質問主意書

第221回国会(特別会)

答弁書

内閣参質二二一第三六号
  令和八年四月二十八日
内閣総理大臣 高市 早苗


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員石垣のりこ君提出高額療養費制度の見直しが患者の意向に沿うものであるという総理答弁と破滅的医療支出との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石垣のりこ君提出高額療養費制度の見直しが患者の意向に沿うものであるという総理答弁と破滅的医療支出との関係に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「月額上限の引上げ」については、「患者団体」の方にも参画いただいた社会保障審議会医療保険部会高額療養費制度の在り方に関する専門委員会(以下「専門委員会」という。)において取りまとめた「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方」(令和七年十二月十六日公表)において、「高額療養費制度を取り巻く・・・課題や将来への制度の継承を確かなものとするためには、近年の医療費の伸び等に一定程度対応した形での自己負担限度額・・・の見直しを行っていくことの必要性は理解する」とされたことを踏まえ、これを行うこととしたものであり、また、例えば、令和七年十二月二十四日に一般社団法人全国がん患者団体連合会及び一般社団法人日本難病・疾病団体協議会が連名で発表した「高額療養費制度の見直しに関する共同声明」において、「月毎の限度額を引き上げる場合でも、治療断念や生活破綻につながることがないように更なる抑制を検討すること」等の「患者団体」の要望があったことについては承知しているが、お尋ねのように「患者団体」の「意向が強い」かどうかについては承知していない。

二について

 お尋ねの「高額療養費制度の見直しが患者の生活に与える影響」については、「見直し項目ごと」ではなく、「見直し」の内容全体として「評価」を行っているところ、例えば、令和八年四月十五日の衆議院厚生労働委員会において、上野厚生労働大臣が「今回の見直しにおきましては、多数回該当の据置き、年間上限の新設、年収二百万円未満で課税対象となる方の多数回該当の金額の引下げなど、特に治療に係る経済的負担が厳しいと考えられる長期療養者や所得の低い方に十分配慮していると考えておりますので、必要な受診が抑制されることは想定していない」と述べているとおり、「評価」を行っており、また、お尋ねの「直接大幅な負担増」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「患者の生活に」「高額療養費制度の見直し」が一定の「影響を及ぼ」すことに関しては、例えば、同日の同委員会において、栗原厚生労働大臣政務官が「今回の見直しでは、制度全体の持続可能性を確保するために、低所得者の負担に考慮しつつ、負担上限を見直す。この一方で、・・・多数回該当、この金額を維持しております。また、加えまして、長期にわたり治療を継続される方が御不安に感じる将来の医療費負担に見通しを立てやすくなるように、新たに年間の医療費負担に上限を設けるほか、年収二百万円未満の課税世帯の方の多数回該当の金額を引き下げるなど、長期療養者や低所得者へのセーフティーネット機能を強化いたしたところでございます」と述べているとおり、「高額療養費制度の見直し」の内容全体として、医療費の負担に配慮しているところである。

三の前段について

 御指摘の「評価指標」の具体的に意味するところが明らかではないが、お尋ねの「破滅的医療支出」の「概念」に関しては、令和八年三月二十四日の参議院厚生労働委員会において、上野厚生労働大臣が「いわゆる破滅的医療支出でございますが、この概念は、WHOが家計の支払能力の四十パーセント以上である医療費支出と定義をしております。(中略)その上で、今回の専門委員会における議論の過程においても、事務局からいわゆるこの概念としての破滅的医療支出の議論、こうしたものを参考にして、家計調査を用いて、家計の総収入から税、社会保険料、生活費、これを控除した額と年間の自己負担限度額を比較をした資料を提出をし、御議論をいただいております」と答弁しているとおりであり、今回の高額療養費制度の見直しの議論において参考としているところである。

三の後段について

 お尋ねの「同概念に該当する患者の実態」については、患者の置かれた状況は様々であること等から、網羅的に把握していないが、例えば、令和七年十一月二十一日開催の第六回専門委員会(以下「第六回専門委員会」という。)において、委員から「様々な限界があるデータではございますが、特に低所得の方を中心に、既に破滅的医療費支出に該当している方々が一定程度いらっしゃるということが想像できるかと考えます」等の発言があったものと承知している。

四について

 御指摘の「破滅的医療支出」に関しては、専門委員会において、患者の置かれた状況は様々であるとの認識の下、例えば、令和七年六月三十日開催の第二回専門委員会において、委員から「家計への影響について分かるように、具体的な仮のモデルを設定したイメージを出していただきたい」との発言があったこと等を踏まえ、お尋ねの「「破滅的医療支出」に該当する患者の人数及び割合の試算又は分析」を行うのではなく、これに関する議論に資するよう、例えば、令和七年十月二十二日開催の第五回専門委員会の資料一「高額療養費制度について」の「胃がん患者の医療費負担の例」等において、「傷病」や「年収」等ごとの高額療養費制度の適用後の「自己負担」並びに「食費」、「光熱水費」、「住居費」、「税・社会保険料」及び「その他」の「家計の状況(年間)」の「例」や、第六回専門委員会の資料一「高額療養費制度について」の「高額療養費制度における自己負担限度額と家計の状況」において、「総務省「家計調査」・・・における同年収階級の総収入(実収入)」ごとの「現行の高額療養費制度における自己負担と、家計の総収入から「社会保険料等の非消費支出」及び「生活費・・・」を控除した額」の「比較」等を示しているところである。

五について

 お尋ねの「患者団体の関係者の指摘」については、令和七年十二月八日開催の第七回専門委員会において、委員から「長期に療養される方や、・・・所得の低い方等には、十分な配慮が必要」等の発言があったことからも、特に所得の低い方を始め長期にわたって治療を受けられる患者にとって、医療費の負担が過大となっているのではないかという趣旨と「受け止め」ており、こうした御意見や、第六回専門委員会において、委員から「現在の多数回該当のみの制度では、長期利用者の生活への影響を緩和することが難しいと思われますので、年間上限を加えることなども考慮しながら制度を考える必要があると思っています」との発言があったこと等を踏まえ、お尋ねの「高額療養費制度の見直し」に当たっては、二についてで述べたとおり、「多数回該当・・・の金額を維持し・・・新たに年間の医療費負担に上限を設けるほか、年収二百万円未満の課税世帯の方の多数回該当の金額を引き下げるなど、長期療養者や低所得者へのセーフティーネット機能を強化」して行うこととしたところである。

六について

 お尋ねの「「破滅的医療支出」に該当する患者が存在し続けることが患者の意向に沿うものと考えているか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、「「破滅的医療支出」に該当する」ことが「患者の意向に沿う」といった「患者団体の主張や関係者の発言等」は承知していない。その上で、「破滅的医療支出」に関しては、四についてで述べたとおり、これに関する議論に資するよう、専門委員会において資料を示し、議論がなされたところであり、令和八年四月十五日の衆議院厚生労働委員会において、上野厚生労働大臣が「見直しに当たりましては、患者団体の方にも御参画をいただいた専門委員会におきまして、計九回の議論を重ねてまいりました。・・・第八回の専門委員会におきまして、見直しの考え方で整理、合意をいただいておりますが、その際、低所得者の負担に配慮しつつ、一人当たり医療費の伸びに応じて月額上限額を見直すこと、また、応能負担という観点に基づき所得区分の細分化を行うが、その際、現在の限度額から著しく増加することがないように配慮すること、また、・・・多数回該当の金額の維持、年間上限の創設や、年収二百万未満の課税世帯の方の多数回該当の金額の引下げなどもセーフティーネット機能の強化の観点から実施をしております」と答弁しているとおり、高額療養費制度の見直しを行うこととしたところである。