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第217回国会 憲法審査会

令和7年4月2日(水) 第1回

1. 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について)

【主な発言項目】
  • 佐藤 正久 君(自民)
    • 日本国憲法における唯一の緊急事態条項である緊急集会の活動期間については、衆議院議員の不在時の任期延長等の措置が整えられたとしても、否決により不在が続く場合に立法府が対応不能とならないよう、70日に活動期間を厳格に限定するものではないとの見解
    • 衆議院議員の任期延長、身分復活の要件となる選挙困難事態は、緊急集会とは切り離して議論すべきであり、長期性要件については6か月、3か月あるいは相当長期にわたるといった考え方、広範性要件については相当の国難事態と捉え得るものなのか、精緻な検討が必要との見解
    • 緊急集会の権限行使の範囲については、原則として国会の権能全てに及び、緊急性の必要があれば、総理の指名、条約の締結の承認、本予算を含め、限定的、制約的に整理する必要はないとの見解
    • 参議院の緊急集会の位置付けや権能、大規模災害等が発生した場合の選挙制度の在り方をテーマとして更に議論を深め、参議院としての考え方をまとめていくべきとの見解
  • 辻元 清美 君(立憲)
    • 戦後80年間の我が国の発展は、平和主義を掲げ、人権法典として優れた憲法に基づくものと言え、改めて、この節目の年に、憲法の意義について議論すべきとの見解
    • 同性婚禁止、性同一性障害の生殖能力に関する規定、選択的夫婦別姓、臨時会の召集義務違反等の憲法問題を、憲法審査会において調査審議することが必要との見解
    • 国民投票については、CM規制、ネット上のフェイク情報への対処、広報協議会の在り方について結論を得ないと実施は困難との見解
    • 緊急集会の機能強化や制度整備、選挙制度との関係などについて議論を更に深めることは有意義だが、緊急集会の在り方は、参議院全体に関わる事項であり、参議院改革協議会等で広範な議論が必要となるため、参議院憲法審査会だけで結論を出すことはできず、参議院を差しおいて衆議院憲法審査会で、その機能等について結論を出すような事項でもないということは、参議院憲法審査会の各党の合意がなされるものとの見解
  • 谷合 正明 君(公明)
    • 緊急事態における国会機能の維持について、参議院の基本的かつ重要な権能である緊急集会をめぐる様々な論点や、参議院BCPといった実務上の論点について憲法審査会として見解・課題を整理する必要があり、また、緊急時の国会議員のオンライン出席についても意見集約を求めたいとの見解
    • 国民投票法を所管する憲法審査会として、フェイクニュース、偽情報にどう対応するか、表現の自由と国民投票の公平公正とのバランスを踏まえた議論を行い、あわせて、国民投票の広報において広報協議会が果たすべき役割についても規程の整備を念頭に議論を行うべきとの見解
    • 憲法の下で政党をどのように位置付けるべきかや政党法の在り方、また、性的マイノリティーや外国人、障害者等の人権課題について憲法審査会でも取り上げ議論をすべきではないかとの見解
  • 片山 大介 君(維新)
    • 参議院憲法審査会の討議は9か月ぶりであり、閉会中も開会でき、また、衆議院憲法審査会では昨年12月に1回、今国会既に2回の開会があるなか、参議院憲法審査会が開会しないのは残念、そろそろ意見集約をし、国民に判断材料を提供すべき、そのためにも定例日外も開会するとともに、NHK中継も求めるとの見解
    • 武力攻撃、内乱・テロ、自然災害、感染症の蔓延、その他これらに匹敵する事態がいつどこで発生するかわからないなか、緊急事態による選挙困難時の議員任期延長条項の必要性について、5党派で必要である旨一致し、3党派で既に条文案を作成しているとの指摘
    • 議員任期延長論においても参議院の緊急集会の重要性は変わらないが、長期にわたる場合を想定していないなどの限界もあり、参議院の憲法審査会でこそ率先して議論されるべきであり意見集約を目指すべきとの見解
  • 川合 孝典 君(民主)
    • AIやネット社会によって、自立した個人の尊厳が脅かされたり、豊かな対話と熟議の確保を前提とした民主主義社会の基礎が揺るがされたりする事態となっているため、憲法の定める基本的人権の保障を、デジタル時代の到来や個人の生き方の変化、多様化に対応させるためのアップデートが必要との見解
    • 地方自治、衆議院解散権、臨時会召集要求、9条に見られるように、日本国憲法は条文の抽象度が高く、その解釈に恣意性が働きすぎるおそれがあるため、体系性を維持しつつも、適切な範囲でこの規律密度を高めることにより三権分立のゆがみを是正し、憲法の規範力とそれに対する国民の信頼を再構築して法の支配を貫徹させることは喫緊の課題との見解
    • 国民民主党は、現行憲法の個人の尊重を核とした人権尊重、国民主権、平和主義の三つの基本原理を堅持することを宣言するとともに、個人の尊厳、地域の尊厳、そして国家の尊厳の具体化を通じて、目指すべきこの国の形を提示する国家目標を掲げて、その実現に向けて努力していく姿勢を明らかにするべきと考えるとの見解
  • 山添 拓 君(共産)
    • 世論調査において石破内閣に取り組んでほしい政策として改憲を挙げたのは3.3%にすぎず、改憲は政治の優先課題ではなく、改憲のために審査会を動かすべきではないとの見解
    • 緊急集会の性格は、一時的、暫定的なものであり、これは、権力の集中と濫用を排除する上で重要であり、また、緊急事態から通常時への復元力が高いとの見解
    • 衆議院議員の任期の延長が必要という議論における選挙の一体性とはいかにも曖昧な概念であり、選挙困難事態という主張は危機をあおれば改憲の突破口となるとの打算にほかならないとの見解
  • 山本 太郎 君(れ新)
    • 現行憲法も守らない者が憲法改正を主張すべきではなく、まずは現行憲法を遵守すべきとの見解
    • 憲法審査会の役割である調査を最優先とし、現行憲法と密接に関連する法制度が憲法の趣旨に沿って運用されているか、憲法の趣旨に即してどのような法改正が必要かを議論し、政府に質すことが憲法審査会の存在意義との見解
    • 憲法審査会において憲法13条や25条に特化したテーマ設定で調査を行うべきとの見解
  • 高良 鉄美 君(沖縄)
    • 法の支配とは専断的な国家権力の支配を法で拘束することであるが、法の支配と法律の支配とは全く異なり、法とは憲法であるから、憲法に適合しているかどうかの問題であるとの見解
    • 国会議員がなぜ国会議員たるものかは、憲法で国会議員と書かれ、そこに地位があるから国会議員なのであり、憲法よりあたかも上にあるかのように憲法改正議論が国会議員の義務だというのは、基本的な視点で間違っているとの見解
    • 規定上憲法が求めているのは、国民の人権保障と暮らしの安定、生存権の問題で、この問題が具体的に出てきて主権者として国民から依頼があった場合に憲法審査会で議論していくのであり、重箱の隅をつつく形であらを探して毎回議論するのは憲法と国会議員、法の支配の在り方として非常に問題があるとの見解
  • 若林 洋平 君(自民)
    • 合区について、参議院改革協議会選挙制度に関する専門委員会の報告書においても、その弊害は各党共通の認識であり、現行合区の不合理は解消すべきとの意見がほとんどであったが、抜本的な解消に向けて憲法審査会においても議論を深めるべきとの見解
    • 全国知事会からも憲法改正による合区解消と地方自治規定の充実を求める声があり、都道府県制度を憲法にどのように位置付けるかという議論を進める必要があるとの見解
  • 福島 みずほ 君(立憲)
    • 参議院の緊急集会を無視あるいは限定し、緊急事態条項、特に国会議員の在任期間の延長を語ることは参議院軽視であり、緊急事態条項、国会議員の任期期間の延長に強く反対するとの見解
    • 憲法審査会の目的の大きな一つである法律や制度が憲法適合性を持っているかどうかの点検と議論こそ必要であり、まず、違憲と言われたことを受け止め、同性婚や性別変更の法律についての憲法適合性について議論することの提案
  • 山本 啓介 君(自民)
    • 自衛隊については、他国の軍隊と遜色ないにもかかわらず、国内において戦力ではないとされ曖昧な存在として扱われているため、憲法に明記し、民主政治の下に明確に位置付けるべきとの見解
  • 柴田 巧 君(維新)
    • 時代と国際情勢の変化に取り残されたままの現行憲法の課題は明確であり、国民の生命、財産、我が国の平和と安定を守るために、憲法改正を遅滞なく実現すべきとの見解
    • 立憲主義、民主主義の根幹には国民主権があり、それを具現化するのが憲法改正の国民投票であることを踏まえ、国民投票の実施に向けて真摯に議論を進めていく必要があるとの見解
  • 平木 大作 君(公明)
    • 議論のゴールを憲法改正だけに限定してしまうのは立法府の使命に照らして間違いであり、憲法審査会における議論を端緒に、いまだ憲法的価値が立法を通じて具体化されていないテーマについて議員立法の活性化につなげる工夫があってもよいとの見解
    • 同性婚を認めない民法などの規定について、日本国憲法の中枢的価値である法の下の平等を定めた憲法14条と、そのことを家庭生活の局面で法律を通じて具体化することを定めた憲法24条2項に違反していると高裁判決全てで判じられた意味は大きく、立法府として直ちに是正に取り組むことの要請
  • 田島 麻衣子 君(立憲)
    • フェイクニュースや偽情報による民意のゆがみが憲法改正国民投票法の結果に影響を与えた場合、取り返しのつかない事態になるため、影響が世界的に深刻化している現状を踏まえた国民投票法の議論が必要とする見解
    • インターネットの適正な利用の確保等、国民投票の公平及び公正を確保するための検討課題を掲げている令和3年国民投票法改正法の附則4条の趣旨について、立憲の発議者からは、この課題の法改正なくして改憲発議ができない旨、与党の発議者からも法改正が必要である旨の答弁があったとの指摘
  • 臼井 正一 君(自民)
    • 非常事態により選挙が行えない状況における時の政権の正統性、参議院議員選挙における合区解消、経済的理由にかかわらず教育を受ける機会の確保を含めた教育の充実について、憲法に規定を設けるべきとの見解
    • 令和3年国民投票法改正の際の附則に示された投票環境整備やインターネット利用の在り方は、検討が必要であるが、この検討条項の下でも憲法改正の発議が可能であり、また、組織的多数人買収以外の買収の禁止、外国勢力による国民投票運動の禁止についての検討も必要であるとの見解
  • 仁比 聡平 君(共産)
    • 同性婚の法制化については、高裁全てが同性婚を認めない民法などを違憲とし、もはや司法の流れは定まったと言え、これ以上の不作為は許されず、今国会の緊急課題であるとの見解
  • 梶原 大介 君(自民)
    • 全国知事会を始め、全国から合区解消を求める声が寄せられていることも踏まえ、投票価値の平等という観点だけで都道府県という民主主義の単位を軽視するような状況が続けば、ますます住民の政治参加意欲を減退させ、民主主義の衰退につながることに留意をした上で議論が重ねられるべきとの見解
    • 憲法26条の理念を更に発展をさせるためにも、憲法改正により、国民の教育を受ける権利を実質化し、国の教育環境整備の責務を憲法に規定して教育立国を宣言する必要があるとの見解
  • 打越 さく良 君(立憲)
    • 憲法審査会は、日本国憲法及び密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うべき機関であることから、日本国憲法に違反すると主張されながら、改正されず放置されている法律について調査を行うことも責務であるとの見解
    • 民法等において同性婚や選択的夫婦別姓が認められないことが憲法に違反しないかが争われ続けているが、反対の人に強いるものではないことから、導入によって誰も不幸にならず社会全体の幸福の総量は確実に増大するのであり、憲法上疑義のある法律を放置する立法府であってはならないとの見解
  • 小西 洋之 君(立憲)
    • 緊急集会の期間を70日と限定する憲法54条の連関構造説が唱えられているが、立法事実、立法経緯に照らして法令解釈とは言えない暴論であり、54条3項の復元力、レジリエンスとその後の衆議院の厳格な同意制度からは70日限定説を法令解釈と認める余地はないとする見解
    • 緊急集会は、その制定経緯を踏まえれば、二院制を補完するための制度であり、二院制の例外制度ではないとする見解

※上記質疑項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。質疑の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。