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第213回国会 憲法審査会
令和6年5月15日(水) 第3回
【川崎参議院法制局長及び事務局当局の説明骨子】
- 川崎参議院法制局長
- 緊急集会の趣旨、緊急事態法制と緊急集会の位置付け、災害対策基本法の災害緊急事態における対応の流れと緊急集会の論点等
- 憲法審査会事務局当局
【主な発言項目】
- 片山 さつき 君(自民)
- 緊急集会は、災害対策基本法などで、我が国が大災害等に見舞われた際の緊急的な措置の枠組みの中に、総選挙により衆議院議員が選出され国会が召集されるまでの間、できる限り民主政治を徹底しながら、両院同時活動原則の例外として、暫定的な処理を可能とする制度として組み込まれているとの見解
- これまで緊急集会は災害対策基本法などが成立する以前の平時での開催しか事例がないが、今後、大規模自然災害等が発生したときに機能しないということは回避せねばならず、あらゆる事態を想定しながら、緊急集会がしっかりと機能するよう、法制面や実効面などから検討すべき事項を全て洗い出す必要があり、そのためにシミュレーションを通して早急に確認すべきとの見解
- 緊急集会が衆議院議員不存在時の大規模自然災害時の事態に迅速に対応するためには、論点についてこれまでの議論の中で出された各会派の意見を整理し、それを踏まえて参議院憲法審査会としての考えを明確にして、議論を前に進めていく段階に今やあるとの見解
- 小西 洋之 君(立憲)
- 衆議院議員任期満了の際における緊急集会による災害対策基本法等に基づく緊急政令などへの統制は、現実の緊急事態対応として憲法審査会の責任においてその解決を図るべきものとの見解
- 緊急政令規定を含む法律を参議院の議員立法によって法改正し、衆議院議員任期延長の際の緊急集会の統制を明確に条文上も位置付けるべきであり、万が一その法改正が間に合わない場合には、解釈によって任期満了の際も緊急集会の統制を働かすことができるのか、議論の必要があるとの見解
- 緊急集会の運用に関し、議員版のいわゆるBCPに属する事項の検討などについて議論を深めることは有意義であるとの見解
- 伊藤 孝江 君(公明)
- 緊急集会は、国会法及び参議院規則において所定の規定の整備がなされているほか、過去2回の先例を踏まえた先例録も整備されており、これらにのっとった手続及び運営を通じてその権能が発揮されるとの見解
- 緊急集会は、憲法制定時に衆議院の任期満了を意図的に外したわけではないこと及び衆議院の不存在という点において解散と根本的な差異はないこと等から、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合にも開くことができるとの見解
- 緊急集会が開催される状況において参議院議員の全部ないしは一部が議場に参集することが困難であることを想定し、一定の要件の下でオンラインによる出席、国会審議や採決に参加できる制度を創設することの検討が必要との見解
- 柴田 巧 君(維教)
- 衆議院の任期満了の場合にも緊急集会を類推適用できるという意見があるが、仮にそうだとしても、緊急集会は、直後に衆議院の議決を求めることから、近いうちに国政選挙を通常どおりに行える程度の状況を前提としており、長期にわたる緊急事態が発生し、選挙の一体性が害されるほどの広範な地域において選挙の適正な実施が70日を超えて困難であることが明白な場合には、緊急集会だけでは対処が極めて困難との見解
- 緊急集会で議員が発議できるのは、内閣の請求の際に総理が示した案件に限られ、長期にわたる緊急事態が生じた場合、当初想定した案件のみを議論するだけでは足りず、参議院が包括的に対応することは想定されていないとの見解
- 国民主権を掲げる日本国憲法が一度も国民の審判を仰いでいないのは、まさにブラックジョークであり、国民の命と暮らしを守るための基本法たる憲法に不断に向き合い、時代に即したものに作り上げていくことは、国会議員に課せられた重大な責務であるとの見解
- 礒崎 哲史 君(民主)
- 緊急集会はあくまで臨時の措置であり、その権能、議員発議の範囲は限定的であるべきとの立場から、予算については、臨時の予算編成のみとし、また、衆議院の同意がない状態での繰り返しの議決も望ましくないとの見解
- 緊急集会の期間については上限を設けるべきであり、70日が妥当だが、70日以上とする場合は具体的な条件を定めておくことが必要であり、緊急集会の権能の範囲や議員が発議できる議案の範囲を踏まえた整理が必要との見解
- 衆議院議員の任期満了の場合にも、緊急集会を開けるよう考え方を整理しておくことが重要であり、具体的には、憲法を改正するか、憲法審査会で意見をまとめ、解釈として整理すればよいか等についての論点整理を要望するとの見解
- 山添 拓 君(共産)
- 緊急集会制度は、憲法制定議会における経緯や、国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動するという憲法前文をも踏まえると、緊急時であっても民主的に選ばれた議員によることを要求するものと理解するべきとの見解
- 最高裁判決は、選挙権の制限はやむを得ないと認められる事由がなければならないとしており、緊急集会は民主政治の徹底を趣旨とすることも踏まえれば、緊急集会が必要となる事態においても、できるだけ速やかに衆議院議員の総選挙を実施し、選挙権行使を可能にした上で、民主政治の徹底を万全にすることを要求するのが憲法の趣旨との見解
- 総選挙を広範囲で実施できない期間が長く続くことを殊更想定し、選挙権の制限を正当化する衆議院議員の任期延長論は、国民主権の基本を踏まえないものであり、総選挙をいかに速やかに実施できるようにするかの法整備の必要性や内容は議論に値するが、改憲の材料にするのは不当であり、必要でもないとの見解
- 山本 太郎 君(れ新)
- 自民党に、緊急集会は平時の制度なのでこれと別に緊急事態条項が必要との主張があるが、この認識は間違いであり、日本国憲法に緊急時の制度がないと結論付けるのは飛躍が過ぎるとの見解
- 1946年、当時の憲法担当であった金森大臣は、緊急集会がまさに緊急時のための制度だと述べており、実際に、武力攻撃事態・存立危機事態対処法9条でも、緊急事態の国会承認のために緊急集会を活用することを規定しており、緊急集会は緊急時のための制度であると解釈することに無理はないとの見解
- 緊急集会ではフルスペックの国会機能が果たせないので衆議院議員の任期延長が必要であるとの意見もあるが、この提案は、国民に選ばれてもいない議会にフルスペックの権限を与えようとする危険なアイデアであるとの見解
- 高良 鉄美 君(沖縄)
- 緊急集会の制度は、国家権力の濫用を抑え、緊急のときには参議院だけでも民主的に国会の権能を行わせるものであり、人の支配ではなく法の支配でなければならないことを意味するとの見解
- 衆議院の議員任期延長の問題について、権力が目的のために自ら憲法を変えるのは、法の支配にもとるものであるとの見解
- 緊急の際に国家緊急権により一時的に憲法を止めるとしても、それは憲法を守るための憲法保障の一種であり、法の支配の視点から捉えるべき問題であるとの見解
- 和田 政宗 君(自民)
- 緊急集会は大災害時等の緊急時や、長期間の選挙困難事態への対応を想定した制度ではなく、衆議院が解散されているときに大災害が発生した場合、緊急集会を70日を超えて開催する場合に違憲の疑いがあるとの提起が行われる可能性が強くあるとの見解
- 参議院においても、大災害時等に国民を守るため、70日の制約を取り払い、かつフルスペックの国会の権限を行使できる緊急集会について、衆議院憲法審査会で提起されている国会議員の任期延長案の内容を含め、議論を重ねていくべきとの見解
- 憲法に緊急事態条項を定めなければ、極端な政権が生まれた場合、英米法的解釈から、現行憲法では緊急事態時には何でもできると主張し実行する可能性は排除できないとの懸念
- 打越 さく良 君(立憲)
- どのような事態が起きても憲法が採用した国会中心主義を維持できるよう、備えを講じておく必要があり、そのために緊急集会という優れた仕組みが用意されているとの見解
- 国会中心主義及び権力の抑制と均衡の観点から、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合にも、国に緊急の必要があるときは内閣は緊急集会を求めることができると解するのが適当であるとの見解
- 特別会召集までの70日という日数については、現在の民意を反映していない従前の政府がそのまま政権の座に座り続けることのないようにという趣旨であり、緊急集会の期間が限定されているかのように見えるのは派生的な効果にすぎず、70日を超えて緊急集会を認めることはできるとの見解
- 塩田 博昭 君(公明)
- 憲法に緊急政令に類する規定を創設すべきとの意見について、緊急集会制度が旧来の緊急勅令制度の言わば代替として規定された制定経緯や、緊急集会の関与を含め、充実した緊急事態法制が既に整備されていることを踏まえれば、これらの個別法の政令委任等で対応することが可能との見解
- 緊急集会の手続及び運営について、国会法、参議院規則、先例が既に整備、整理されているが、さらに、緊急集会はどこまで、それも長期にわたって国会の機能を代行可能か、本院として検証すべきであり、具体的な想定に沿った論点整理を多角的に行うべきとの見解
- 選挙困難事態における国会機能維持に関し、民主的正統性を確保するには選挙を実施することが肝要であり、緊急集会と繰延べ投票で対応することを基本とすべきとの見解
- 熊谷 裕人 君(立憲)
- 総理大臣を始め内閣に万が一のことがあった場合でも緊急集会がしっかりと機能するため、参議院と内閣のBCPについて議論し、策定が必要になるとの見解
- 平時において、衆議院議員の任期延長を議論する前に、非常時の我が国の在り方に関する緊急集会について大いに議論をしておくことこそが憲法審査会の任務との見解
- 田中 昌史 君(自民)
- 緊急集会は両院同時活動原則の例外であり、衆議院議員が不在となり、総選挙を経て、最大70日後に両院同時活動が復することを前提とした制度であるため、70日を超えることは想定すべきではないが、衆議院議員の任期満了による場合の緊急集会の開催については可能であるとの見解
- 首都直下地震などの大規模災害、我が国への武力攻撃などで国会機能が失われる緊急事態が発生した場合、国民の命を守るための迅速で果断な対応を緊急集会という暫定措置のみに委ねるのではなく、衆議院議員の総選挙が長期にわたり開催できないことが予測される場合には、両院同時活動原則を踏まえ、国会議員の任期の特例を含む緊急事態条項を憲法に明記すべきとの見解
- 大規模災害、テロや武力攻撃などの有事は、国会の開会、閉会にかかわらず発生する可能性があり、対応の緊急性に加えて、損害の状況によっては国会を開会できない事態となる場合も想定し、憲法に緊急政令を明記すべきとの見解
- 浅田 均 君(維教)
- 緊急集会には、明らかに不備があり、現行法制では想定できていない不測の事態により両院が存在できなくなってしまった場合、従前の政府がどの程度の期間、正統性を維持できるのかとの疑問の提起
- 立憲主義を守るためには、緊急事態においても憲法の規律を及ぼす必要があり、国家権力の行使が超法規的措置にならないよう、緊急事態の行為も法の支配下に置く必要があるとの見解
- 国家の基本的な役割である国民の生命、財産、自由を守ることを現行憲法ができるのか考える必要があり、まずは緊急事態条項にテーマを絞り、審議を進めるべきとの見解
- 福島 みずほ 君(立憲)
- 緊急集会は、一時的、限定的、暫定的制度であるとの理由で議員任期延長論が衆議院で主張されるが、緊急事態に対処する際には、臨時の暫定的措置にとどめることが、緊急事態の恒久化や行政権力濫用を防ぐために重要との見解
- 緊急集会の性質と比較した場合、現在主張されている衆議院議員の任期延長の憲法改正案は、できる限り早期に総選挙を実施しようとするインセンティブが働きにくく、憲法の基本原則に反し、不必要で危険であり、緊急事態条項を憲法改悪で実現する布石ではないかとの懸念
- 緊急政令は国会は唯一の立法機関という憲法41条を踏みにじり、緊急財政処分も国会の予算の承認権を侵害するものであり、災害時には繰延べ投票が可能であることから、憲法を変える必要はないとの見解
※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。