第219回国会(臨時会)
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内閣参質二一九第四八号 令和七年十二月二日 内閣総理大臣 高市 早苗
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員辻元清美君提出高市内閣総理大臣の「台湾有事」答弁における台湾の帰属及び国家性の認識並びに台湾の「我が国と密接な関係にある他国」該当性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員辻元清美君提出高市内閣総理大臣の「台湾有事」答弁における台湾の帰属及び国家性の認識並びに台湾の「我が国と密接な関係にある他国」該当性に関する質問に対する答弁書 一から三まで並びに四の4及び8について 我が国は、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)第二条に従い、台湾に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しており、台湾の法的地位に関して独自の認定を行う立場にない。我が国政府の立場は、昭和四十七年の日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明にあるとおりである。 また、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の一貫した立場である。 四の1、2及び5から7まで並びに五の1について 御指摘の「我が国と密接な関係にある他国」については、一般に、外部からの武力攻撃に対し、共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものと考えており、また、いかなる国がこれに当たるかについては、あらかじめ特定される性質のものではなく、武力攻撃が発生した段階において、個別具体的な状況に即して判断されるものであることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。なお、我が国の平和と安全を維持する上で、日米同盟に基づく米軍の存在及び活動は、極めて重要であり、同盟国である米国は、基本的に「我が国と密接な関係にある他国」に当たるものと考えている。他方、米国以外の外国が、これに当たる可能性は、現実には、相当に限定されると考えられるが、いずれにせよ、個別具体的な状況に即して判断されることになる。 また、一般に、いかなる事態が存立危機事態に該当するかについては、事態の個別具体的な状況に即して、政府がその持ち得る全ての情報を総合して客観的かつ合理的に判断することとなるものであり、それ以上の詳細については、事柄の性質上、お答えすることは差し控えたい。 四の3について 武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第二条第四号において、存立危機事態は、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう」と規定されているところ、いかなる国が「我が国と密接な関係にある他国」に当たるかを判断せずに、存立危機事態を認定することはできない。 四の9について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般に、いかなる事態が存立危機事態に該当するかについては、事態の個別具体的な状況に即して、政府がその持ち得る全ての情報を総合して客観的かつ合理的に判断することとなるものであるというのが政府の見解である。 五の2について お尋ねの「武力の行使」の三要件を満たす場合には、武力攻撃を受けた国からの要請又は同意に基づき、国際法上の根拠が集団的自衛権となる「武力の行使」を行うことが認められる。 |