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第213回国会 憲法審査会

令和6年5月29日(水) 第4回

【川崎参議院法制局長及び高橋内閣府政策統括官の説明骨子】
  • 川崎参議院法制局長
    • 第177回国会において東日本大震災に関連して講じられた立法措置等
  • 高橋内閣府政策統括官
    • 政府における首都直下地震対策の概要
【主な発言項目】
  • 佐藤 正久 君(自民)
    • 緊急集会は、平時、有事問わず、衆議院不存在時のための制度であり、本院憲法審査会では、衆議院議員の任期満了時でも内閣は緊急集会を求め得るとの見解について、異なる会派意見はなかったことの確認
    • 緊急集会に関わる4つの論点については、緊急集会が内閣の求めに応じて開かれ、参議院で決定した法律や予算措置は衆議院の事後承認が必要であることから、内閣、参議院、衆議院でその解釈をすり合わせ、その上での憲法改正や法律改正が必要ではないかとの法制局長から示された見解は、改正事項が後に裁判で憲法違反と言われないためにも重要だとの見解
    • 緊急集会において議員が発議できる議案の範囲について、国会法に規定する内閣総理大臣から示された案件に関連のあるものという要件を幅広く解釈し、緊急の必要がある限り、予算関連法案を含め広く発議を行うことができるとの見解
    • 首都直下地震の際に内閣からの緊急集会の求めに十分に応じられるよう、参議院の機能維持に関わる議事堂の強靱化や議事堂が使用不能な場合の代替施設等の整備、併せて緊急集会開催に必要な定足数の確保策等について、参議院を挙げて取り組むことも含めて議論してはどうかとの提案
  • 辻元 清美 君(立憲)
    • 緊急集会の機能について、緊急性のあるものである限り、法律の制定、予算の議決について別段の制限はないと解されており、第177回国会の32本の法律や二度の補正予算の内容については、仮にこれらを緊急集会で対応したとしても問題はないとの見解
    • 大規模な自然災害等の緊急事態には、広範な措置を逐次講じる必要があり、内閣の開催要求時に示す案件も包括的なものにするほかなく、それに応じて参議院議員の議案発議権や質疑、討論等が及ぶ範囲も広範なものになり、国会法101条において内閣総理大臣から示された案件に関連するものとの現行制度で対応可能との見解
    • 首都直下地震などいかなる事態でも、発災から数日以内の緊急集会の開催を可能にしておくために、国会議員関係のBCPも検討しておく必要があるとの見解
    • 立法府の役割は、どんな危機の事態でも、選挙の機会、国民の選択の機会が奪われないようにするためのシステムの構築、公職選挙法の改正や自治体の選挙事務の改善を平時のうちに成し遂げておくことで、この議論をほとんどせずに安易に任期延長をするということは立法府の責任放棄であるとの見解
  • 西田 実仁 君(公明)
    • 緊急集会において補正予算を処理することは当然に認められ、仮に、本予算を議決しないまま衆議院が解散される場合には、まずは暫定予算により必要な措置が講じられ、長期に及ぶ場合には暫定予算の補正により対応することになるが、最終的には、本予算についても、内閣の専断を抑制し、衆議院が構成されていない間にあっても民主的統制を及ぼすため、全国民の代表と位置付けられている参議院の緊急集会によって決めていかざるを得ないとの見解
    • 大規模な自然災害等の緊急事態においては、内閣が緊急集会開催要求時に示すべき案件も包括的なものにするほかなく、また、被災者や被災事業者のための緊急の立法措置における議員立法の果たす役割は大きく、緊急集会において議員が発議できる議案の範囲も広範に認められているとの見解
    • 首都直下地震の場合に、緊急集会がそもそも開催できるかという参議院のBCPの議論と、選挙困難事態が長期にわたる場合に民主的正統性の観点から必ずしも完璧ではない緊急集会によって対応し続けてよいのかという議論を深める必要があるとの見解
    • 選挙困難事態となるような大災害に見舞われても、選挙人名簿のバックアップや郵便投票の拡大、ネット選挙の導入などにより、できるだけ速やかに選挙が実施できるように検討していくことが大事であるとの見解
  • 片山 大介 君(維教)
    • 長期の緊急事態に、緊急集会にフルの国会の役目を負わせようとする解釈は過剰な役割を負わせるものであり、また、70日以上の緊急集会が認められるとした場合、憲法に、いつまで可能かについての規定がなく、内閣の恣意的な運営を許容することにもなりかねないとの見解
    • 緊急集会において、東日本大震災に関して講じられたような多様な法律や補正予算を成立させることができるか、また、特に参議院のみで本予算を成立させることができるかは、緊急集会が二院制の例外であるという観点からも疑問であるとの見解
    • 緊急集会で取り扱える案件は内閣があらかじめ示した緊急の必要がある案件に限られており、包括的に対応することは想定されていないと考えるべきとの見解
    • 衆議院選挙が実施困難な上に、参議院議員も任期を迎えて半数しかいないことも想定しておくべきであり、衆参合わせて713名の定数の中、緊急事態を乗り越えるに当たって、参議院議員が124名しか存在しない緊急集会と、任期延長で衆参が機能している国会を比べたとき、後者の方が立憲主義と国民主権にかなうとの見解
  • 大塚 耕平 君(民主)
    • 衆議院解散後に発生した緊急事態において、衆議院議員の任期延長が制度として確立していない前提で善後策として考えられるのが、緊急集会において、解散された衆議院の前議員を当分の間、衆議院議員に復帰させることを認める特別法を制定できるか否かという点であり、平時ではない緊急事態を想定する上ではこうした権能についても議論しておくべきとの見解
    • 大規模災害に伴う緊急事態に至る原因の類型は、地震、気候変動等の自然災害、武力攻撃、テロ等の安全保障上の危機、感染症等の公衆衛生上の危機の3つが想定されるが、緊急集会における参議院の権能を考える前提として、緊急事態の原因はこの3類型でいいか否かも共通認識を醸成する必要があるとの見解
    • 緊急集会の権能を考える場合、他国の事例を参考にしつつ、事前にそうした仕組みをつくることが難しければ、緊急事態発生後に、例えば内閣総理大臣や内閣及び政府の特別権能を認めることを緊急集会が決め得るか否かということを議論しておく必要があるとの見解
    • 緊急事態対応は迅速を要することから、緊急集会が平時と同じ手続や所要時間を想定するのでは意味がなく、その点を勘案すると、緊急集会は総理大臣に緊急事態対応に必要な全権を委ねるとともに、緊急集会又は新たな衆議院議員誕生後の国会全体で事後チェックを行うことを定めるのも一案であり、憲法審査会では、その両者のバランスについて議論をしておく必要があるとの見解
  • 山添 拓 君(共産)
    • 少なくとも首都直下地震との関係では政府も国会もあくまで業務の継続が目指されており、仮に衆議院議員が不在の場合には緊急集会で対応し、選挙に必要な業務も継続した上で、なるべく速やかに総選挙を実施できるよう追求すべきとの見解
    • 東日本大震災の発災後にとられた立法措置の中には、一般制度化された例も複数あり、今後の災害で当時と全く同じように応急の立法措置が必要となるわけではなく、一般制度化に至っていない制度も重要な先例として蓄積されているとの見解
    • 災害発生時に住民と直接接し、被災地域の実情にも通じている地方自治体の人的、財政的体制の強化こそ政治に求められ、災害を口実になされる緊急時対応の改憲論は、被災の実情と被災自治体の経験や要望を踏まえない空論であるとの指摘
  • 山本 太郎 君(れ新)
    • 憲法審査会を開く目的は憲法改正議論を促進するためか否かの確認
    • 緊急集会は、長期的な任期を保障され、熟議に適した性格を持つ参議院によって非常時の国会機能を担保する二院制の趣旨に即した制度であり、参議院では理性的で理想的な憲法議論を行う努力を積み重ねてきたが、その傍らで、衆議院が推進している選挙なし衆議院任期延長案は、一言でいえば参議院の権限の侵害、二院制の骨抜き案であるとの見解
    • 参議院の権限の根幹に関わる問題について、衆議院憲法審査会の議論の暴走、一部委員で条文作成することなどに対し、参議院の軽視であることを明確に批判する声明発出の要請
  • 高良 鉄美 君(沖縄)
    • 沖縄では日本の終戦、敗戦から1か月程度で選挙をしており、緊急事態であれ選挙は可能であることの一例を示しており、緊急事態を理由にした憲法改正の本当の必要性の有無を考えてほしいとの見解
    • 憲法53条では、いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば臨時会を開かなければならないと召集の要求をしているが、肝腎の内閣はそれをやらなかったことが三度あるのに、どうして緊急事態のことをこれだけ言えるのかというのは問題との見解
    • これまで2回開かれた緊急集会はいずれも衆議院の解散中であったが、それに限らないということは確認をされているとの見解
    • たくさんの法律が既に存在し、緊急事態の対処の立法府の制度は存在しており、どうしても憲法改正による必要性はないということで、憲法事項と法律事項をきちんと分けるべきとの見解
  • 吉井 章 君(自民)
    • 緊急集会において審議の対象となる法案や予算の範囲について、内閣が示した案件に関連する範囲内で特別会の召集を待つことができない即時に対応すべきものであれば広く認めてよいが、衆議院や内閣との関係を大きく変えることまではできず、その関係では限定的に考える必要があるとの見解
    • 緊急集会において議員が発議できる議案の範囲について、内閣が示した案件に関連するものという限定の中で、国権の最高機関である参議院の位置付けと緊急集会の趣旨を踏まえるならば、事実上広く解釈できるとの見解
    • 緊急集会を意識した参議院のBCPについて、政府のBCPも参考にしながら、議論を深める必要があるとの見解
  • 窪田 哲也 君(公明)
    • 衆議院憲法審査会で議員延期延長のための憲法改正論議が進んでいるが、民主的正統性から、まずは緊急集会の在り方について参議院自らが議論を深めるべきあり、一、憲法に定める国の緊急の必要があるときの範囲、二、大災害時の議員の参集の可否、通知方法、三、オンライン活用の可能性などの論点を整理する必要があるとの見解
    • 国権の最高機関である国会が二院制を取り、かつ、参議院に緊急集会が規定されている以上、その実効性を担保することが重要であり、今後、参議院全体のBCP策定に向けて議論を急ぐことが重要との見解
  • 古賀 千景 君(立憲)
    • 改憲会派は、いわゆる30日ルールの衆議院の優越がある予算と条約は緊急集会の権能外としながら、いわゆる60日ルールがある法律については緊急集会の権能内としているが、緊急集会は衆議院不在の際の国会代行機関であり、その権能の範囲と衆議院の優越は本来関係がなく、その主張は一貫性を欠くという意味でも暴論との指摘を免れないとの見解
    • 改憲派は、予算や条約を議案として扱えるスーパー緊急集会にすることには憲法改正が必要という、独自の主張を唱えるなどしているが、国会議員には憲法尊重擁護義務があり、憲法改正の議論をするにしても、既存の憲法規範を立法事実や制定趣旨を無視して好き勝手に曲解することは許されないとの見解
    • 衆議院憲法審査会では、議員任期の延長改憲のための条文の起草委員会設置、要綱案作成が主張されているが、憲法前文を学んでいる子供たちから見て恥ずかしくない憲法議論を実施するため、任期延長改憲の過ちを私たち良識の府の存在に懸けて正さなければならないとの見解
  • 福島 みずほ 君(立憲)
    • 衆議院憲法審査会において、起草委員会の設置や要綱案作りが提案されているが、緊急事態条項、国会議員の任期延長の問題点が十分理解されているとは思えず、これは参議院の否定であり、緊急集会を日本国憲法が規定した意味の理解がとりわけ衆議院で極めて不十分であるとの見解
    • 日本国憲法が緊急事態条項を設けなかったことについて、金森大臣は衆議院帝国憲法改正案委員会で、民主政治の徹底と十分な国民の権利擁護の観点から、明治憲法の非常大権のような政府の一存において行う処置は極力防止しなければならないとして、臨時会と緊急集会に言及しており、国会無視と選挙の停止を許してはならないとの見解
    • 緊急集会に対する暴論に基づく任期延長改憲のための衆議院憲法審査会の起草委員会の設置、要綱案の作成は参議院の否定ではないかについて、本審査会及び幹事会で徹底議論することの要請
  • 臼井 正一 君(自民)
    • 緊急対応に必要な範囲であれば、内閣の提示する審議の対象に範囲はなく、緊急集会もそれに応え得る体制を整えなければならず、また議員が発議できる議案の範囲に関して、首都直下地震等の大規模自然災害に対応するために必要な議案であれば、国会法に規定する内閣総理大臣から示された案件に関連のあるものという要件を幅広く解釈し、予算関連法案を含め広く発議を行うことができるとの見解
    • 公共交通機関が機能不全になることも想定される中で、我々参議院議員の参集方法を含む院としてのBCPは早急に整備されるべきであり、また、事務局BCPにおける議員の安否確認方法について、衛星電話の事前配付等を含め、あらゆる方法で整える必要があるとの見解
    • 諸外国の例なども調べながら、大規模災害時のような非常事態、緊急事態時の解散権はどうあるべきか、そのときの緊急集会の役割はどうなるのかという点についても議論していくことは大切であるとの見解
  • 猪瀬 直樹 君(維教)
    • 日本維新の会は緊急事態条項の創設を含めた5項目について既に条文案を示しており、条文案の起草について、一致点のある野党会派が与党側と具体的な議論と協議が進められるよう、憲法審査会長が指導力を発揮するよう求めるとの要請
    • 憲法審査会の審議時間を十分に取り、定例日にこだわらず開催回数を増やし、国会閉会後も審査会を開会し、岸田総理の言う任期中、すなわち今年の9月末までに参議院としても結論を得るよう、審査会としての責任を果たすよう、また、憲法審査会長の役割は議事進行に関する事項のみだという取決めが憲法審査会が発足したときにあったかどうか検証するよう憲法審査会長に求めるとの要請
  • 小西 洋之 君(立憲)
    • 本日、佐藤委員、西田委員が示された見解は、衆議院における任期延長改憲の根拠である、緊急集会は限定された平時の制度である等の主張を事実上否定されるものだと思うとの見解
    • 次回、憲法審査会が開かれるのであれば、片山大介委員、猪瀬委員は、緊急集会は限定された平時の制度である等の解釈がなぜ取れるのかについて真っ正面から是非議論をしていただきたいとの見解
    • 改憲派の集会における岸田総理の改憲について選択肢の提示すら行わなければ責任の放棄と言われてもやむを得ないなどのメッセージは、参議院の憲法審査会をある意味侮辱するような発言であり、憲法審査会でのしっかりとした議論を会長に求めるとの要請

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。