質問主意書

第221回国会(特別会)

質問主意書

質問第三一号

原子力事業者における内部通報制度及び公益通報者保護制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和八年四月八日

石垣 のりこ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   原子力事業者における内部通報制度及び公益通報者保護制度に関する質問主意書

 経済産業省及び原子力規制委員会は令和八年一月、中部電力株式会社(以下「中部電力」という。)に対し、浜岡原子力発電所の地震動の評価に当たって不適切な方法で実施をしていた事案(以下「当該事案」という。)について報告を求めた。これを受け、中部電力は令和八年三月三十一日、「浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案に関する報告書」(以下「報告書」という。)を提出した。報告書によれば、地震動評価に係る算定プロセスが明確になっていないなど内部からの複数回の指摘(以下「当該指摘」という。)があったにもかかわらず、審査資料等が改められることはなかったとされている。

 原子力発電所における事故の発生は国民の生命・身体に重大な影響を及ぼし得るため、その安全性に関する情報の適切な共有及び是正措置の確保は極めて重要である。しかし、当該指摘に対し是正が図られなかったことは、中部電力における内部通報制度の実効性や通報者の保護の在り方に重大な疑義を生じさせるものである。特に、公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)の趣旨に照らせば、当該指摘は、公益通報として適切に取り扱われるべきと考えられる。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 当該指摘がなされていたにもかかわらず是正されなかったことは、中部電力の内部通報制度が実効的に機能していなかった可能性があることを示していると認識しているか、政府の見解を示されたい。

二 原子力事業者における内部通報制度について、現行制度上どのような体制整備が求められているか、具体的に示されたい。

三 当該指摘は、公益通報者保護法上の公益通報に該当し得ると考えるが、政府の見解を示されたい。公益通報に該当する場合、どのような保護の対象となるか、具体的に示されたい。

四 当該指摘を行った者に対し、不利益な取扱い(配置転換、降格、解雇等)がなされていないか、政府として把握している事実関係を示されたい。また、事実関係を把握していない場合、その理由及び今後の調査の必要性について、政府の認識を示されたい。

五 当該指摘が是正に結びつかなかったことを受けて、原子力分野における内部通報制度及び公益通報者保護制度に課題があると認識しているか、政府の見解を示されたい。

六 原子力分野においては一般産業以上に高度な安全文化が求められるにもかかわらず、当該事案において内部通報制度が機能しなかった要因を政府としてどのように分析しているか示されたい。

七 当該事案を踏まえ、原子力事業者に対し、内部通報制度の運用状況に関する点検又は指導を行う考えがあるか示されたい。

八 通報者が、事業者の内部に対して不正を指摘するのではなく、経済産業省や原子力規制委員会に対して直接不正を通報できる制度の整備を検討する考えがあるか示されたい。

九 当該事案は単なる個別事業者の問題にとどまらず、原子力分野の安全を支える制度基盤そのものに関わるものである。内部通報制度及び公益通報者保護制度の実効性確保について、政府の見解を示されたい。

  右質問する。