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第212回国会 憲法審査会

令和5年11月15日(水) 第1回

1. 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について(特に、参議院議員の選挙区の合区問題を中心として))

【川崎参議院法制局長の説明骨子】 
    • 参議院選挙における投票価値の平等をめぐる最高裁の判断の変遷、令和5年10月18日最高裁判決のポイント等
【主な発言項目】
  • 片山 さつき 君(自民)  
    • 本審査会では、合区対象4県から知事、副知事を参考人として招致し、合区の弊害等について意見聴取を行っており、また、全国知事会からも合区解消を求める決議について会長に申入れがあったが、本審査会委員も、合区の弊害等を繰り返し指摘していたことの指摘
    • 今回の判決において、最高裁が合区制度の弊害について前回の判決と比べて深く考慮し言及した背景としての事情、意図、状況の変化
    • 投票価値の平等は極めて大切であるが、合区問題も民主主義の根幹に関わる重要な問題であるところ、自民党では、合区問題の抜本的な解消のため、憲法改正の条文イメージを示しており、本審査会においても合区解消に向けて議論を積み重ねていくべきとの指摘
  • 辻󠄀元 清美 君(立憲)  
    • 歴代の最高裁判決が示すように、二院制の下、衆議院とは異なる参議院の独自機能や役割を位置付けて選挙制度に反映させることは、国会の合理的な裁量権の行使として許されるものと解し、これを踏まえた根源的な議論が必要であるとの問題提起
    • 参議院改革協議会選挙制度専門委員会で二院制における参議院の在り方などの議論が行われているが、その内容も踏まえつつ、本審査会でも参議院の選挙制度の議論を深めたいとの見解
    • 現行憲法は、国会は全国民を代表する議員でこれを組織するとされており、合区問題を議論するに当たっては、参議院の在り方や当該地域を含む地方の声だけでなく、都市部も含めて全国民的議論が必要であるとの見解
  • 西田 実仁 君(公明)  
    • 我が党では、合区によって特定の県のみが県単位の議員を選出できないことから、当該住民による不満が噴出していることは理解しており、是正は必要との立場であるが、投票価値の平等という憲法価値と相矛盾する制度改正は行うべきではなく、一貫して投票価値の平等と地域代表的性格の調和を図るため、全国を11のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱しているとの見解
    • 合区は本当に我が国の民主主義の根幹を揺るがすことになるのかとの疑問
    • 今回の最高裁判決において、都道府県より広域の選挙区を設ける方策について慎重に検討すべき課題があるとの認識が示された趣旨
  • 片山 大介 君(維新)  
    • 参議院の選挙制度について、都道府県の選挙区からブロック制への移行や自治体の首長と参議院議員の兼職禁止規定の廃止などを検討していくべきとの見解
    • 最高裁判決が示した立法府に対する較差を是正するための一定の期間の猶予とは、次回の参議院選挙までであると解するとの見解
    • 憲法審査会において改憲の発議に向けた結論を出すべき時期を見据えたスケジュールを策定し、建設的な議論をしていくことが必要であるとの見解
  • 大塚 耕平 君(民主)  
    • 憲法に定める法の下の平等は、国民は自らが居住する都道府県代表を最低一人は参議院に選出できることであるため、合区はやめるべきとの見解
    • 法の下の平等が人口割りの単純平等であるとは憲法にも法律にも明記がないとの指摘
    • 憲法上の三権分立は相互牽制にこそ意味があり、立法府の意思、行政府の責任に及ぶ問題を、司法府が明文上の法的根拠がない判断基準をもって是非を示すことは、立法裁量権、行政裁量権の侵害という面もあり、立法府は自ら運営ルールを確立することが肝要との指摘
  • 山添 拓 君(共産)  
    • 最高裁判決は、現行選挙制度の仕組みの抜本的な見直しも含め、較差の更なる是正等を求めており、国会はこの観点で司法に応えるべきとの見解
    • 我が党は、多様な民意の正確な反映という点で、参議院選挙については比例代表を基本とする全国10ブロック、非拘束名簿方式の選挙制度を提案しており、一票の較差の是正という点でもこの方向で踏み出すべきとの見解
    • 選挙制度の見直しは憲法審査会の任務ではなく、参議院改革協議会選挙制度専門委員会でこそ速やかに具体的に検討すべきとの指摘
  • 山本 太郎 君(れ新)  
    • 最高裁が違憲かどうか問題にしているのは、公職選挙法上の定数配分規定の平等原則違反であり、合区問題はそもそも憲法問題ではないので、合区制度の妥当性、改正、廃止などを検討するのであれば、舞台は参議院改革協議会であるとの指摘
    • 日本の人口100万人当たりの国会議員の数は5.6人とOECD38か国中36位であり、先進国の中では非常に少ないため、もっと増やしてしかるべきとの見解
    • 本来憲法審査会で扱われる案件は合区についてではなく、政権与党にありながら、この国に生きる人々を30年もの間痛め付ける国家運営を行ってきたことへの違憲性のチェックこそが最優先課題であるとの見解
  • 松下 新平 君(自民)  
    • 現行憲法の自主的改正は結党以来の党是であり、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理はしっかり堅持し、憲法改正への取組みを更に強化していくとの見解
    • 都道府県単位で国会議員を選出することが重要であり、抜本的な合区解消のための憲法改正を実現すべく、今後一層取組を活発にしていきたいとの見解
  • 小西 洋之 君(立憲)  
    • 合区の解決には、最高裁判決が説くところの、参議院の独自の機能・役割である緊急集会こそが不可欠な憲法上の根拠であり、緊急集会制度の曲解を論拠とする国会議員の任期延長改憲には明確に反対するとの見解
    • 合区廃止の要件である緊急集会制度の機能強化の議論を更に深めることの提案
  • 浅尾 慶一郎 君(自民)  
    • 最高裁判決は合区問題についても触れており、立法府においてしっかりと合区問題について議論を深めていくことが重要との見解
    • 最終的には憲法において広域自治体、基礎自治体という形で都道府県、市町村を定義した上で、合区を解消していくことが一番望ましい形になるとの見解
  • 柴田 巧 君(維新)  
    • 合区や一票の較差については、本来、参議院改革協議会選挙制度専門委員会で議論すべきものであり、憲法審査会では各党が改正条文案を提出し、それを基に改憲項目を絞り込む議論と作業こそ進めるべきであり、参議院の選挙制度について憲法審査会で議論するのならば、選挙制度の前提となる国家の基本構造、すなわち国の形についてまず議論すべきとの見解
    • 一票の較差問題を解決することは極めて重要であり、現状では合区はその解決策として合理的と考えるが、抜本的な解決策にはなり得ず、例えば定数を削減した上で選挙区を全国11ブロックにするなど、選挙制度の抜本的な見直しが必要との見解
  • 伊藤 孝江 君(公明)  
    • 一票の較差の更なる解消と参議院選挙区の持つ地域代表的な性格を両立させ、各地域の民意を反映することができる新たな仕組みとして、全国を11の選挙区とする個人名投票による大ブロック制を導入すべきとの見解
    • 最高裁判決でも、較差の更なる是正等の方策について具体的に検討することが求められており、参院選のたびに選挙制度に関して訴訟を提起される現状を変えていかなければならないとの見解
  • 打越 さく良 君(立憲)  
    • 伊達議長の下に設けられた参議院改革協議会選挙制度専門委員会における議論において、定数6増と比例区に特定枠を設ける選挙制度改革が突如として提案され、法改正に至ったことの妥当性
    • 合区を解消しようとするならば、特定枠の廃止が先決であるとの指摘
  • 青山 繁晴 君(自民)  
    • 参議院議員の定数を47都道府県掛ける3人の141人プラス比例代表の100人で合計241人とすることを、憲法14条、法の下の平等の例外規定として書き込むことについて主権者に問うことを希望するとの見解
    • 憲法改正の最終的な選択は主権者に預けられており、代理人である国会議員だけでいつまでも議論するのではなく、今後、憲法改正原案の提出要件に関する国会法の規定についても議論を希望するとの見解
  • 石川 大我 君(立憲)  
    • 投票価値の平等という人権を、地方の声を国政に反映させるという主張で押し潰すことは、憲法の基本原理である基本的人権の尊重との関係で深刻な憲法上の問題があるとの見解
    • 先月には、性同一性障害特例法について最高裁が憲法13条を理由に違憲の判断をしており、こうした違憲の判断について議論することは、憲法審査会の法的任務に合致するので、本審査会で積極的に取り上げることを希望するとの見解
  • 加藤 明良 君(自民)  
    • 法の下の平等として、一票の較差だけでなく、都市と地方の地域格差や経済格差についても議論すべきとの見解
    • 均衡の取れた日本の発展には長い任期で議論が深められる参議院の存在が必要であり、合区を解消し参議院の独自性を生かすため都道府県を選挙区とする選挙制度を確立するための憲法改正の議論をすべきとの見解
  • 臼井 正一 君(自民)  
    • 最高裁の参議院に対する地域性、すなわち都道府県を重視する姿勢に対し、政治が答えを出さなければならないとの認識
    • 合区を解消し、憲法に参議院議員の都道府県ごとの選出を明記すべきであり、本審査会における議論を一段前に進めたいとの見解

※上記発言項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。発言の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。