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第211回国会 憲法審査会

令和5年4月5日(水) 第1回

【川崎参議院法制局長の説明骨子】
    • 緊急集会制度の趣旨、制定経緯、制度の概要、これまでの実例、主な論点等
【主な発言項目】
  • 山本 順三 君(自民) 
    • 衆議院議員の任期満了と憲法54条2項の解釈の整理、解釈ごとに考え得る課題と対応措置
    • 憲法54条2項の「緊急の必要があるとき」に、武力攻撃事態や災害緊急事態が含まれると考えるのが自然であるが、当該緊急事態下で憲法が想定する期間内に総選挙ができない場合に備えた議論の必要性
    • 緊急集会の権能の範囲
  • 杉尾 秀哉 君(立憲) 
    • 民主主義を徹底させ国民の権利を十分に擁護するため、行政権の自由判断の余地をできる限り少なくする緊急集会制度の根本趣旨に照らせば、衆議院の改憲議論にある緊急事態の類型、70日を超えて選挙の一体性が害される広範な地域などの抽象的な要件には極めて広範な内閣の裁量の余地があり、この根本趣旨に全く反しているとの見解
    • 緊急集会の根本趣旨という参議院の在り方そのものに照らしても、議員任期の延長のための改憲には明確に反対するとの見解
    • 憲法が緊急事態対応を、全国民を代表する議員から成る国民代表機関であり、全体の改選期のない万年議会である緊急集会に委ねていることは、民主的正当性と実効性、国家緊急権濫用の危険性の徹底排除という全ての観点からも世界に誇るべき制度であり、その更なる十全な機能強化の議論を進めていくべきとの見解
  • 西田 実仁 君(公明) 
    • 緊急事態において国会機能を維持するための対応策については、緊急集会制度の意義及び特徴を振り返った上で、参議院において丁寧かつ慎重に議論することが必要ではないかとの指摘
    • 緊急集会の開催要件、案件の範囲等、検討すべき論点は多岐にわたり、憲法の規定を超える事態に対して議員任期延長という憲法改正で対応すべきか、解釈や法律で対応できるかについては大いに議論があるとの指摘
    • 緊急集会について限定説を採るべきか無限定説を採るべきか、その間に落ち着かせるか、参議院憲法審査会で議論を深め、いずれかのタイミングで憲法学者の意見等も聴取したいとの見解
  • 音喜多 駿 君(維新) 
    • 憲法54条は、二院制が存続する現時点において、民主政治を徹底させて国民の権利を十分に擁護するためにも必要不可欠であるとの指摘
    • 緊急集会を開くことができる期間は最長でも70日までであり、緊急事態が70日を超えるような長期にわたる場合、緊急集会だけでは十分に対処できず、武力攻撃、内乱、テロ、自然災害、感染症の蔓延など、選挙ができないほどの事態が長期にわたる場合には、国会議員の任期を延長する緊急事態条項を設けることが必要であるとの見解
    • 緊急事態条項を導入するに当たり、憲法上の基本的人権や自由を制限することがあるため透明性の確保が必要であり、例えば、憲法裁判所の関与、議員任期延長以外の国会権能維持のための措置、絶対に制限してはならない人権に係る規定等の条文などが適切に設計される必要があるとの指摘
  • 大塚 耕平 君(民主) 
    • 緊急集会を開催する緊要性が生じるタイミング別の緊急集会の意味の分析
    • 緊急集会の過去の2実例が異例の制度である緊急集会の運用に足る事案であったかを検討する必要性
    • 緊急事態の定義及び緊急集会で決定対象とすべき事項について可及的速やかに議論し国会における合意を形成する必要があるとの見解
  • 山添 拓 君(共産) 
    • 緊急集会を議論の対象とするのは緊急事態条項の創設という狙いがあることは明らかであるが、東日本大震災、コロナ禍でも憲法に緊急事態条項がないため対応できなかった事態は起きておらず、国民の多くが改憲を政治の優先課題として求めていない中、憲法審査会を動かすべきではないとの見解
    • 憲法は人権保障を十分なものとするため国会の関与を必須としており、緊急集会も国民代表である国会における審議と討論、採決を要求しているため、国会の関与を否定し憲法を停止する緊急事態条項とは全く性質が異なるとの見解
    • 緊急集会で対応できない場合があるので衆議院議員の任期延長をという議論があるが、議員任期の延長は内閣や多数党の専断を許し、国民の選挙権行使を通じた参政権を奪い憲法を停止するものであり、緊急集会とリンクさせて議論すべきでないとの見解
  • 山本 太郎 君(れ新) 
    • 憲法審査会は、憲法がその趣旨どおりに実施されているか、憲法違反が生じていないかを調査する役割を持っているにもかかわらず、この役割を果たすための議題設定や議論がほとんどなされていないとの指摘
    • 生活保護基準の引下げにより憲法25条が定める最低限の生活が壊され、また、旧優生保護法下で強制不妊手術を行ったことは憲法違反との判決が出ても全ての被害者に十分な保障をするための法整備はできていない等の指摘
  • 佐藤 正久 君(自民) 
    • 緊急集会は緊急事態に対応するための重要な規定であり、緊急事態という国家の根本概念が現行憲法で規定されていない中、様々な対処法を考えておくべきであり、緊急集会もその一つの方法として活用していくべきとの見解
    • 緊急事態が起きているときに、衆議院議員の任期が満了になるから解散し、あとは緊急集会でというのは緊急事態の対処としては間違っており、これについては、憲法を改正し、緊急事態における議員の任期の延長を認めるべきであり、あらゆる事態に備えるよう、憲法に緊急事態条項の整備を進めていく必要があるとの見解
  • 打越 さく良 君(立憲) 
    • 緊急集会制度は本院の存在理由の一つとされ、これを否定、毀損しようとする議論は本院の権威をおとしめるものにほかならず、その運用の細部について学説を検討する際は本院の権威を一層高める方向で議論すべきとの観点に立てば、衆議院議員の任期満了後の場合にも緊急集会を求め得る学説を採るべきとの見解
    • 衆議院が存在しない状況で緊急集会を認めなければ、内閣が緊急事態の法理に依拠するなどして単独で必要な措置を講じる事態を招きかねないとの見解
  • 赤池 誠章 君(自民) 
    • サイバー攻撃、大規模自然災害、新型感染症の流行等の危機が複合的に発生するという最悪の事態を想定し、いかなる緊急事態であろうとも国民を守るために国家体制が機能し続けなければならないとの見解
    • 緊急集会の規定が緊急事態に際して機能するのか、運用面の問題はないか等の議論が十分になされていないのではないかという危惧があり、国会議事堂が使用できない事態が発生した場合にどこで国会を開会するのか等、実際の緊急事態においてどのようにして国会を開会し続けるかを具体的に議論することが必要との見解
  • 熊谷 裕人 君(立憲) 
    • 緊急集会中に国に緊急の必要性がある新たな案件が発生した場合、内閣総理大臣は当該緊急集会で審議すべき新たな案件を示すことができ、それに関連する議案を議員側が発議できるようにするとともに、参議院から内閣総理大臣に対して新たな案件を示すように促す制度の提案
    • 緊急集会中に国に緊急の必要性がある新たな案件が発生し、内閣から新たな案件が示されない場合、参議院において内閣総理大臣が示した案件に関連のある議案以外の議案の議員による発議を認める余地に関し、憲法との整合性も含めて検討することの必要性
  • 山田 宏 君(自民) 
    • 緊急事態は天災、パンデミック、戦争、様々なものが考えられるが、平時ではなく、緊急事態には緊急事態の考え方があるとの見解
    • 緊急事態について議論すべきは、ウクライナ情勢のようなことや、関東大震災、もっとひどいパンデミック等を想定しあらゆる対策を取っていくことだが、緊急集会についての憲法54条は狭い範囲のことしか定めておらず、これでは対応できないとの見解
  • 福島 みずほ 君(立憲) 
    • 緊急集会の規定は、権力の暴走を許した戦前の反省と参議院の半数改選という特性を生かし、国家権力による濫用を排除し、優れた機能性を具備した世界に誇るべき条項であるとの見解
    • 衆議院では緊急事態条項を取り入れるために衆議院議員の任期延長等が議論されているが、民主主義を徹底する見地から規定が設けられた緊急集会をしっかり議論すべきであるとの見解
  • 佐々木 さやか 君(公明) 
    • 二院制をもって臨むことができない緊急の場合、緊急集会は全国民の代表として行政権に対する民主的コントロールを及ぼす重要な役割を担い、衆議院の同意を要する暫定措置とはいえ、緊急時に国民の基本的人権を保障し、行政権の濫用を防ぐためにも、緊急集会が果たすべき責務は極めて重く、その要件や制度の詳細について検討することは緊急時への備えとして極めて重要との見解
    • 衆議院の任期満了の際に緊急に国会が対応する必要が生じた場合、現実問題として緊急集会で対応するほかないのではないかとの指摘
  • 猪瀬 直樹 君(維新) 
    • ミサイルが官邸に落ちて国会しか残らなかったり、国会が半分潰れたりというような国家の意思決定が色々な形で阻害されたときに意思決定をどう担保するかを考えることは非常に重要な課題であるとの見解
    • ウクライナに対する支援のあり方を当事者性を持って検討するとともに、参議院が最後の意思決定の場所となる可能性を検討し、有事について真剣に考えるきっかけにすべきとの見解
  • 松川 るい 君(自民) 
    • 憲法の条文上、緊急集会は解散から40日以内に総選挙が行われることを前提とした平時の制度であり、緊急事態を想定したものではないとの見解
    • 二院制を採る我が国において参議院だけで国会機能を担うことには疑問があり、緊急事態において国会の開会状態を維持する規定を設け、内閣による衆議院の解散や衆議院による内閣不信任決議案の議決の禁止も必要との見解
  • 仁比 聡平 君(共産) 
    • 日本国憲法は、大日本帝国憲法の緊急事態条項を廃し、全国民を代表する選挙された議員で組織される国会こそが国権の最高機関であり唯一の立法機関であると定め、緊急の必要があるときには緊急集会で対応することとしたが、それは戦前、戒厳令や非常大権などの緊急事態条項により国民の自由と権利が圧殺され、軍国主義に進んだ深い反省に立つものであるとの見解
    • 非常事態を好機とし、国会も開かず、国民の生活や権利を政府が勝手に制限できるようにする緊急事態条項を持ち込もうとすることは筋違いとの指摘
  • 小林 一大 君(自民) 
    • 緊急の対応を要する事態は、衆議院の解散後であろうと、衆議院議員の任期満了後であろうと発生し得るので、どのような場合に緊急集会を開けるかについて議論を深めるべきとの見解
    • 緊急集会の性質が二院制の例外であり暫定的なものであったとしても、具体的な状況により緊急集会において参議院が担う役割は決して小さなものではなく、様々な可能性を持つとの見解

※上記質疑項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。質疑の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。