
会議一覧へ戻る
憲法審査会の質疑項目へ戻る
第213回国会 憲法審査会
令和6年6月12日(水) 第5回
【事務局当局及び川崎参議院法制局長の説明骨子】
【主な発言項目】
- 片山 さつき 君(自民)
- これまでの国民投票法改正時も、投票人の投票に係る環境整備の規定を公選法並びのものとすることは合理的であると判断されており、現在、衆議院憲法審査会に付託されている、公選法と同様の投票環境整備を行う国民投票法改正案が参議院に送付されれば速やかに審議すべきとの見解
- 国民投票の公平公正の確保は、投票の公正確保のための最小限の規制を課すことを基本とし、放送事業者は自主的な規制、取組により対応すべきであり、インターネット広告の規制については広告回数や広告費などの広報協議会への報告の義務付けなどが考えられるとの見解
- 生成AIによるフェイクニュースなどの影響が深刻さを増しており、国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るため、広報協議会によるガイドラインの提示や外部のファクトチェック機関との連携などが有効であるとの見解
- 合同審査会規程、広報協議会規程など、いわゆる細則的事項を定めるための規程の議論は参議院ではほとんど行われておらず、衆参の議院運営委員会とは別に、参議院憲法審査会においても委員間で深めていくべきとの見解
- 辻元 清美 君(立憲)
- 国民投票法制定当時に比べ、インターネット社会は著しく進歩、進化、拡大しており、テレビCMの投票日前2週間の禁止だけでなく、インターネットCMについても、何らかの法規制が必要であり、立憲民主党は、政党等によるインターネットCMを禁止し、その他の者によるインターネットCMについてはインターネット広告事業者にCM掲載基準の策定等の努力義務を課す国民投票法改正案をまとめているとの見解
- インターネットの適正利用の確保は喫緊の課題であり、広報協議会によるガイドラインの作成などのほか、フェイクニュース対策として、広報協議会による客観的かつ中立的な情報の積極的な提供、広報協議会とファクトチェック団体との連携などを積極的に検討すべきとの見解
- 資金力の多寡による公平性への悪影響を踏まえ、国民投票運動等の支出上限の設定、収支報告書の提出などが必要であるとの見解
- 伊藤 孝江 君(公明)
- 国民投票の環境整備として、国民に対し公正中立で分かりやすく十分な量の正確な情報が提供されることが不可欠であり、表現の自由と国民の知る権利の保障が民主主義の基盤であって、その制約は必要最小限でなければならないところ、国民投票法では、投票期日直前14日間、国民投票運動のための広告放送を禁止するとしていることから、これ以上の規制は、業界団体や放送事業者の自主規制に委ねられるべきとの見解
- 新聞等の活字媒体、テレビ等の放送メディア、インターネットを通じた有料CMについて、広告主である政党が広告の量や時期等についての自主規制ルールを検討し、政党間での協議につなげていく必要があるとの見解
- 国民への情報提供において、インターネットの活用も含め、広報協議会の役割が極めて重要であり、広報機能の充実強化が求められるところ、協議会の運営、組織等に関する事項、広報のための放送に関する事項、広報のための新聞広告に関する事項について、規程の整備を検討する必要があるとの見解
- 一人でも多くの国民が国民投票運動に関する共通認識を持つことが大切であり、憲法改正案とともに国民投票運動についても丁寧に周知、広報し、国民投票運動を促進することが必要との見解
- 片山 大介 君(維教)
- 令和3年改正国民投票法附則4条の検討課題については、この解決が優先されるのか、検討しながらも改正原案の審議と改正の発議も行うことができるのか議論になってきたが、国会法では、憲法審査会は憲法に関する調査、改正原案の審査及び国民投票の審査が目的とされ、この三つに優劣はなく、憲法本体の議論と国民投票に関わる議論を同時に進めていくことができるとの見解
- 検討課題のうち、投票人の投票に係る環境の整備については、我が党を含む4会派でおととし、開票立会人の選任に係る規定の整備など3項目からなる公選法並びの改正案を衆議院に提出しており、これが成立すれば検討課題の一つが解決されることになるのに、その後2年以上にわたってたなざらしになっていることを改めて認識していただきたいとの見解
- 検討課題のうち、国民投票の公平及び公正の確保については、国民投票法制定時の基本的な考え方に立ち戻るべきであり、これを踏まえれば、国民投票運動の放送CMやインターネットCMを含めたインターネット上の情報発信については、法による過度な規制は政治的表現の自由を制約することにつながりかねず、自由と公正のバランスを踏まえた慎重な対応が必要であるとの見解
- 広報協議会については、運営、組織に関する事項や広報のための放送、新聞広告に関する事項の規程が未整備のままであるが、国民投票を実施するに当たってこうした整備は大前提になるので、間もなく会期末を迎える国会の開会、閉会に関係なく早急に検討を進めていくべきとの見解
- 礒崎 哲史 君(民主)
- 国民投票法105条の放送事業者について、多様な放送形態や事業者がある現状においては、明確にその領域を検討し、現状に合わせた整理が必要との見解
- 広報協議会が行う憲法改正案の広告の規定は、テレビ、ラジオ、新聞に限定され、インターネットを利用した広告についての法整備が必要であり、その際、重要なことは、テレビ、ラジオ放送での同一の時間数及び同等の時間帯や新聞広告での同一の寸法及び回数をインターネット上でどのように確保し、公正性、公平性を担保するのかを具体的に検討する必要があるとの見解
- インターネット広告について、プラットフォーム事業者が守るべき放送法4条のような政治的中立性を求める一般ルールの必要性についても議論が必要であり、これは国民投票法に限らない問題でもあるとの見解
- 膨大かつ巧妙なフェイク情報があふれた際に、果たして広報協議会の発信だけで対抗できるのかとの疑問があるため、情報リテラシー教育の強化等に加え、広報協議会に何らかのファクトチェック機能を持たせることを民間機関との連携を含めて検討すべきとの見解
- 山添 拓 君(共産)
- インターネット有料広告は、選挙区内のユーザーに絞って配信するターゲティング広告も可能であり、また、資金が豊富な候補者や陣営が多くの広告を出せば選挙の公平性を保てない懸念があるため、政治活動としての政策広告ではなく、選挙運動としてのインターネット有料広告が公選法で禁止されているのは必要な措置と言えるとの見解
- 有権者の自由な意見表明が最も尊重されるべき国民投票で、公務員や教員個々人の運動を萎縮させるような規定がありながら、投票権を持たない企業などの資金力を動員した広告の大量発信は制限しておらず、また、SNSを含むインターネット、AIの利用、フェイク情報等によっても巨大な影響を及ぼし得るとの見解
- 主権者一人一人の意思より資金力の多寡が国民投票の結果を左右しかねないのは、現行法が抱える根本的な欠陥の一つであり、自民党の裏金事件に象徴される、民意ではなく金が物を言う政治の在り方は言語道断であるとの見解
- 山本 太郎 君(れ新)
- 圧倒的、一方的な意見を伝え続けるテレビCM、番組などが一日中垂れ流されれば、憲法改正の中身を理解しないまま、メディアに演出された盛り上がりに乗って記憶に多く刷り込まれた方に投票する事態が起こり得、広告宣伝に対する制限というのはほぼ存在しない現行法は害悪でしかないとの見解
- 資金量の多寡がCMの量に影響し、一方的な情報のみが流されるとの懸念があると認識しつつも、国民投票法には資金上限は設けず、CMの出し手、受け手の自主的規制によって解決すべきとの姿勢は民主主義の破壊であるとの見解
- 少なくとも世界の国々で行われているレベルの厳格なメディア規制がされない限り、前に進めてはいけないのが憲法改正であるとの見解
- 高良 鉄美 君(沖縄)
- 日本国憲法が硬性憲法であることは憲法保障の一端であることや憲法制定権力は主権者である国民にあることを踏まえると、憲法96条の憲法改正案に対する国民の承認には、主権者、有権者としての国民の総数の過半数の賛成が必要と解するのが憲法の規定と最も整合的であるとの見解
- 最低投票率の定めがなくごく僅かの投票者のみで憲法改正案を決することは、国民投票は主権者の意思表明であるという意義を失わせるとの見解
- 憲法改正原案の審査に両院協議会や合同審査会を活用することは、憲法改正の発議に各議院の総議員の3分の2以上の賛成を必要とする憲法96条の意味を失わせるとの見解
- 小林 一大 君(自民)
- 衆議院憲法審査会に付託されている国民投票法改正案について、投票環境の整備という観点で、既に改正された公選法と平仄が取れていない状況にあることから、参議院に送付された場合、速やかに審議し成立させるべきとの見解
- 令和3年の国民投票法改正の際に、与野党各会派の原案発議者、修正案提出者の答弁において、検討条項の下でも法制的に憲法本体の議論や憲法改正の発議が可能であるとの共通認識が示されていることから、検討事項について結論が出ないことをもって憲法改正の発議ができないということはないとの見解
- 広報協議会規程等の制定に向けても議論を進めなければならないが、フェイクニュース対策が極めて技術的、専門的であること等から、広報協議会規程等を議論する際に、集中的に議論するための別の検討の場を設けることも考慮すべきとの提案
- 小沢 雅仁 君(立憲)
- 累次の国民投票法の改正において、参議院憲法審査会では、国民投票の公平及び公正や国民投票運動の自由を守るために重要な事項の附帯決議が付されているが、政府が対応を求められた項目については検討状況さえ分からないものが大半であり、本審査会として、まずは政府に対し、附帯決議で求められた項目の検討状況や講じた措置などについての報告を速やかに求める必要があるとの見解
- 憲法改正の正当性を確保するためなどの観点から、最低投票率制度の意義、是非について検討し、速やかに結論を得る旨の附帯決議が設けられたが、その後、この議論は深まっておらず、憲法改正の正当性が確保されない国民投票などあってはならないため、憲法改正の本体議論の前に、最低投票率制度の議論を進めるべきとの見解
- 措置しなければならない国民投票法の課題は山積しており、衆議院憲法審査会の与党と一部野党は、緊急集会制度の曲解に基づく憲法改正発議に向けて、幹事懇談会での改憲条文の検討や条文起草委員会の設置の主張など前のめりになっているが、これら参議院憲法審査会の附帯決議で求められた項目が解決するまで、改憲条文の審議など許さないとの見解
- 平成26年附帯決議にある、憲法審査会は立憲主義に基づいて徹底的に審議を尽くすことの定めに基づき、さきに私が幹事会協議事項としている改正地方自治法の国の指示権の違憲性について、参議院憲法審査会で徹底審議することの要請
- 塩田 博昭 君(公明)
- 令和3年改正国民投票法附則の検討条項のうち、投票人の投票に係る環境を整備するための事項等について、衆議院に、自民、維新、公明、有志の会の共同提案の国民投票法改正案が提出されており、公選法で改正済みの内容を同法に反映させる必要性は明らかなので、速やかに成立させるべきとの見解
- 附則の検討条項のうち、国民投票の公平及び公正を確保するための事項等の広告規制について、国民投票運動はできる限り自由な運動を保障すべきであり、今以上の規制は、広告の出し手である政党側と受け手の放送事業者等のそれぞれの自主規制、自主ルールに委ねられるべきとの見解
- 附則の検討条項のうち、国民投票の公平及び公正を確保するための事項等の情報化社会における偽情報、誤情報対策について、広報協議会が、民間のファクトチェック機関と緊密に連携を取り、偽情報、誤情報を指摘するとともに、インターネット上に正確な情報を多く発信し、その情報に国民が簡単にアクセスできるようにすることも検討する必要があり、これらを踏まえ、広報協議会の在り方を改めて検討すべきとの見解
- 柴田 巧 君(維教)
- 令和3年改正国民投票法附則4条1号の要請に応えるべく令和4年4月に衆議院に提出された国民投票法改正案は、内容的には全く党派性が入り込む余地はなく、附則4条の検討事項のうち、合意に達している項目から速やかに法制化するとともに、合意に達していない事項は引き続き議論を深めていく必要があるとの見解
- 国民投票運動は基本的に自由になされるべきであるため、民放連やインターネット事業者の自主的な取組により広告の取扱いを判断する際には、その参考となるよう広報協議会がガイドラインを定めることとし、また、インターネット規制に関しては、国民投票に限った問題ではない上、規制自体に困難が伴うので、広報協議会が民間ファクトチェック団体と緊密に連携して対応すべきであるとの見解
- CM規制など一部の議論が決着しなければ憲法本体の議論を先に延ばすべきだという見解に流されることなく、車の両輪である憲法本体の議論と国民投票に関わる議論の双方を同時並行的に、また、各党が条文案を出し合い、改正に向けた作業を進めるために定例日以外や閉会中も、議論を進めるべきとの見解
- 政治への信頼を大きく失墜させている元凶の一つは、国民に公約したことを真剣に果たそうとしないことであり、この秋の総裁任期までに憲法改正を実現したいと総裁が言うなら、堂々と進めるべきであり、憲法改正は党是だと言うのならば、困難があっても約束どおり実現に向け最大限の努力をすべきであり、政治の信頼回復のため自民党の奮起を強く求めるとの見解
- 小西 洋之 君(立憲)
- 令和3年改正国民投票法附則4条2号は、この規定に基づいてCM規制などの法改正を検討している間は改憲発議を行うことができないという趣旨の条文であることが、参議院憲法審査会での審議を通じて決着しているとの見解
- 衆参両院の憲法審査会の任務は、附則4条の定める検討の期限が本年9月であることも踏まえ、国民投票の公平公正を確保するため、早急に広報協議会の役割も含めて法改正を中心とする措置を講じることであるとの見解
- 衆議院憲法審査会の任期延長改憲の議論とその改憲条文の作成の動きは、参議院を否定し、憲法規範と法の支配、立憲主義の破壊行為であること、附則4条に基づく国民投票法の改正などがなされるまでは改憲発議は法的に許されないとの見解
※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。