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第208回国会 憲法審査会

令和4年5月18日(水) 第5回

1. 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について(特に、参議院議員の選挙区の合区問題を中心として))

【事務局当局及び川崎参議院法制局長の説明骨子】
  • 憲法審査会事務局当局
    • 参議院定数訴訟における最高裁判決の動向、合区制度の導入や都道府県を選挙 区単位とすることに対する最高裁の判断等
  • 川崎参議院法制局長
    • 参議院議員の選挙制度に関する経緯、憲法上の要請、最高裁の判断枠組み等
【主な発言項目】
  • 有村 治子 君(自民)
    • 合区導入により、合区対象県においては投票率の低下、多数の無効票等が見受けられ、人口の少ない地方の声が国政に届かなくなるのではとの切実な危機感があるとの指摘
    • 投票価値の平等という理念は極めて大事な価値であるが、最高裁判決では、これを唯一絶対の基準としているわけではないとの認識
    • 歴史的、政治的、経済的、社会的、文化的に意義と実態を有する都道府県の重要な役割に鑑み、参議院は全国比例選挙と都道府県を単位とする地方選出によって構成する価値を堅持し、合区を解消することが肝要であるとの見解
  • 小西 洋之 君(立憲)
    • 参議院の選挙制度に関する歴代最高裁判決の一番基本的な考え方は何かということを押さえ、憲法審査会で議論することの重要性
    • 最高裁は、二院制において参議院が衆議院と違う独自の機能を果たすために必要かつ合理的な選挙制度であれば、一票の較差について数字だけで判断するものではないとの見解
    • 過去の法改正は、参議院が衆議院とは違う独自の役割をまず考え、それに基づいて参議院の選挙制度を考えるというような最高裁の基本的考え方に基づいて行われたとは言えないとの見解
  • 西田 実仁 君(公明)
    • 参議院単独で国会の権能を行使できる緊急集会が可能なのは、全国民の代表という点において衆参両院が共に同質のものとして単一の国会を構成しているからであり、衆議院と同様、参議院の選挙制度においても投票価値の平等が求められるとの見解
    • 憲法が求める投票価値の平等という価値と地域代表的性格をどう調和させるかが重要であるとの見解
    • 従来から提唱している全国を11のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制は憲法が求める議員一人当たりの人口較差の更なる縮小と参議院選挙区の持つ地域代表的な性格を両立ないし調和させるための方策であるとの見解
  • 足立 信也 君(民主)
    • 選挙区の候補者になれない部分を有権者の民意に全く関係ない拘束式で当選させることは民意を踏みにじるとの見解
    • 投票の有する影響力を平等にするには連記制についても考慮されるべきとの見解
    • 比例区と選挙区の二本立てで比率を変えない、一票の較差3倍以内、定数増を伴わない、この条件の下では、奇数配当区導入をもってしても方程式の解は得られないとの見解
  • 高木 かおり 君(維新)
    • 選挙制度において、一議席当たりの有権者数に大きな隔たりがあってはならず、投票価値の平等が保障されていることが民主主義の前提との指摘
    • 合区解消の方法として、参議院を地方の府と位置付け、都道府県から一人以上の選出を憲法に明記するとの見解に対し、①憲法改正により都道府県単位の地域代表制を規定することは、投票価値の平等をゆがめ、民主主義の後退につながること、②憲法43条の全国民の代表との規定との整合性から、賛同できないとの見解
    • 一票の較差を更に縮小させるために、全国を11ブロックに分け、総定数を削減する改革案を示していることについて
  • 山添 拓 君(共産)
    • 参議院議員の選挙制度は、投票価値の平等を求める憲法14条1項、選挙権を国民固有の権利とする15条1項、国会議員が全国民の代表であるとする43条1項などの憲法の要求を満たすことが求められるとの認識
    • 多様な民意を議会に反映させる比例代表を中心とした選挙制度への見直しなどの較差是正に向けた議論の必要性
    • 民意を反映する選挙制度への抜本改革と、地方を含め民意を受け止め憲法を守り生かす政治への転換の必要性
  • 渡辺 喜美 君(みん)
    • 合区導入後の最高裁の合憲判決は国会の努力を評価しただけであるとの認識
    • 憲法43条1項に定める全国民の代表の正統性の根拠が一人一票であるとの見解
    • 選挙区ごとに当選者を決めるのではなく、全国集計をして政党ごとの人数を決め、あらかじめ政党の中で定めたルールにより当選者を決めることについて
  • 舞立 昇治 君(自民)
    • 「人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して」との文言を憲法に明記することにより、投票価値の平等の要請に対し、衆参共に一定の明確な譲歩、緩和効果をもたらすものと考えることについて
    • イギリスやカナダの下院において、大きな一票の較差が許容されていることについて
  • 小西 洋之 君(立憲)
    • 憲法改正をしなくても、最高裁の歴代判決の基本的な法理に即して合区を廃止することができるのではないかとの見解
    • 例えば地方基本政策委員会といったものを設けて地方の問題をしっかり議論する院であるということを二院制の中で参議院の機能として位置付ければ、都道府県選出の議員は各県に一人は必要であるとの見解
    • 最高裁判決は、参議院は衆議院と違って何の役割を果たす院であるのか、それに基づいて一票の較差を含めた選挙制度を考えるよう繰り返し言っているが、国会はそれに応えたことがないとの見解
  • 山谷 えり子 君(自民)
    • 都道府県は歴史的、政治的、経済的、社会的、文化的に独自の実態があり、人口比で選挙区定数を定めることは日本人の文化と歴史の視点から合わないとの見解
    • 各自治体、共同体とのつながりの中で生かされている個人と投票価値の平等の要請との調和の在り方について
  • 打越 さく良 君(立憲)
    • 合区が導入された経緯等について
    • 今後、一票の較差が拡大し、較差是正を行わない場合における最高裁の判断等について
  • 古川 俊治 君(自民)
    • 投票価値の不平等の問題は、人権論というよりも制度論であり、憲法47条が国会に広い裁量を付与していることからも、より緩和された違憲性判断基準が妥当するとの見解
    • 参議院選挙において、合区の弊害をもってしてまで投票価値の平等を実現しようというのは、投票価値の低い都道府県の有権者を救うという実体のない正義の理念に振り回されているとの疑念が強く、是正すべきものとの見解
  • 高瀬 弘美 君(公明)
    • 合区対象県における合区導入後の投票率の低下と国会議員が選出された地域の代表であるという有権者の意識について
    • 地域代表制の具体化に固執することは参議院の機能の大きな変更につながりかねないことから、詳細な議論が必要であるとの見解
  • 舞立 昇治 君(自民)
    • 参議院議員の全部又は一部の選挙について、「広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができる」とすることについて
  • 浅田 均 君(維新)
    • 合区解消の必要性はなく、一院制に至るまでの経過措置として、合区の考え方は積極的に取り入れられるべきとの見解
    • 憲法審査会で議論すべきは、選挙制度の問題ではなく参議院の理念であるとの見解
  • 伊藤 孝江 君(公明)
    • 合区制度は、様々な選択肢の中から各党の合意が得られ導入されたものであり、選挙制度としてベストではないが、現時点で取り得るものとしてはベターな制度であるとの見解
    • 合区による様々な不満や懸念などを解消すること及び最高裁から投票価値が不平等だという判断を受けない恒久的な制度を構築するという要請を両立させるには、都道府県を基準とした選挙区及び全国比例という今の選出方法を前提とした選挙制度の維持は困難であり、ブロック制による大選挙区制が最も適しているとの見解
  • 上月 良祐 君(自民)
    • 人口減少時代に平等原則を偏重して地方の代表を減らすことへの懸念
    • 都道府県という大きさ、固まりは歴史的、文化的に定着しているだけでなく、行政の効率性や隅々まで目を行き届かせるという意味でも一定の合理性があり、都道府県の各選挙区に最低一人、半数改選のため計二人の代表者を選べるようにすることは参議院の選挙として国民の意識に沿ったものであるとの見解
    • 都道府県をベースとした選挙区で選ばれた議員が、全国民を代表しないことには直結しないとの指摘
  • 福島 みずほ 君(立憲)
    • 選挙制度がどうあるべきかは憲法に書くべきことではなく、公職選挙法などに書くべきとの見解
    • 投票価値は平等であるべきで、これに反するような憲法の規定を設けてはならないとの見解
  • 小西 洋之 君(立憲)
    • 今後更に合区をする場合は隣接県以外の合区になるなど合区制度は限界に直面しているとの認識
    • 最高裁判決が求めているのは都道府県の選出議員が集まる参議院が二院制の中で衆議院と違うどういう役割を果たしているかということであり、果たす役割がないまま一票の較差を残した合区廃止の改憲には反対せざるを得ないとの見解

※上記質疑項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。質疑の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。