第221回国会(特別会)
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内閣参質二二一第一〇号 令和八年三月十九日 内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 木原 稔
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員福島みずほ君提出福島県におけるがんの多発状態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員福島みずほ君提出福島県におけるがんの多発状態に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねのように「当該データを解析した結果、・・・確認された」ことは「把握」しておらず、「同様の認識であるか」についてお示しすることは困難である。 二及び三について 御指摘の「連携」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、「活動事例」について一概にお答えすることは困難であるが、がん対策については、がん対策基本法(平成十八年法律第九十八号)第二条第七号に基づき、「国、地方公共団体・・・の相互の密接な連携の下に実施」することとしているところ、がん対策のうち、お尋ねのような「当該データを活用した治療や予防対策活動」及び「施策」に関しては、例えば、政府においては、「がん対策推進基本計画」(令和五年三月二十八日閣議決定)において、「PDCAサイクルの実効性を確保するため、ロジックモデルを活用する」、「都道府県は、本基本計画を基本としながら、当該都道府県におけるがん患者に対するがん医療の提供の状況等を踏まえ、都道府県計画を策定する」等とした上で、「第四期がん対策推進基本計画ロジックモデル 確定版」(令和五年八月九日付け健が発〇八〇九第一号厚生労働省健康局がん・疾病対策課長通知別紙一)において、都道府県に対し、「基本ロジックモデル」を示し、例えば、「がんの二次予防(がん検診)」について、「最終アウトカム」として「がん罹患率(子宮頸・大腸)」「減少」を、「最終アウトカム指標」として御指摘の「当該データ」等の「全国がん登録の統計データ」を活用し算出された「がん種別年齢調整罹患率」を、また、「がん医療提供体制等〈手術療法・放射線療法・薬物療法〉」について、「最終アウトカム」として「がんの生存率の向上」を、「最終アウトカム指標」として当該統計データ等を活用し算出された「がん種別五年生存率」を示しており、これらを踏まえ、都道府県においては、当該「最終アウトカム」及び「最終アウトカム指標」も含む、都道府県がん対策推進計画(同法第十二条第一項に規定する都道府県がん対策推進計画をいう。)を策定の上、がん対策に取り組まれているものと承知しており、お尋ねの福島県においても、同県の実情を踏まえながら、当該「最終アウトカム」及び「最終アウトカム指標」も含む、令和六年度から令和十一年度までを計画期間とする「福島県がん対策推進計画(第四期)」(令和六年三月福島県保健福祉部作成)を策定し、がん対策に取り組まれているものと承知している。 四及び五について 御指摘の「有効活用されなかった」の具体的に意味するところが明らかではないが、御指摘の「当該地図」に関しては、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会が平成二十四年七月二十三日に取りまとめた最終報告書において、「アメリカ合衆国(以下「米国」という。)エネルギー省(DOE)は、・・・福島第一原発周辺の航空機モニタリングを実施しており・・・、三月十七日から同月二十日にかけて実施したモニタリング結果(福島第一原発周辺の放射線量分布状況を示す地図資料)が、その頃、外務省経由で、保安院及び文部科学省に送付された。(中略)文部科学省は、・・・外務省を介して米国に対し、前記資料の公表を依頼し、米国(DOE)は、同月二十二日頃、これを公表した」、「文部科学省は、・・・前記資料が掲載されたDOEホームページの・・・URLを同省のホームページに掲載した」等と記載されたとおりであり、御指摘のように「政府が当該地図を公表」しなかったものではない。 六の1について 御指摘の「原発事故」を原子力緊急事態(原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第二条第二号に規定する原子力緊急事態をいう。以下同じ。)と解すれば、「航空機やヘリコプターを使用して、原発施設周辺地域の放射線測定を実施する計画はあるか」とのお尋ねについては、「航空機やヘリコプターを使用して」実施することも念頭に、防災基本計画(令和七年七月一日中央防災会議決定)において、原子力緊急事態が発生した場合のみならず、原子力緊急事態が発生するおそれがある場合に実施する「緊急時モニタリング(放射性物質若しくは放射線の異常な放出又はそのおそれがある場合に実施する環境放射線モニタリングをいう。・・・)」について、「国〔原子力規制委員会、水産庁、環境省、防衛省等〕及び指定公共機関〔国立研究開発法人日本原子力研究開発機構〕は、必要に応じて、対応可能な範囲で、空からの又は海上における緊急時モニタリングに関して、実施又は支援するものとする」としているとおりである。また、「その計画には測定結果をインターネット上で迅速に公開することが含まれているか」とのお尋ねに関しては、同計画において、「原子力規制委員会(原子力緊急事態宣言発出後においては原子力災害対策本部)は、緊急時モニタリングの結果に対する総合的な評価を行い、記者会見等において公表するとともにホームページ等において公開するものとする」としており、御指摘のように「迅速に公開する」こととしている。さらに、「同計画はいつ、どのような内容で確定したか」とのお尋ねについては、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第三十四条第一項に基づき、令和七年七月一日開催の中央防災会議において修正され、「確定した」ものである。 六の2について 御指摘の「原発事故」を原子力緊急事態と解すれば、原子力緊急事態が発生した場合に、御指摘の「避難した原発施設周辺地域の住民に対して実施される被曝線量検査」に関しては、原子力災害対策指針(令和六年原子力規制委員会告示第八号)において、「防護措置の実施を判断する基準として、空間放射線量率や環境試料中の放射性物質の濃度等の原則計測可能な値で表される運用上の介入レベル(Operational Intervention Level。以下「OIL」という。)を設定」し、「立地道府県等は、OILに基づく防護措置として避難又は一時移転を指示された住民等・・・を対象に避難退域時検査を行い、基準値を超えた場合には簡易除染を行う」ため、当該簡易除染を実施する等の際に必要に応じて当該検査の結果を本人にお知らせしているところであり、また、同指針において、「立地道府県等は、・・・甲状腺被ばく線量モニタリングを実施」し、その「対象とする者は、OILに基づく防護措置として避難又は一時移転を指示された地域に居住する住民等・・・であって、十九歳未満の者、妊婦及び授乳婦を基本とする」とともに、「甲状腺被ばく線量モニタリング実施マニュアル」(令和五年五月三十一日内閣府(原子力防災担当)及び原子力規制庁制定)において、「立地道府県等において、・・・測定結果等のデータを記録・管理する。また、正味値について、本人からの請求により伝達する窓口等を設置する」こととし、必要に応じて当該測定結果を本人にお知らせしているところであり、御指摘のように「被曝線量検査の結果データが本人に必ず行き渡る仕組み」を「導入」する予定はない。 また、御指摘の「避難した原発施設周辺地域の住民」も含めた住民の健康管理等については、同指針において、「国、地方公共団体等は、放射線との関連が明らかな疾患だけでなく、メンタルケア等も含めた健康状態を把握するための長期的な健康評価を実施しなければならない」とするとともに、「原子力災害対策マニュアル」(平成二十四年十月十九日原子力防災会議幹事会決定)において、国は「住民の線量評価結果を基に健康管理が必要な対象区域及び対象者の選定、健康管理の内容について、都道府県の関係者と協議・調整を行う・・・都道府県が行う住民の健康管理を支援する」こととし、これらを踏まえ、原子力緊急事態の際の個別具体的な事情に応じ、適切に対応することとしているところであり、御指摘のように「住民に対する健康面の追跡調査の実施、高濃度の被曝による疾病を早期発見するための国や自治体による定期的な健康診断を義務付ける制度」を「導入」する予定はない。 六の3について 御指摘の「原発事故」を原子力緊急事態と解すれば、原子力緊急事態が発生した場合に、前段のお尋ねについては、原子力災害対策指針において、「放射線被ばくによる重篤な確定的影響を回避し又は最小化するため・・・放射性物質が放出される前の段階から予防的に防護措置を準備する区域である」「PAZにおいては、緊急事態の区分に応じて避難の対象となる住民等について、自然災害等により避難が困難な場合又は健康状態等により避難よりも屋内退避が優先される場合の措置として、屋内退避を実施する」、「確率的影響のリスクを低減するため、・・・緊急防護措置を準備する区域である」「UPZにおいては、全面緊急事態に至った時点で屋内退避を実施する」、「防護措置の実施を判断する基準として、空間放射線量率や環境試料中の放射性物質の濃度等の原則計測可能な値で表される運用上の介入レベル(Operational Intervention Level。以下「OIL」という。)を設定」し、「屋内退避は、(中略)緊急時モニタリングの結果に応じて、OIL1又はOIL2を超える地域があれば、避難や一時移転等の防護措置を講ずる」、「立地道府県等は、OILに基づく防護措置として避難又は一時移転を指示された住民等・・・を対象に避難退域時検査を行い、基準値を超えた場合には簡易除染を行う」及び「立地道府県等は、・・・甲状腺被ばく線量モニタリングを実施」し、その「対象とする者は、OILに基づく防護措置として避難又は一時移転を指示された地域に居住する住民等・・・であって、十九歳未満の者、妊婦及び授乳婦を基本とする」としているとおり、「屋内退避」の実施後に避難や一時移転等を行う場合には、「避難退域時検査」や「甲状腺被ばく線量モニタリング」をするところである。 後段のお尋ねについては、御指摘の「cpm、ベクレル毎平方センチメートル、シーベルト等」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、例えば、環境省ウェブサイトにおいて、「放射線の単位」として示している「ベクレル」と「シーベルト」については、「ベクレルは放射能の単位で、放射線を出す側に着目したものです。土や食品、水道水等に含まれる放射性物質の量を表すときに使われ、ベクレルで表した数値が大きいほど、そこからたくさんの放射線が出ていることを意味します。一方、シーベルトは人が受ける被ばく線量の単位で、放射線を受ける側、すなわち人体に対して用いられます。シーベルトで表した数値が大きいほど、人体への放射線の影響が大きいことを意味します」等としているとおり、両者の対象や目的、用いられる場面等が異なるものであることから、御指摘のように「単位をあらかじめ統一」することは適当ではないと考えている。なお、御指摘の「被曝の程度」については、「シーベルト」を単位に用いるところ、例えば、「ベクレル」を単位に用いる当該放射性物質を摂取した場合の「被曝の程度」については、放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号)第十九条第二項及び別表第二において、「内部被ばくによる実効線量の算出」の方法及び「ベクレル」から「シーベルト」を算出するための「経口摂取した場合の実効線量係数(mSv/Bq)」等を示しているところである。 六の4について 御指摘の「原発事故」を原子力緊急事態と解すれば、原子力緊急事態が発生した場合に、六の1についてで述べたとおり、防災基本計画において、原子力緊急事態が発生した場合のみならず、原子力緊急事態が発生するおそれがある場合に実施する「緊急時モニタリング(放射性物質若しくは放射線の異常な放出又はそのおそれがある場合に実施する環境放射線モニタリングをいう。・・・)」について、「原子力規制委員会(原子力緊急事態宣言発出後においては原子力災害対策本部)は、緊急時モニタリングの結果に対する総合的な評価を行い、記者会見等において公表するとともにホームページ等において公開するものとする」としているとおり、御指摘のように「広く周知」しているところであり、また、原子力災害対策指針において、「全面緊急事態は、原子力施設において公衆に放射線による影響をもたらす可能性が高い事象が生じたため、・・・迅速な防護措置を実施する必要がある段階」で、「放射線被ばくによる重篤な確定的影響を回避し又は最小化するため・・・放射性物質が放出される前の段階から予防的に防護措置を準備する区域である」「PAZにおいては、全面緊急事態に至った時点で、直ちに、避難と安定ヨウ素剤の服用について原子力災害対策本部又は地方公共団体が指示を出す」こととし、「PAZ以外においては、全面緊急事態に至った後に、原子力施設の状況や緊急時モニタリング結果等に応じて、避難又は一時移転と併せて安定ヨウ素剤の配布及び服用について、原子力規制委員会が必要性を判断し、原子力災害対策本部又は地方公共団体が指示を出す」こととしているとおり、御指摘のように「原発施設周辺地域の放射線測定結果」に応じて、「住民の安定ヨウ素剤の服用」を「迅速に実施」することとしているところである。 六の5について 御指摘の「原発事故」を原子力緊急事態と、御指摘の「現場で実際に講じられた対策」を六の1で御指摘の「原発施設周辺地域の放射線測定」及び六の2で御指摘の「原発施設周辺地域の住民に対して実施される被曝線量検査」と解すれば、御指摘のような「対策」に係る「全ての活動を録音、録画等により記録するなど」の「デジタル媒体への活動記録の保存」については、技術面の課題等が考えられるが、御指摘のように「対策の詳細を後に検証できる」ように、当該対策に係る政府の活動については、「原子力災害対策マニュアル」において、「意思決定の過程及び実績を把握し、現在及び将来の国民に説明する責務を果たすため、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号・・・)に基づき、・・・保存等管理の徹底を図る」とし、これに基づき適切に対応することとしており、現時点で、御指摘のような「法律」を検討する予定はない。 |