第220回国会(常会)
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質問第一号 旧長生炭鉱水没事故の遺骨返還に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和八年一月二十三日 小池 晃
参議院議長 関口 昌一 殿 旧長生炭鉱水没事故の遺骨返還に関する質問主意書 一九四二年二月三日に山口県宇部市沖の旧長生炭鉱で起きた水没事故では百八十三人が犠牲となり、そのうち百三十六人が朝鮮半島から強制動員等された人々だった。犠牲者の遺骨収容のために市民団体が募金を集め、炭鉱の入口を掘り出し、二〇二五年八月にはダイバーが坑道内の潜水調査を行い遺骨を発見・収容した。しかし、発見された遺骨のDNA鑑定はいまだに行われていない。外務省は二〇二五年十二月二十三日、「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」(以下「刻む会」という。)との意見交換会において、遺骨のDNA鑑定については韓国政府と丁寧な意思疎通を行っているが、結論はいまだに出ていない旨回答した。 日韓・韓日議員連盟合同総会は二〇二五年十一月十六日、共同声明において、「長生炭鉱などなお両国間に存在する懸案事項については、被害当事者の名誉と尊厳が回復されるように引き続き真摯な姿勢でその解決に向け対話を重ねていくことを求める」、「長生炭鉱遺骨発掘に関連し、DNA情報を両国が共有し、身元確認を進められるよう、両国の国会が積極的に乗り出す」こととしたところであり、日韓関係の前向きな改善のためにも両国政府の取組の加速が期待されている。 高市早苗内閣総理大臣は、二〇二六年一月十三日の日韓首脳会談後の共同記者発表において、「長生炭鉱にて発見された御遺骨に関しては、DNA鑑定についての協力に向け、日韓間の調整が進展していることを歓迎いたします。」と表明した。李在明大統領は、日韓両国が遺骨の身元確認のためのDNA鑑定を行う、具体的な事柄については両国間で実務協議を行う旨表明した。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 八十年以上も冷たい海底に眠る遺骨を、可能な限り速やかに遺族の元に届けるためには、日韓両国が協力してDNA鑑定を行うことが必要である。二〇二六年一月十三日の日韓首脳会談後の共同記者発表において表明された遺骨のDNA鑑定に係る日韓間の調整及び実務協議の具体的内容を示されたい。 二 石破茂内閣総理大臣(当時)は二〇二五年四月七日の参議院決算委員会において、遺骨収集について危険があることを政府が承知していながら自己責任と言うわけにはいかず、作業について安全を期すことは当然であり、どういうことが必要か政府が責任を持って判断したい旨答弁した。福岡資麿厚生労働大臣(当時)は同年五月二十日の参議院厚生労働委員会において、「落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査、発掘することにつきましては、安全性に懸念があり、現時点では困難であると考えているものの、総理の発言の趣旨を踏まえまして、専門的な知見を必要とする本件の性質を踏まえた対応を検討」すると答弁したが、その後の進展はない。政府は調査、発掘の「安全性に懸念」があるとしているが、刻む会が求めているボーリング調査や水中ドローンによる調査、ピーヤ内の障害物除去自体の「安全性に懸念」はない。むしろ、ボーリング調査等は、潜水調査の安全性を高めるなど懸念の払拭に資するものであり、実施すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 三 水没事故の犠牲者が、戦争に向けた無謀で危険な海底炭鉱の作業に国策として従事させられた植民地支配と戦争の犠牲者であることは間違いのない事実である。八十年以上も深い海底に沈む犠牲者の遺骨を一刻も早く遺族の元に返すことが政府の責任である。刻む会は、「長生炭鉱遺骨収容プロジェクト二〇二六」に係る必要経費として、障害物除去費用や潜水調査費用など合わせて約三千五百万円と積算している。政府として財政支援を行い、遺骨収集を進めるべきと考えるが、見解を示されたい。 四 二〇二五年二月に開催された犠牲者追悼集会には、韓国から百人を超える遺族や関係者が訪れた。また、韓国での世論の高まりもあり、初めて韓国政府関係者も参加した。犠牲者追悼集会に韓国政府関係者が参加したことを政府は把握しているか示されたい。 五 日韓政府が協力して遺骨のDNA鑑定を行うことが具体化される中、二〇二六年二月七日に宇部市の長生炭鉱追悼ひろばで開催される犠牲者追悼集会に政府も出席すべきと考えるが、見解を示されたい。 右質問する。 |