委員会・調査会・憲法審査会質疑項目

会議一覧へ戻る

憲法審査会の質疑項目へ戻る

第217回国会 憲法審査会

令和7年5月21日(水) 第4回

1. 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について(憲法と現実のかい離))

【主な発言項目】
  • 中西 祐介 君(自民)
    • ほとんどの会派により合区解消が必要であると認識されている中、最高裁判決の指摘、世論調査、海外事例や緊急時の対応といった観点からも、本年行われる参議院選挙で5度目の合区選挙が行われるのは立法府の不作為というべき事態であり、人口数だけを尺度に地域を代表する参議院議員を減らすということは、立法府がこの国における負の循環を促しているようなものとの見解
    • 憲法学者や地方政治学者、全国知事会の指摘から見ても、憲法における地方自治規定の規律密度の低さと、地方自治体が果たす役割の重大さと大きさという現実は、まさに是正すべき憲法と現実のかい離であるとの見解
    • 参議院改革協議会に対し、令和10年の参議院選挙においては合区の弊害が解消された選挙が実施できるよう不退転の意思と計画性を持った審議を強く要請するとともに、憲法審査会においては、地方自治と選挙制度の現状に鑑み、憲法第8章の地方自治などについて議論を更に深めるべきとの見解
  • 福島 みずほ 君(立憲)
    • 憲法尊重擁護義務を持つ国会議員がなすべきことは、憲法理念が生かされていない現実の中で憲法改正を主張することではなく、現実を憲法に合わせ、憲法が保障する基本的人権が生かされる平和な社会をつくっていくことであり、憲法審査会にもその役割が期待されているとの見解
    • 夫婦同姓の現行制度は憲法13条、14条、24条に反しており、同性婚を認めないことについては五つの高裁で違憲判決が出ているが、夫婦別姓と同性婚を実現できていないことは国会の怠慢であり、国会議員は憲法と現実のかい離を埋める努力をすべきとの見解
    • 生活保護基準の引下げ、訪問介護報酬の減額、高額療養費の自己負担額引上げなどの生存権の侵害、安保関連法や安保三文書の具体化による憲法9条破壊、審議中の学術会議改革法案、内閣が臨時会を召集しなかった過去の事例など、多く存在する憲法と現実のかい離を埋めるべく、法律制定、法改正や政策の転換をすべきとの見解
  • 平木 大作 君(公明)
    • 高裁で5件の違憲判決が出そろった同性婚の問題など、これ以上立法府の不作為によって個人の尊厳に関わる憲法的問題を放置すべきではないとの見解
    • 個人の尊厳に関わる問題については最高裁判決が出るまで放置し、一方で、緊急事態時における任期延長の議論に専心する姿は、国会議員が自分たちの身分保障にきゅうきゅうとしているようにしか見えないことに自覚的であるべきとの見解
    • 憲法9条に自衛隊を明記すべきとする主張については、議論が積み重ねられてきた憲法解釈の安定性を揺るがす危険性があり賛成できないが、我が国最大の実力組織である自衛隊に対する内閣や国会による民主的統制を憲法の統治機構の中に位置付けることについては、検討に値するとの見解
  • 浅田 均 君(維新)
    • 時代の変化がもたらした憲法と現実のかい離は、①国民主権と国民の政治参加、②基本的人権の尊重と社会の不平等、③安全保障環境の変化、④教育の機会平等と教育格差、⑤地方自治と中央集権、統治機構の硬直性、⑥情報技術とプライバシーの保護、⑦グローバル化と国際関係、⑧環境問題と持続可能性の8点であるとの見解
    • 憲法96条の高いハードルにより、時代の変化に応じた柔軟な憲法改正が難しいことも事実だが、国民投票が成立寸前まで来ているのも事実であるとの見解
  • 川合 孝典 君(民主)
    • 憲法制定時には想定されていなかったデジタル化に対応して個人の尊厳を守り続けるための基本理念として、憲法13条に定める個人の尊重をサイバー空間へ拡張する必要があり、その上で各論的な人権保障規定として、14条関係では遺伝的属性による差別の禁止、18条関係では情報自己決定権の保障の追加を検討することなどが挙げられるとの見解
    • プラットフォーム提供者が言論空間のみならず経済活動分野においても甚大な影響力を有している現状に鑑み、憲法21条に熟議可能な言論空間の確保規定を追加することや、プラットフォーム提供者の責務やその環境整備に関する国の責務に関する規定を22条に追加することが検討されるべきであるとの見解
    • デジタル時代の民主主義の在り方として、選挙や国民投票の公正を確保するための規律についても、憲法上明確にしておく必要があるか否かについて検討する必要があるとの見解
  • 仁比 聡平 君(共産)
    • 日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳代表委員が、日本政府が一貫して被爆者への国家補償を拒んでいるとノーベル平和賞授賞式の場で発言されたが、自民党政治が戦争の被害は受忍せよとの誤った立場を改めず、5年間で43兆円もの大軍拡や日米軍事一体化を進めていることは憲法の平和原則を根底から覆す暴挙であるとの見解
    • 日米同盟絶対の戦争する国づくりへの暴走は、米国とともに世界から孤立する道であり、対話と外交の力で戦争の心配のない東アジアをつくり、憲法を生かす国民的な共同が必要との見解
    • 同性婚の実現及び選択的夫婦別姓問題について、党派を超え、根深い家父長制的な固定観念を乗り越えて、誰もがお互いを尊重し合い、ジェンダーに基づく支配や暴力、差別のない社会に変えていくことが必要との見解
  • 山本 太郎 君(れ新)
    • 生活保護受給者、能登半島地震、奥能登豪雨の被災者、就職氷河期世代、奨学金債務のある若者らが苦しんでいるのは、憲法13条、25条が保障する基本的人権が侵害されているためであり、国がこれを長く放置する事例が多すぎ、これらを取り上げ、調査と対策を進めていくための議論が必要との見解
    • 憲法審査会の最優先課題は、現行憲法をほごにし、30年続く悪政とその検証、それを改める具体を政府に突き付けることであるとの見解
  • 高良 鉄美 君(沖縄)
    • 憲法の最高法規性からすれば、憲法とかい離している現実を問題にし、議論していくのが国会の役割であるとの見解
    • 憲法改正をすることが国会議員の義務であるとの主張は独善的であるとの見解
    • 現実に合わせるように憲法を政策的に変えていくのではなく、現実を憲法に適合するように政策を策定し実施していくのが、法の支配の実現であるとの見解
  • 和田 政宗 君(自民)
    • 繰延投票では、先行する投票結果を受けて繰延投票の結果に影響が出かねず、また、被災地以外の地域での衆議院選挙を受けて特別国会が召集された場合、特に災害対応や復旧復興に全力を注ぐべき重要な局面で被災地の意思が反映されないまま国会において様々なことが決定されることへの懸念があるとの見解
    • 災害時に民主主義の根幹である選挙を守るために、繰延投票などの現行制度について論点を整理しつつ、あらゆる事態を想定して憲法で備えることについて、現行憲法のままで対応可能か、憲法改正が必要かの議論を更に深めるべきとの見解
  • 松沢 成文 君(維新)
    • 参議院議員は6年の任期が保障されており、衆議院議員より中長期的な政策を大局に立って審議し結果を出せるはずが、衆議院憲法審査会の後追いをするだけで憲法改正審議の主導権を全く発揮できない参議院憲法審査会の現状こそが国民の憲法改正に対する期待と現状のかい離ではないかとの見解
    • 現行憲法の最大の問題点は、国の存続のため必須の条件である国家安全保障と国家緊急事態の対応を定めた条文の欠如であり、憲法9条については侵略戦争を否定した上で自衛権を明記し文民統制下に置くと改正し、国家の緊急事態に憲法秩序を守りながら対応できるよう新たな条項を加えるべきとの見解
  • 打越 さく良 君(立憲)
    • 世論調査を見ても改憲に前のめりな姿勢はいさめられており、憲法審査会の第一義的な責務は日本国憲法に違反すると主張されながら改正されずに放置されている法律について調査を行うことであるとの見解
    • 夫婦同氏強制は憲法違反だとする学説が多数とされ、同性婚訴訟では高裁の違憲判断が続き、選択的夫婦別姓や同性婚を認めれば社会の幸福は確実に増えるにもかかわらず、反対する国会議員は憲法尊重擁護義務に背を向けていると言わざるを得ないとの見解

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。