第219回国会(臨時会)
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内閣参質二一九第二八号 令和七年十一月十四日 内閣総理大臣 高市 早苗
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員伊勢崎賢治君提出ジェノサイドの罪の慣習国際法化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員伊勢崎賢治君提出ジェノサイドの罪の慣習国際法化に関する質問に対する答弁書 一について 国際司法裁判所が千九百五十一年五月二十八日に発表した「集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約に対する留保に関する勧告的意見」は、御指摘のとおり、「the principles underlying the Convention are principles which are recognized by civilized nations as binding on States, even without any conventional obligation」と判示していると承知しているが、この意見における「the principles underlying the Convention」の意味するところについて、様々な議論があると承知しており、お尋ねについて断定的にお答えすることは困難である。その上で、集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約前文の「集団殺害が、国際連合の精神および目的に反し、かつ、文明世界から強く非難された国際法上の犯罪である」との点については、一般論として、現在においては、国際社会において広く受け入れられているものと認識しており、政府としては、例えば、令和六年二月八日の衆議院予算委員会において、上川外務大臣(当時)が「ジェノサイドのような、国際社会全体の関心事であります最も重大な犯罪を犯した者が処罰をされずに済まされてはならないと考えているところでございます」と述べているとおりである。 二及び三について 御指摘のとおりである。 四について お尋ねの「認識した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、お尋ねの国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)決議第八百二十七号に対する投票態度は、政府として総合的に判断した上で決定したものである。 五及び六について お尋ねの「認識した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「ジェノサイド条約第二条及び第三条の規定」及び「Annexに提示された第四条二及び三の規定」の内容が慣習国際法として成立していたと言えるかを含め、お尋ねの安保理決議第八百二十七号に対する投票態度は、政府として総合的に判断した上で決定したものである。 七について 慣習国際法が成立するためには、諸国家の行為の積み重ねを通じて一定の国際的慣行が成立していること、すなわち一般慣行及びそれを法的な義務として確信する諸国家の信念、すなわち法的確信が存在することが必要であるが、平成六年時点で、御指摘の「ICTR規程第二条二及び三の規定」の内容が慣習国際法として成立していたと言えるかについては、様々な議論があると承知しており、断定的にお答えすることは困難である。 |