委員会・調査会質疑項目

会議一覧へ戻る

国民生活・経済・社会保障に関する調査会の質疑項目へ戻る

第177回国会 国民生活・経済・社会保障に関する調査会

平成23年5月18日(水) 第8回

1. 国民生活・経済・社会保障に関する調査

【意見交換の発言者】

  • 竹谷 とし子 君(公明)
  • 谷  亮子 君(民主)
  • 三原 じゅん子 君(自民)
  • 金子 洋一 君(民主)
  • 中原 八一 君(自民)
  • 佐藤 公治 君(民主)
  • 松村 祥史 君(自民)
  • 柳澤 光美 君(民主)
  • 石井 準一 君(自民)
  • 津田 弥太郎 君(民主)
  • 寺田 典城 君(みん)
  • 松井 孝治 君(民主)
  • 山本 博司 君(公明)
  • 増子 輝彦 君(民主)
  • 古川 俊治 君(自民)
  • 梅村  聡 君(民主)
  • 関口 昌一 君(自民)
  • 舟山 康江 君(民主)
  • 藤田 幸久 君(民主)
  • 山崎  力 君(自民)

【主な発言項目】

  • 喫緊の課題として優先的に取り組まなければならない社会保障の問題点として、貧困と格差の是正がある。働いても生活保護基準以下の生活しかできない世帯や、保険料を納付してきて国民年金だけで暮らすには生活保護以下になってしまうという問題、一人親世帯で所得再分配効果がマイナスとなってしまっているといった問題点である。
  • 日本が持続可能な社会となっていくために重点投資する分野として、幼児教育と女性の社会進出がある。将来に生きてくる支出であるので、予算配分を増やすべきである。
  • 社会保障の負担の問題については、政権交代に影響を受けないところで社会保障を考える組織が必要ではないか。
  • 文部科学省の報告によると運動不足による過剰医療費は2.5兆円との試算もあり、健康寿命を延ばすには生涯スポーツが有効である。医療と生涯スポーツの在り方については、国民誰もが目的にあったスポーツの機会を育むことによって、健康の維持増進につながるので、国民生活に合ったスポーツの振興支援に力を注ぎたい。
  • 社会的排除に対処する戦略として、その中心的政策課題であるソーシャル・インクルージョンの理念が大切である。
  • 持続可能な社会保障には、支え手として女性、高齢者等の就労促進を図るべきである。特にワーク・ライフ・バランスの取組による女性の継続就労と潜在労働力の掘り起こしが重要である。
  • シングルマザーのワーキングプアの増加に歯止めを掛けていかなければならない。税・社会保障制度による所得再分配後に貧困率が上昇することは非常に問題である。ここには非正規雇用の拡大という社会的背景があり、求職者支援制度と生活保護制度との関連について、どう考えていくかが今後の課題である。
  • 「増税やむなし」というような書きぶりになっている財務省の平成23年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算は、税収弾性値が極めて低いこと、名目GDPの伸びが上がった場合の金利の上昇が極めて速いことの二点において、完全に誤っている。
  • 税と社会保障の問題を考える上でも、今後の税収の見積もりについては、きちんとした数字とシナリオに基づいて考えるべきである。
  • 社会保障費の不足財源は、消費税の引上げで賄うべきであるが、消費税の引上げは、東日本大震災の被災者の生活に大きな影響を与えることから、今後の日本経済の状況や被災地の復旧復興の進捗状況を踏まえ、慎重に検討し見極めていかなけれならない。
  • 消費税の引上げのタイミングと内容、目的については、今後十分な整理を行い、国民に分かりやすい説明をして理解を得ることが極めて重要である。
  • 社会保障の充実が急務であるが、そのためには国民負担が求められる。負担とサービスの関係が希薄な状況の中で、両者の関係を国民に明確に説明する必要がある。
  • 公的社会支出の年金偏重を改めて、年金以外の社会サービスを拡充する必要があるとの指摘が参考になった。
  • この国のあるべき姿や日本人のあるべき姿というものがあって初めて、持続可能な社会がどうあるべきかという議論になっていかなければいけない。今までの日本の社会システムがどういった国をつくろうとしているのかが曖昧なままであり、そういったことについての議論を深めていくことが重要である。
  • 社会保障の問題については、財源の確保を、今後、調査研究していく必要がある。その際、現役世代への負担の在り方をしっかりと検討していかなければならない。
  • 持続可能な経済社会という意味では、雇用に関して、危惧をしている。
  • 中小企業の育成にはもっと尽力すべきである。企業の成長段階に応じた社会保険料等の事業主負担の在り方について、今後検討していくべきである。
  • 今後、スーパー専門学校のように、就学の機会を増やすとか、人材の育成によって経済社会の構築を図っていくことも研究テーマに入れていくべきではないか。
  • 自殺は社会的な構造上の問題である。強い者しか生き残れないという流れの中で、人に対する思いやりがなくなった究極のしわ寄せが自殺にきている。国民生活・経済・社会保障の在り方というものを、日本の歴史と伝統と文化の中で、日本らしいものを再構築すべきときである。
  • 日本では働く縁というものが大きな柱であった。福祉は企業の労使関係の中にあった。生活できるだけの賃金が配分され、企業年金、厚生年金、健康保険組合。日本らしい仕組みづくりをもう一歩踏み込んで検討していく必要があるのではないか。
  • 社会保障制度は、国民にとって最も大きな生活インフラ、生涯設計における重要なセーフティーネットであり、これに対する信頼なしには国民の安心と安定はあり得ない。
  • 長期にわたって社会保障制度を拡大していくことは事実上不可能であるとの意見を参考人から聴き、国の在り方そのものを議論していく必要性を認識した。
  • 社会保障の三本柱である年金、医療、介護については、自助・自律の精神を基本として安心できる制度として再構築していかなければならない。
  • 世代間の給付と負担の均衡をどのような水準で図り、相互に支え合うのか。社会保障制度を将来にわたり持続可能で安心できるように再構築するために、国民一人ひとりがその意義、役割、内容を理解し、支えていくという自覚を持つよう啓蒙普及をしていかなければならない。
  • 税と社会保障の一体改革が進められているが、改革の全体像と社会保障制度の将来像をできる限り早期に国民に示す必要がある。社会保障給付に必要な財源の確保については、国民への説明責任を果たした上で、社会保障と一体的に改革を行うことが不可欠である。
  • 社会保障の負担については、現役世代に過剰にならないようにすることが重要である。
  • 給付については、やむを得ず水準を見直すような場合であっても、社会的弱者にしわ寄せが行かないようにすべきである。
  • 重要な点として、税や社会保障が本来の所得再分配効果を果たせるようにすべきである。
  • 医療、介護分野では、地域における雇用創出に向けた積極的な施策を展開すべきである。その際、介護サービスの質を確保するために、介護労働者の処遇を改善する必要がある。
  • 子ども施策については、一人親家庭や子どもに対する再分配政策を強化するとともに、「貧困の連鎖」が生じないよう、教育をはじめとする関連施策を充実させるべきである。
  • 障害者政策については、「障害者権利条約」の批准に必要な国内法が大きな論点である。障害者や働くことができる生活保護受給者の就労促進策の充実を図る必要がある。
  • 「働きがいのある人間らしい仕事」を実現するため、労働条件の改善や男性の働き方の見直しなどの取組を強化すべきである。
  • 大学教育等において、社会人を含めた職業能力開発の機能の充実を図るべきである。
  • 次年度以降も社会保障の問題を掘り下げるとともに、併せて雇用の問題についても調査を行うべきである。
  • 所得格差が子育て格差、教育格差につながっていることに大きな懸念を持っている。これを最大限サポートし、人の可能性を追求する社会システムをつくるべきである。所得格差が子育て格差、教育格差につながるその負の連鎖を断ち切ることが必要ではないか。
  • 社会保障の在り方のポイントとしては、人的資源が持続可能なエネルギーになるという表現をしたい。
  • 社会保障の在り方を考えるとき、近代国家の在り方が曲がり角にきているのではないか。国家が行政サービスを提供し、それを納税者の税金等で賄うというのは合理的な仕組みだが、元々人間社会が持っていた絆の中で内生化されていたものを分業化して、分断してきた側面がある。過度に分断化されたことが幸福感を奪っているのではないか。
  • 中央集権型の政府だけに頼っていても、持続可能性という意味では苦しいので、自助、共助、公助の中から自分たちがお互いに支え合うことを峻別して、当事者意識を取り戻せるような仕組みを作っていかなければ、制度疲労が進行するばかりである。
  • 世代間の分断のようなことについても、若者の絶望感につながっている部分もある。技術論だけではなく、社会の在り方全体をどうしていくのか、一人ひとりが公について当事者意識を持って行けるような社会の在り方を、今後も調査していければと思う。
  • 団塊の世代が75歳になる2025年の超高齢化社会を考えたとき、今から医療、介護、福祉等の事業が迅速に連携する使いやすいサービスを構築することが必要になってくる。
  • 持続可能な社会保障の制度設計に際して、基本的な考え方としては、セーフティネットの機能強化と国民目線に立った分かりやすい改革の実施が必要である。また、給付と負担の関係の明確化、さらには制度設計のプロセスの透明化など、これから負担を担う若い世代からの制度に対する信頼を得ることが必要である。さらに、一定の成長戦略が重要で、女性や高齢者等の支え手の拡大対策も大事である。
  • 日本社会転換のキーワードは、孤立社会から支え合う社会へと転換である。このような視点で、持続可能な経済成長と社会保障の在り方について、更に議論を深めていきたい。
  • 少子高齢化の進展に伴って社会保障が問題となってくるのは明々白々であったにもかか わらず、何ら解決策が出ていない。問題解決の実行の段階が待ったなしに来ている。
  • 世界に先駆けて少子化が進む我が国は、人口を増やさない中での経済成長、人口が減少する中での社会保障をどう考えていくのかが最大のテーマであると考えている。
  • 高福祉・高負担なのか、低福祉・低負担なのか、あるいは全く自立していくのか。こういった選択をメニューとして出さなければ行けない時期に入ったのではないか。
  • 人口問題が極めて重要であり、命を大切にし、人工中絶をしないで子どもを育てていけるような社会環境をつくっていかなければならない。
  • 人口問題と持続可能な経済社会のバランス、人口と社会保障のバランスをどう取っていくのか、極めて大きなテーマであり、この調査で引き続き、勉強していきたい。
  • 参考人からは、専門分野のそれぞれの視点から社会保障制度の在り方について意見があったが、この調査会においては、政治的な決断としてどういうものを総合的に目指していくのかという大きな意味での提言、方向性を告げる提言を出すべきである。
  • 中福祉低負担の日本においては、不足分が赤字になってきただけで、財政再建をしていくことになると、今後も中福祉を守っていくためには高負担でなければならない。どんなに楽観的な成長戦略を考えてみても、福祉以上の負担をしなければ、将来、この国の財政は持たないわけだから、中福祉高負担を国民に正直に説明していく。このことを提言していかなければいけない。
  • 社会保障は、最終的には負担と給付の問題に行き着く。日本は、ヨーロッパ等の中福祉中負担の国々とのギャップをどう埋めていくのか、そこへ向けて踏み出していくのかが問われている。
  • 地元で有権者の意見を聴くと、高齢者に一番多い意見は、国民年金よりも生活保護の方が給付が高いのは一体どういうことなんだと、国民の気持ちとしてはそういうものがある。医療費が無料になると、もらった湿布や睡眠薬を横流して売るというビジネスが広がっていて、それを国民が目にする。国民の納得と同意というときには、そういうモラルの問題にぶつかる。
  • 社会保障の中にもモラルの問題があることを国民に説明できるような改革を政府、立法府はしているのかという不信感がある。それが、中福祉中負担、あるいはもう少し大きな政府を目指すには、大きな足かせになっているのではないか。立法府であるから、そのことを国民に説明できるような改革をしていく必要がある。
  • 我が国の社会制度を支えてきた経済成長にも大変陰りが見えてきている現状で、少子高齢化が進展する中、安定的な社会保障制度をはじめとする様々な制度の見直しをしていかなければならないと認識している。
  • 財源問題を含めた社会保障制度の一体的、抜本的な改革は避けて通れない。給付と負担のバランスを、どのような水準で均衡を図るのかという核心部分については、広く国民の意識を十分踏まえた上で検討する必要がある。
  • 社会保障の国と地方の役割分担について、地方からも「全国一律の現金給付は国、地方の実情に応じて提供すべき現物給付は地方に」という国と地方の役割分担の明確化を求める提言もあり、改革を進めていく中で、こうした地方の意見も尊重すべきである。
  • 真の豊かさを追求する国の在り方ということを含めて、これからの社会保障も考えていくべきではないか。調査会では、このようなテーマについても議論をしていきたい。
  • 社会保障を考える際に、日本の最大の問題は、所得の再分配後にむしろ格差が拡大していることである。低所得者を中心に、再分配をしたら、むしろ貧困になってしまったという問題が今の日本に生じている。これは早急に直していかなければいけない。
  • 社会保障の負担も、むしろ逆進性と言われるような低所得者により重い負担を強いている。大枠の議論の前に、この部分は調査会でも積極的に提言していくべきではないか。
  • 最低限のセーフティネットとして生活保護の必要性は誰もが認めるところではあるが、生活保護からなかなか抜け出せず、下手に働くよりもその方が居心地が良くて、生活保護の連鎖ということも起こっている。労働インセンティブを強化すること、ほかの社会保障との連続性を持たせるような仕組みについても提案していかなければいけない。
  • ここらで幻想のような低負担で高福祉ということはあり得ないということを明確に言いながら、その妥当な福祉水準というのを模索していく必要があるのではないか。
  • 東日本大震災後の状況も加味して、この調査会に関するテーマを、調査会の特徴を生かして進めていくべきである。
  • 非正規社員については、同一労働同一賃金という意味において、これ以上増やすことはできないし、削減していくべきだという意見は、将来の日本社会全体を考える意味でも重要なことではないか。
  • 物事、すべてバランスである。どちらかが絶対にいいということはいえない。財源問題と給付の程度問題については、まさにバランスの問題である。
  • 量の問題が質の問題に転化するところをどこで捉えるのか、新たな問題に取りかかるには、そこに質的変化が生じたという認識が必要である。
  • 国民の理解を得ることは、本当の意味では不可能と思われるが、国民の理解を得るには、これを立法措置でいくのか、我々のような立場の人間が説得によって成し遂げるのか、非常に問題が多い。