いてある木槌のことで、本会議を始めるときなど、議長がトントンとたたきます。
議長席の両側に2列に並んでいる席の前列が大臣がすわる席で、総理大臣の席は向かって左側の列の最も中央寄りです。 後列は事務局職員の席です。
演壇は議長席の前にあって、議員や国務大臣はここで発言します。
演壇の机の中央には原稿をのせる台、右側には水差しとコップが置かれています。
会議の内容はすべて記録されています。
以前は、速記者と呼ばれる専門の職員が座り、記録を取っていました。
現在は、映像・音声を視聴しながらタイピング入力するシステムにより、執務室で会議録を作っています。
議員は自分の席に着くと、机の氏名標(黒い名札)を立てます。
氏名標を立てると、光センサーが働いて出席したことが記録されます。机には押しボタン式投票機が組み込まれています。採決の時に議員がボタンを押すと、投票総数、賛成者数、反対者数が議場内の3か所の表示盤に示されます。
3階には、一般の人たちが本会議の様子を見たり、聞いたりするための席があります。 また、外国からのお客さまや外交官のための席などもあります。
みなさんはテレビの中継などで会議の様子を見たことがありますか。
本会議場には、新聞や放送関係の人たち専用の席が用意されています。
これは、国会の中のことを広く国民に伝えることを目的にしたものです。
今日は国会の開会式です。天皇陛下が参議院本会議場でおことばを述べられます。
開会式のときは、衆議院と参議院の両方の議員が本会議場に集まります。
中央玄関は、天皇陛下をおむかえするとき、選挙の後に議員が初めて登院するとき、外国の大統領などが国会においでになったときに使います。
中央広間から中央階段を上がると、天皇陛下の御休所があります。
国会の開会式の当日、陛下はこのお部屋に入られます。
衆参両院の議長と副議長は、ここで陛下にお目にかかります。
御休所は、当時のすぐれた材料と技術を生かして作られています。
議長は、参議院議員248人のトップとして、参議院を代表します。
国会議員は選挙で選ばれます。そして、国民全体の代表として、おもにつぎのような仕事をしています。
国会議事堂の廊下にしかれた赤いじゅうたん。はばは1.8メートルで、ぜんぶの長さをたすとおよそ4キロメートルにもなります。この赤いじゅうたんにそって歩くと、委員会室という部屋がたくさん並んでいることに気がつくはずです。
国会の中で開かれる委員会というのは、どのようなものなのでしょう。
みなさんの学校にもいろいろな委員会があり、高学年の人が中心になって、学校生活をよりよいものにするための取り組みを分担して行っていますよね。
実は、国会もみなさんの学校と同じように、国会議員がいくつかの委員会に分かれて、それぞれの仕事を分担して行っているのです。
衆議院、参議院それぞれに17の常任委員会が置かれています。たとえば、みなさんに関係の深い教育については、参議院では文教科学委員会という委員会で話し合われます。これらの委員会のほかに特別に委員会が置かれることもあります。また、参議院には調査会という参議院だけの機関があります。
本会議の日程を決めたり、議院全体のことを話し合う委員会です。
国の予算がどのように使われるかを話し合う委員会です。
国の予算の使われ方が正しかったかどうか話し合う委員会です。
参議院の委員会の採決の多くは挙手で行われます。
戦前の帝国議会では、本会議で大部分の内容を話し合う形をとっていましたが、日本国憲法が制定され現在の国会になってからは、委員会中心の形をとるようになりました。しかし、いくら委員会を中心に話し合いが進められるといっても、国の大切な事がらについて最終的な決定を行うのは本会議であるということに変わりはありません。
国会議事堂の中央塔の下に中央広間があります。ここには伊藤博文、板垣退助、大隈重信の3人の銅像が立っています。
みなさんが、社会科で学習したように、伊藤博文は、大日本帝国憲法の制定や帝国議会の開設等に力をつくした日本の初代の内閣総理大臣です。板垣退助は、国民による議会の開設をもとめ、自由民権運動で活躍した人です。大隈重信は、日本で最初の政党内閣の総理大臣をつとめた人です。
この3人は、わが国の議会制度の基礎をつくった代表的な政治家ですが、この国会議事堂の演壇に立ち、演説をしたことがあるのでしょうか。
明治23年(1890年)に第1回帝国議会が開かれましたが、議会は仮議事堂で開かれる時代が長く続きました。現在の国会議事堂がつくられ始めたのは、大正9年(1920年)の1月、完成したのは昭和11年(1936年)の11月です。ですから、伊藤博文も板垣退助も大隈重信も、この議事堂の演壇に立つことはありませんでした。
わが国の議会制度の基礎づくりに力をつくした3人は、今も議事堂の真ん中に立って、国会の様子をしっかりと見守ってくれています。3人の銅像は、みなさんに何を語りかけてきましたか。
国会議事堂の中で働く人というと、一番に思い浮かべるのが国会議員だと思います。でも、国会の中で働いているのは議員だけではありません。
たとえば、どちらの議院にも、会議を開くための準備や事務関係の仕事を行っている議院事務局というのがあります。参議院の場合、議員数が248名なのに対して、事務局や常任委員会調査室、法制局で働いている人は約1300名です。これらの人々がそれぞれの仕事を責任をもって行っているから、議員の人たちが思う存分に仕事に打ち込むことができるのです。
国会の事務の仕事には、本当にさまざまなものがあります。
みなさんが議事堂の中ですれちがった人たちは、それぞれどんな仕事をしている人なのでしょうか。服装や持ち物などをヒントに想像してみましょう。
衛視の人たちは、議事堂の中や周囲の警備をしたり、参観者や傍聴人の案内などをしたりします。
国民の代表が集まる国会議事堂はまさに「日本の顔」。ゆかやかべもいつもきれいな状態が保てるように、毎日そうじをしています。
左は国会議員に意見や要望を伝えに来た人たちの受け付けや、請願の受け付けの様子です。
本会議の開会前に、議場の点検など準備をしているところです。