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第208回国会 憲法審査会

令和4年4月27日(水) 第4回

1. 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査
(憲法に対する考え方について(特に、憲法第56条第1項の「出席」に関する議論を中心として))

【主な発言項目】
  • 西田 昌司 君(自民)
    • 憲法56条の出席概念は当然に議場に物理的に存在することを意味すると解されてきたが、オンライン出席も、確実な本人確認、成り済まし防止などで物理的出席同様になれば出席と解釈でき、また、緊急事態時の立法機能維持のためのオンライン出席、議員個人の個別的事情によるオンライン出席も、憲法58条による議院自律権に基づけば、必ずしも憲法を改正しなくともよいのではないかとの見解
    • オンライン出席については、議院自律権の行使が基本となることから、現行憲法下で認め得る条件の範囲の制約があるとの見解
    • オンライン出席に関しては、権限行使や様態の範囲、位置付けや限界、議員個人の個別的事情の範囲などについて国民の理解が必要であると同時に、技術的・実務的課題を解決することが求められるとの見解
    • まずは調査会・委員会の参考人の意見聴取、さらには質疑での活用などでオンライン方式を進め、環境整備を行うことの提案
    • 緊急事態時のオンライン出席や投票については議院運営規則の改正で対応可能と考えるが、国民の理解を得るためには、本来、憲法改正で明確にしていくことがより望ましいとの見解
  • 小西 洋之 君(立憲)
    • 憲法56条の出席については、現に議場に存在することを基本とすべきであるが、国民主権原理及び間接民主制原理の下で、国政の民主的正統性を確保する観点及び国会議員が全国民の代表としての権能を行使する機会を確保する観点から、必要最小限度のやむを得ない事情があると認め得る場合には、物理的な出席と同等の議会への関与と評価し得る状況にあることを条件として、例外的に憲法改正によることなくオンラインによる出席を同条の出席と解することも許容され得るとの見解
    • やむを得ない事情としては、感染症の蔓延や大規模災害による交通途絶などにより議会の機能の維持そのものが困難となっている場合に限られるとの見解
    • 憲法56条の範囲内で対象とし得る具体的な要件や方法は、憲法の範囲内で認められている議院自律権に基づく議院運営に関する事項に関する判断として、議院規則、国会法により具体化し得るとの見解
    • 委員会におけるオンライン出席は、委員会中心主義を採用していることを踏まえ、本会議に準じて考えていくべきとの見解
    • 物理的な出席と等価値と言えるためには、①物理的な出席と同程度の双方向性などが確保される仕組みやセキュリティーの確保、②本人性や権限行使の真正性の確保、③憲法57条の公開性原則を充足し得る公開の在り方などの課題をクリアすることが必要との見解
    • 妊娠、出産、病気、障害など真にやむを得ない事情を抱える議員について、本人に過剰な負担を生じさせないことを前提とするオンライン出席は、上述①から③などの条件を満たす場合であれば認められる余地があり得るとの見解
  • 平木 大作 君(公明)
    • 国家の危機と言えるような事態にこそ国会は必要な予算と法律を速やかに成立させ、政府に適時適切な対応を求めなければならず、一定の要件の下で例外的にオンラインを活用して本会議を開催し、表決を行うことは憲法上も許容されるとの見解
    • 憲法56条の準則としての性格、現に出席することで全国民を代表するという近代議会政治の原則を踏まえると、議場への物理的参加が原則であり、オンライン審議は、大規模災害やパンデミックの発生など、議場への参集自体が困難であることが誰の目にも明らかであり、オンライン出席を認めない限り国会としての最低限の機能も果たすことができない場合に限るべきとの見解
    • 非常事態全ての予見は難しく、各会派の代表者が集う場で開催の是非や運営の仕方を決めることを可能にしておくことも検討に値するとともに、オンラインで会議にアクセスするための場所をあらかじめ限定することには慎重であるべきとの見解
    • 委員会の審議・表決へのオンライン参加は国会法と議院規則に委ねられており、委員会審議のオンライン化を先行することで技術的課題をクリアしていくことも一案との見解
    • 個人的事情に基づくオンライン出席については、歯止めが掛からなくなる懸念がある一方、妊娠、出産を理由とする場合には認めるべきとの意見も党内で一定の支持を集めているとの指摘
  • 足立 信也 君(民主)
    • 憲法には出席という文言が六箇所存在し、内閣総理大臣その他の国務大臣の出席も委員会その他の会議の出席も同様に解釈すべきとの見解
    • 出席は基本的に物理的出席であるが、オンライン等の機能的出席も排除されるものでなく、また、議員以外の出席については記載はないと考えるとの見解
    • 機能的出席とは物理的に出席し得ない状況でのオンライン出席であり、全議員に及ぶものと個別的事情によるものに大別されるとの見解
    • 全議員に及ぶ物理的に出席し得ない状況とは緊急事態であり、緊急事態において三権の機能を維持し、権限が過剰にならないよう、憲法への明文化が必要であるとともに、緊急事態とは何かについても明文化すべきとの見解
    • 個別的事情による場合は、憲法上、機能的出席が排除されないことを考えると法律で定めるべきであり、その際にはあらかじめ物理的出席ができない理由を届け出て、各会議で対策を講じるべきとの見解
  • 柴田 巧 君(維新)
    • 緊急時に国会をいかに機能させるか立法府が平時から必要な準備をしておくことは当然であり、定足数が不足することの課題を解決するためにオンライン審議を認めることは不可欠との見解
    • 国会は、本会議でのオンライン審議実現に向けて歩みを進めていくとともに、委員会のオンライン出席についても議論を深めていくべきとの見解
    • 妊娠、出産時、病気など個々の議員の事情による場合も、議員の表決権を確保する意味でオンライン審議を認めるべきとの論点も今後の課題とすることが望ましいとの見解
    • 地方議会では、委員会でのオンライン審議導入の例はあるが、本会議については地方自治法の解釈に係る国の通知により実現しておらず、国会がオンライン審議実現に向けてかじを切れば、通知が見直され、地方議会の動きを加速させるとの所感
    • 緊急時にこそ議論すべき事柄は多くなることから、有事の際にも国家機能を麻痺させない手だてを準備すべく、作業を本格化すべきとの見解
  • 山下 芳生 君(共産)
    • 新型コロナ感染拡大下でも、阪神・淡路大震災、東日本大震災の際にも定足数の国会議員が参集できない事態は生じていないとの指摘
    • 国会のコロナ対策は引き続き議院運営委員会で対応可能であり、また、オンライン審議の活用は参議院改革協議会でも検討項目に上がっており、本会議のオンライン出席の可否について憲法審査会で議論する必要性はないとの見解
    • 国会も国家権力の一つであり、多数派による立法権の濫用・暴走を防ぐ上で条文解釈は厳格になされるべきであるとの見解
    • コロナ禍という緊急事態対応において臨時国会召集拒否という権力濫用の事例がある中で、権力の濫用を防止するために置かれた56条の出席要件を緩めることは極めて危険との見解
    • 出産、疾病等により物理的出席が困難である場合のオンライン出席については、必要なのは、提出された法案などに対する自らの立場や意見を議事録等に残すことであり、これは国会法や議院規則を変えることで実現可能との見解
  • 渡辺 喜美 君(みん)
    • 時代の転換期に当たり、国会も時代に即した転換ができるか否かが問われているとの指摘
    • 全国民の代表という原理は命令委任の禁止であり、近代議会制の根本原理であるが、オンライン出席を認めることはこの原理に反するものではないとの見解
    • 緊急事態状況下におけるオンライン出席、議員個人の事情がある場合のオンライン出席について、両方認めるべきであり、憲法改正による対応が筋ではあるが、議院規則改正等による対応を今すぐ行うべきとの見解

※上記質疑項目は事務局において適宜抜粋し作成しております。質疑の全体内容及び詳細については会議録を御参照ください。