質問主意書

第219回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一九第三九号
  令和七年十一月二十一日
内閣総理大臣 高市 早苗


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員山添拓君提出東京二十三区の高額な火葬料金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山添拓君提出東京二十三区の高額な火葬料金に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、「火葬場の経営・管理に関する指導監督について」(令和七年十月三十一日付け健生衛発一○三一第二号厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課長通知。以下「指導監督通知」という。)において、「火葬場の経営が利益追求の手段となって、利用者が犠牲になるようなことがあってはならず、誰もが火葬場を利用できる必要がある」と示しているとおりである。

二について

 御指摘の「火葬を行うことによる「受益者」」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、「火葬」は、墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号。以下「法」という。)第一条に規定するとおり、「国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われる」必要があるものであり、また、一についてで述べたとおり、指導監督通知において、「火葬場の経営が利益追求の手段となって、利用者が犠牲になるようなことがあってはならず、誰もが火葬場を利用できる必要がある」と示しているところである。

三について

 御指摘の「現行法」とは、「墓地埋葬法を指す」ものであるが、「現行法の運用で可能」との発言は、お尋ねのように「同法のいずれの条文に基づく、どのような権限行使によって指導等ができる」かについて具体的に念頭に置いたものではなく、火葬場を誰もが利用することができるよう、例えば、火葬場に対して、火葬料金の設定の考え方や根拠等について明らかにするよう求めることや、火葬料金の額が火葬場の経営及び管理に係る費用に比して明らかに高額な場合に一定の指導を行うことは、現行法令に反するものではないとの趣旨のものである。

四について

 御指摘の「火葬料金が法外に高い場合」の状況等は様々であると考えられ、お尋ねに一概にお答えすることは困難である。

五について

 御指摘の「法律上妨げられない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「条例」が法令等に違反しないか否かについては、個別具体の内容等によるものと考えられ、一概にお答えすることは困難である。なお、一般論として申し上げれば、条例により、火葬場を誰もが利用することができるよう、御指摘の「火葬料金」に関して一定の規制を行うことは、火葬等が支障なく行われることを旨とする法の趣旨目的を損なわない限りにおいて、「法律の範囲内で条例を制定することができる」と定める憲法第九十四条に必ずしも反するものではないと考える。なお、その規制の具体的内容については、これにより一定の制限がなされることとなる営業の自由との関係で、必要性や合理性の面から慎重に検討されるべきものと考える。

六について

 お尋ねについては、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十四の規定による「事務の委託」として可能である。

七について

 御指摘の「要望や問合せ」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、例えば、厚生労働省において、東京都から、御指摘の「所信表明」に関する情報の提供は受けているところ、これに対する特段の「回答」は行っていない。

八について

 お尋ねについては、指導監督通知において、火葬場の「財務状況の把握」に関し、「火葬場経営以外の事業を行っている場合には、火葬場の経理・会計が当該他の事業と区分されており、火葬場の経営・管理に必要な費用の範囲内で運営されていることについて、財務関係書類等により確認できるようになっていること」と示しているとおりである。