質問主意書

第221回国会(特別会)

質問主意書

質問第三五号

自由民主党大会における陸上自衛官の歌唱と政治的中立性等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和八年四月十七日

石垣 のりこ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   自由民主党大会における陸上自衛官の歌唱と政治的中立性等に関する質問主意書

 陸上自衛隊中央音楽隊に所属する陸上自衛官が、第九十三回自由民主党大会に出席し、制服を着用した上で国歌を歌唱した(以下「当該行為」という。)。自衛隊は、その性質上、厳格な政治的中立性が求められる組織であり、隊員については、国民から特定の政党との結び付きを疑われることがないよう、慎重な行動が求められる。

 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第六十一条第一項では、隊員の服務として政治的行為の制限が規定されている。同項中の「政治的目的」については自衛隊法施行令(昭和二十九年政令第百七十九号)第八十六条において、「政治的行為」については第八十七条において、それぞれ規定されている。また、制服の着用については、自衛隊法第五十八条第二項及び自衛官服装規則(防衛庁訓令第四号)第六条に規定されており、着用は公的性格を強く有するものである。

 当該行為については、イベント会社その他第三者からの依頼に基づき、出演料その他の経済的利益が発生している可能性も否定できない。経済的利益が発生している場合、兼業規制及び服務管理の観点からも事実関係の確認が必要と考える。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 当該行為は、公務に当たるか、それとも私的活動に当たるか示されたい。公務に当たる場合、その法的根拠及び判断過程を示すとともに、政党が主催する行事であったことをどのように評価したか示されたい。また、当該行為が自衛隊の広報又は儀礼活動の範囲に含まれると判断した場合、その理由を具体的に示されたい。

二 当該行為と自衛隊法第六十一条第一項の関係について、政府はどのような整理を行ったか示されたい。また、当該行為が同項の「政治的目的」及び「政治的行為」に該当しないと整理する場合、その理由を具体的に示されたい。さらに、当該行為が自衛隊の服務規律に違反しないと整理する場合、その理由を具体的に示されたい。

三 自衛官服装規則第六条は、「自衛官は、(略)常時制服等を着用しなければならない。」、ただし、休暇等の一定の場合には「制服等を着用しないことができる。」と規定している。公務ではない私的活動において、自衛官は制服等を着用する義務があるか、政府の見解を示されたい。

四 自衛官が公務ではない私的活動の際に制服等を着用することは、当該私的活動が自衛隊と関連する公務であるとの誤認を国民に生じさせるおそれがある。政府は、現行の自衛隊法及び自衛官服装規則の規定によって当該誤認を防止することが可能と判断しているか、見解を示されたい。また、自衛官が私的活動に従事する場合には、自衛隊の政治的中立性に対する国民の信頼を確保する観点から、制服等の着用を禁止する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 当該行為は、政府又は自衛隊が自由民主党を支持しているとの誤認を国民に生じさせると考えるが政府の見解を示されたい。また、当該行為に限らず、自衛官が制服等を着用し特定の政党の行事に出席することは、自衛隊の政治的中立性に対する国民の信頼を損なうおそれがあると考えるが、政府の見解を示されたい。

六 当該行為を受け、今後、自由民主党以外の政党から自衛官の出席又は出演の要請があった場合、政府は同様に対応する方針か示されたい。異なる対応をする場合、その判断基準を示されたい。また、他の政党の行事に自衛官を出席又は出演させた事例を示されたい。

七 政治的性格を有する団体の行事への自衛官の出席又は出演について、不適当として許可しなかった事例がある場合、その概要及び許可しなかった理由を示されたい。また、同事例と当該行為との相違点をどのように整理しているか示されたい。

八 当該行為に関し、イベント会社その他第三者を通じた依頼の有無、出演契約の主体、出演料その他の経済的利益の有無について示されたい。また、経済的利益が発生している場合、同利益は自衛官個人、当該自衛官が所属する部隊又は国庫のいずれに帰属するか示されたい。さらに、当該行為について、兼業の許可の要否、その判断の過程及び第三者を介することによる兼業規制の回避の有無を具体的に示されたい。

九 小泉進次郎防衛大臣は、令和八年四月十四日の参議院外交防衛委員会において、「自衛官が党大会で歌唱することについて、私は事前に報告を受けておりませんでしたが、担当部局においては、自衛隊法上の評価について事務的に確認し、今回の自衛官の歌唱については自衛隊法に違反するものではないと確認したものと承知をしています。」と答弁した。同答弁における「担当部局」及び「自衛隊法上の評価」を行った責任者の役職名を示されたい。

十 前記九の答弁に関し、防衛大臣に事前の報告がなかったことについて、服務管理又は指揮監督上の問題はないか、政府の見解を示されたい。また、「自衛隊法上の評価」を含む当該行為に係る防衛省の意思決定過程において、防衛副大臣及び防衛大臣政務官がどのように関与したか示されたい。あわせて、文民統制の観点及び政治的影響を排除する観点も含め、どのように適切性を確保したか、政府の見解を示されたい。

十一 前記自由民主党大会に出席した参議院議員が、会場で撮影したと思われる写真をSNSに投稿している。同写真には、当該自衛官、陸上自衛隊中央音楽隊副隊長及び同議員本人の三名が写っている。

 同副隊長は同大会に出席していたか示されたい。当該自衛官の上官に当たる同副隊長が出席していた場合、当該行為は当該自衛官個人の私的活動とは言えず、防衛省・自衛隊が組織として容認又は関与していたと評価され得るが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。