質問主意書

第221回国会(特別会)

質問主意書

質問第四九号

行政機関における生成AI活用時の指示語等の保存及び公文書管理に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和八年五月二十日

石垣 のりこ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   行政機関における生成AI活用時の指示語等の保存及び公文書管理に関する質問主意書

 デジタル庁は、生成AI利用環境「源内」の実装を進めており、令和八年五月から政府職員を対象とした大規模実証を実施することとしている。生成AIについては、文書作成、画像生成、情報整理等において一定の有用性がある。一方、その生成物については、入力する指示語や修正指示の内容により結果が大きく左右される特性がある。

 陸上自衛隊第一師団第一普通科連隊は令和八年四月二十九日、新しいロゴマーク(以下「当該ロゴ」という。)をSNSで公開した。その後、好戦的等の批判が続出したことを受け、同連隊は当該ロゴの使用を中止するとし、投稿を削除した。同年五月三日付けの毎日新聞配信記事によれば、当該ロゴは、隊員が生成AI「ChatGPT」に対し、「ゾウ」、「マンモス」、「かっこいい」、「青い炎」、「擬人化」、「自衛隊」といった指示語を入力して作成したとされている。また、当該ロゴは、同報道において例示された指示語のみでは生成が困難とみられるドクロ、鎖、小銃等の表現が含まれ、また、タイの国境警備警察に関連したとみられるロゴと酷似しており、「著作権を侵害しているのでは」との指摘もあったとされている。そのため、実際に入力された指示語や修正指示、参照された画像については、検証のための重要な情報となる。

 しかし、行政機関において生成AIを活用した場合、入力した指示語、修正指示、参照画像、生成履歴(以下「指示語等」という。)が、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号。以下「公文書管理法」という。)に規定する行政文書として整理・保存されるか必ずしも明らかではない。

 生成AIによる生成物の作成過程も行政意思形成過程又は政策形成過程の一部になり得るものである。事後検証の可能性、説明責任の確保、著作権その他知的財産権上の問題への対応等、行政の適正性確保の観点から、指示語等についても一定の記録保存が必要と考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 行政機関において生成AIを活用した場合、入力した指示語等は、公文書管理法に規定する行政文書に該当し得ると考えるが、政府の認識を示されたい。

二 生成AIによる生成物の作成過程も行政意思形成過程又は政策形成過程の一部になり得ると考えるが、政府の認識を示されたい。

三 行政機関において生成AIを活用した場合、指示語等について、保存義務、記録基準又は管理基準を定めているか示されたい。定めている場合、その内容を示されたい。

四 政府は、生成AIを活用して当該ロゴを作成した際の指示語等を保存しているか示されたい。保存している場合、保存の根拠及び保存期間を示されたい。保存していない場合、事後検証の可能性及び説明責任の確保の観点から問題があると考えるが、政府の認識を示されたい。

五 行政機関における生成AIの活用について、事後検証の可能性、説明責任の確保、著作権その他知的財産権上の問題への対応等、行政の適正性確保の観点から、指示語等を行政文書として保存の対象とすべきと考えるが、政府の認識を示されたい。

六 行政機関における生成AI活用時の記録保存のため、公文書管理法、行政文書の管理に関するガイドライン及び各行政機関における行政文書の管理規則等の整備を行う必要があると考えるが、政府の認識を示されたい。必要があるとする場合、今後の制度、ガイドライン及び管理規則等の整備方針を示されたい。

  右質問する。