質問主意書

第221回国会(特別会)

質問主意書

質問第四五号

EVモーターズ・ジャパン製のEVバスに係る安全性の確保及び補助金制度の適正性等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和八年五月十五日

石垣 のりこ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   EVモーターズ・ジャパン製のEVバスに係る安全性の確保及び補助金制度の適正性等に関する質問主意書

 大阪市高速電気軌道株式会社(以下「大阪メトロ」という。)は令和八年三月三十一日、株式会社EVモーターズ・ジャパン(以下「当該事業者」という。)が製造したEVバス(以下「当該車両」という。)について、「求める安全性と長期的な安定性を確保できる方法・体制を確立することは困難であると判断し」、今後使用しない旨公表した。同年四月十四日公開の産経新聞ウェブサイトは、大阪メトロが当該車両の導入時に交付された補助金を返還する方針を株主の大阪市に伝えた旨報じた。また、当該車両を導入した大阪メトロ以外のバス事業者等においても、当該車両の運行停止又は使用見合せを決定している。

 一方、当該事業者は令和八年四月十四日、「民事再生手続開始の申立てに関するお知らせ」を公表し、民事再生手続を開始した。これにより、当該事業者に対する責任追及及び損害補償請求が困難となり、当該車両を導入したバス事業者等が過大な損害を被る可能性がある。

 当該車両の不具合については、当該事業者において修理等の対応が行われているが、その実効性には疑義がある。例えば、大阪府第八回新モビリティ導入検討協議会「資料2新モビリティ導入に向けた検討状況について」(令和八年三月二十六日)によれば、当該事業者が不具合対応を行ったとする車両の走行実験を同年二月に行った際にラテラルロッド取付部が破断している。また、同事案が当該車両の安全性に対する信頼を損なう結果となり、運行停止又は使用見合せの判断の一因になったとされている。このような状況に照らせば、当該事業者による不具合対応の完了のみをもって当該車両の安全性が十分に確保されると評価することには慎重であるべきであり、行政による実効的な確認が求められると考える。

 また、当該車両に係る検査及び認証手続の適正性についても疑義がある。テレ朝NEWSは令和八年四月二十五日、バスの扉の開放装置試験を実際に行っていないにもかかわらず、申請上は行ったとしていたことについて、当該事業者の社員が社内会議で指摘している映像を報じた。同社員の指摘が事実である場合、認証手続に瑕疵があったと考えられる。事実を明らかにせずに当該車両の使用を認めたことは、補助金制度の信頼性を大きく損なわせることにつながると考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 政府は、当該車両に関する不具合の発生状況及びその内容について、どのように把握しているか示されたい。

二 当該車両について、運行停止又は使用見合せを行っているバス事業者等の数及びその理由を把握しているか示されたい。把握している場合、その内容を示されたい。

三 当該車両の導入に係る補助金について、運行停止又は使用見合せとなった場合の返還義務の発生要件に係る規定を示されたい。

四 安全上の問題を理由として運行停止又は使用見合せを行った場合においても、補助金の返還を求めるか示されたい。求める場合、その理由を示されたい。

五 大阪メトロと同様に、他のバス事業者等が補助金を基に当該車両を導入した場合、バス事業者等ごとに補助金返還の取扱いが異なることはあるか示されたい。異なることがある場合、その判断基準を示されたい。

六 バス事業者等が補助金返還の負担を理由に、安全上問題のある車両の使用を継続する可能性について、政府の認識を示されたい。また、この観点から補助金返還に係る制度の見直しを行う必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

七 公共交通機関における安全確保の観点から、政府は、安全上問題のある車両の使用継続について、どのような対応を求めるか示されたい。

八 当該事業者が当該車両の不具合対応を完了した場合、政府は、その安全性を独自に検証しているか示されたい。検証していない場合、その理由及び当該事業者の説明をもって安全性が確保されていると判断する根拠を示されたい。

九 当該事業者の不具合対応に係る説明のみに依拠することなく、政府が実車走行による検査その他の方法により安全性を確認する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

十 当該車両に係る検査及び認証手続の適正性に関する疑義について、前記映像の事実確認を行うとともに、政府が把握している手続上の問題点を示されたい。

十一 前記の不具合対応の実効性、検査及び認証手続の適正性に係る疑義について、事実関係の調査を行う考えはあるか示されたい。

十二 当該車両について必要な検査が未実施だった場合又は不適切な申請があった場合、現行の認証・検査制度は適切に機能していたと言えるか、政府の認識を示されたい。

十三 補助金交付及び車両認証に係る審査における申請内容の真偽について、政府はどの範囲まで確認する責任を負うか示されたい。

十四 不適切な申請を見抜けなかった場合の行政上の責任をどのように整理しているか示されたい。

十五 当該事業者が民事再生手続中であることによって、十分な責任追及及び損害補償請求が困難となり、当該車両を導入したバス事業者等が過大な負担を強いられる可能性について、政府の認識及び対応方針を示されたい。

十六 当該車両について、必要な検査の未実施又は不適切な申請等の事実が認められた場合、当該事業者に対して、どのような措置(認証取消し、行政処分、刑事告発等)が可能か示されたい。

十七 車両認証について、品質、安全性及び事業継続性に関する審査を強化する必要性があると考えるが、政府の見解を示されたい。

十八 車両製造事業者の民事再生手続時における安全性の確保やリスク分担の在り方について、制度的な検討を行う考えはあるか示されたい。

  右質問する。