第221回国会(特別会)
|
質問第四二号 旧姓使用の法制化及び選択的夫婦別姓制度に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和八年五月一日 高良 沙哉
参議院議長 関口 昌一 殿 旧姓使用の法制化及び選択的夫婦別姓制度に関する質問主意書 法務省法制審議会総会は一九九六年二月二十六日、「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申した。同要綱において、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。」とされ、選択的夫婦別姓制度の導入が提言された。 しかし、「自由民主党・日本維新の会連立政権合意書」(二〇二五年十月二十日)において、「旧姓使用に法的効力を与える制度を創設する」(以下「旧姓使用の法制化」という。)とされたことを受け、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた議論は後退したと思料する。二〇二六年三月十三日に閣議決定された「第六次男女共同参画基本計画」においては、「婚姻により氏を変更した人が不便さや不利益を感じることのないよう、旧氏の単記も可能とする法制化を含めた基盤整備の検討を含め、旧氏使用の更なる拡大やその周知に取り組む。」と明記された。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 夫婦同氏制度の下で法律婚をする場合、氏の変更によって人格権(日本国憲法第十三条)を、法律婚を選択できないことによって婚姻の自由(日本国憲法第二十四条)を侵害される人々がいる。旧姓使用の法制化は、夫婦の戸籍名を同氏にするという点で現行の夫婦同氏制度と同一であり、根本的な解決策にならない。選択的夫婦別姓制度の導入を求める人々の権利保障について、政府の見解を示されたい。 二 厳格な本人確認に用いられるパスポート、運転免許証、マイナンバーカード等の公的書類(以下「本人確認書類」という。)への旧姓併記はこれまでも認められてきた。高市早苗内閣総理大臣は二〇二六年三月二日の衆議院予算委員会において、「単記を可能とすることで何か新しいリスクが生まれるということは、これは考慮しなきゃいけませんので、厳格な本人確認に用いられる書類(略)には併記を求めるといった検討、これが当然必要になると考えております。」と答弁した。 旧姓使用の法制化の後も、本人確認書類における旧姓の記載が併記にとどまる場合、現状から変化がないと考える。旧姓使用の法制化により、本人確認書類における旧姓の記載は、現状と比較してどのような違いが生ずるか、政府の見解を示されたい。 三 第六次男女共同参画基本計画における「旧氏の単記も可能とする法制化を含めた基盤整備の検討」について、旧姓使用の法制化によって様々な場面で旧姓の単記が可能になれば、法的に認められた氏が二つになり混乱を招く可能性がある。一九九六年の法制審議会総会において、旧姓の通称使用は制度として不徹底であり混乱を招くとされ、選択的夫婦別姓制度の導入が答申された。混乱を招くとされた旧姓の通称使用をあえて推進する理由を示されたい。また、想定される混乱への政府の対策を示されたい。 四 旧姓使用の法制化により、行政、金融、医療等の様々な現場において、システムの整備や調整等が必要になると予想される。システムの整備や調整に掛かる費用について、官民それぞれの見込額を示されたい。 五 選択的夫婦別姓制度は、別姓の選択肢を設けるものであり、全ての者に別姓を強制するものではない。また、離婚・再婚や国際結婚など、家族の中で子と親の氏が異なるケースは珍しくないが、家族の絆や子の利益に具体的な影響はなく、夫婦同氏制度により守られる法益は不明であると思料する。選択的夫婦別姓制度が実現しない理由及び同制度の導入に当たっての障害について、政府の見解を示されたい。 六 選択的夫婦別姓制度が導入されないことにより、法律婚を解消して事実婚を選ぶカップルや法律婚を諦めるカップルが存在し続けることになる。家族の一体化を主張して同制度の導入を拒むことにより、引き離される家族が存在する矛盾について、政府の見解を示されたい。また、同制度の導入は、同氏を選ぶカップルには影響がないと考えるが、政府の見解を示されたい。 七 国連女性差別撤廃委員会は二〇二四年十月二十九日、日本政府に対し、女性が婚姻後も婚姻前の姓を保持できるようにするために、夫婦の氏の選択に関する法規定を改正するよう、四回目の勧告を出している。選択的夫婦別姓制度の導入によって、法律婚を選択できる者が増え、国際的にも国内的にも戸籍上の氏と使用する氏が同一となり、別姓を望む人々が抱える不利益が解消される。同制度を早期に導入すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |