質問主意書

第221回国会(特別会)

質問主意書

質問第五三号

ホルムズ海峡の封鎖等の影響により事業活動を縮小した事業主を迅速に支援するための雇用調整助成金の要件見直し等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和八年六月三日

石垣 のりこ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   ホルムズ海峡の封鎖等の影響により事業活動を縮小した事業主を迅速に支援するための雇用調整助成金の要件見直し等に関する質問主意書

 中東情勢の緊迫化及びホルムズ海峡の封鎖に伴い、原油、ナフサその他石油由来原材料の供給制約が生じ、石油化学製品等を製造する工場において操業停止・減産等の事業活動の縮小が相次いでいると報じられている。今回の原因は、景気後退等による需要減少ではなく、原材料の入手困難等による供給制約である。

 厚生労働省ウェブサイトは、雇用調整助成金について、「原材料の入手困難や価格高騰等に伴い、事業活動を縮小し、休業等を余儀なくされた場合、要件を満たせば支給対象になります。」と説明している。また、「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合」に助成するとし、その要件として、「売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近三か月間の月平均値が前年同期に比べて十%以上減少していること。」(以下「当該要件」という。)等を満たす必要がある。

 しかし、今回のように原材料の入手困難等によって突発的に事業活動の縮小が発生した場合、一定期間を経なければ当該要件を満たせない。このため、厚生労働省が支給対象となり得るとしている事案でも、事業活動の縮小直後の最も厳しい時期に迅速な支給を受けられないおそれがある。また、今後、国際情勢の悪化その他の要因に伴う原材料供給の途絶により、更なる事業活動の縮小が発生する可能性は否定できない。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 雇用調整助成金について、輸入の停滞等に伴う原材料の入手困難等によって事業活動の縮小を余儀なくされた場合でも、当該要件を満たさなければ、原則として支給対象にならないと理解してよいか示されたい。

二 今回のホルムズ海峡をめぐる情勢悪化のように、需要減少ではなく供給制約によって事業活動の縮小が生じる場合、現行の雇用調整助成金の要件では「従業員の雇用を維持した場合」に十分な助成ができていないと考えるが、政府の認識を示されたい。

三 原材料の入手困難等によって事業活動の縮小を余儀なくされた場合、当該要件によって雇用調整助成金を迅速に支給できない。「原材料の供給制約により事業活動の継続が困難となっている場合」にも支給できるよう要件を見直す考えはあるか、政府の認識を示されたい。

四 ホルムズ海峡の封鎖によって、一部の事業者において原材料の入手困難等が生じている現状を踏まえ、原材料の供給制約、輸入の停滞その他サプライチェーン上の支障が、取引先との契約書、納入遅延通知、輸入停止通知その他客観的資料により確認できる場合には、当該要件を満たすことなく、迅速に雇用調整助成金を支給可能とする運用又は制度改正を行う考えはあるか、政府の認識を示されたい。

五 我が国経済が海外からの原材料及び燃料供給に依存している現状を踏まえ、雇用調整助成金について、景気後退等による需要減少だけでなく、原材料の入手困難等による供給制約を原因とした事態にも対応できる制度へ見直す必要があると考えるが、政府の認識を示されたい。

六 ホルムズ海峡の封鎖その他国際情勢の悪化に伴う原材料の入手困難等により、今後、雇用調整助成金の申請件数及び支給額が大幅に増加する可能性について、政府の認識を示されたい。

七 前記六の事態が生じた場合、雇用調整助成金に係る財源が不足する可能性について、政府の認識を示されたい。

八 雇用調整助成金について、供給制約を原因とする事態への対応として支給要件を緩和する場合、雇用保険二事業に係る積立金の積増し、一般会計からの繰入れその他必要な財源措置を講ずる必要があると考えるが、政府の認識を示されたい。

九 新型コロナウイルス感染症拡大時、雇用調整助成金の特例措置及び財源措置のために法改正等が実施されたことを踏まえ、今回のような大規模な供給制約を原因とする事態への対応に当たっても、新たな特別措置法の制定又は雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)等の改正が必要と考えるが、政府の認識を示されたい。

  右質問する。