質問主意書

第221回国会(特別会)

質問主意書

質問第二七号

「外国人との秩序ある共生社会の実現」に向けた日米地位協定改定の必要性等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和八年四月一日

高良 沙哉


       参議院議長 関口 昌一 殿



   「外国人との秩序ある共生社会の実現」に向けた日米地位協定改定の必要性等に関する質問主意書

 高市早苗内閣総理大臣は二〇二六年二月二十日の施政方針演説において、「外国人との秩序ある共生社会の実現」を掲げ、「一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況が生じていることに配慮しなければなりません。」と発言している。国際化が進んだ現代の多文化共生社会において、同演説が不当な偏見を生み、外国人の排除につながることを危惧する。他方、同演説は、在日米軍人に特権を付与してきた日米地位協定に関する問題に光を当て、同協定の改定への道を開くものとも解釈できる。

 在日米軍基地周辺に居住している国民は、在日米軍人による違法行為の不安に長年さらされている。犯罪事件の処理に当たり在日米軍人に特権を与え、違法行為を増長させている日米地位協定に関する問題は深刻である。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 「一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況」に、在日米軍人による違法行為や事件、事故も含まれるか示されたい。含まれない場合、非常に不公平と思料するが、含まれない理由を示されたい。

二 前記演説では、外国人による「問題ある行為に毅然と対応する」と発言していることから、政府は、在日米軍人による度重なる違法行為に対しても「毅然と対応する」ものと解釈する。今後の在日米軍人による犯罪事件の処理をどのように厳格化、迅速化するか示されたい。

三 在日米軍人による基地外での違法行為を含む「違法行為やルールからの逸脱」に対処する手続について、日米地位協定及び日米地位協定に伴う刑事特別法の規定は、日本が「毅然と対応する」というには程遠い。例えば、日米地位協定第十七条五(c)は、「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行うものとする。」と規定しており、米国の協力がなければ、違法行為の疑いのある在日米軍人に対する捜査を行うこともできない。同規定については、一九九五年十月の「刑事裁判手続に係る日米合同委員会合意」において、「合衆国、殺人又は強姦という凶悪な犯罪の特定の場合に日本国が行うことがある被疑者の起訴前の拘禁の移転についてのいかなる要請に対しても好意的な考慮を払う。」として運用改善が合意されている。しかし、依然として、身柄引渡し、捜査協力は、米国の裁量判断に委ねられており、毅然とした対応とは程遠いと思料するが政府の見解を示されたい。違法行為は、国籍の違いに関わらず平等に対応しなければならないと考える。違法行為の疑いのある在日米軍人に特権を与える規定は、日本国籍者やその他の外国人との間に不公平感を生じさせるものである。「違法行為やルールからの逸脱」に「毅然と対応する」ため、まずは、在日米軍人の「違法行為やルールからの逸脱」につながってきた日米地位協定の改定が急務と考えるが、政府の見解を示されたい。

四 在日米軍の整理縮小が望まれるが、在日米軍人が日本に駐留する間は「秩序ある共生社会の実現」を図るため、日米地位協定による不公平感をどのように改善するか具体的に示されたい。

  右質問する。