第219回国会(臨時会)
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内閣参質二一九第二一号 令和七年十一月七日 内閣総理大臣 高市 早苗
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員牧山ひろえ君提出食料品に係る消費税率をゼロ%とする提案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員牧山ひろえ君提出食料品に係る消費税率をゼロ%とする提案に関する質問に対する答弁書 一の1及び四について お尋ねの「可処分所得の増加効果」については、一般的に可処分所得は実収入から直接税、社会保険料などの非消費支出を差し引いた額、すなわち、手取り収入の額を指しており、食料品の消費税率の引下げが可処分所得の増減に影響を及ぼすわけではないため、御指摘の「食料品消費税ゼロ%」により、当該効果が生じるとは考えていない。 また、お尋ねの「消費全体への波及効果」について、「食料品消費税ゼロ%」とした場合の物価動向については、食料品を含む物品に係るコストや需要の変化といった様々な要素によって影響を受けるため、確たることをお答えすることは困難である。 これらのことから、「食料品消費税ゼロ%」を「可処分所得の増加」等を根拠として「経済成長戦略の一環」として位置付けることは考えていない。 一の2について 令和元年の消費税率の引上げ時におけるGDPへの影響については、令和六年十二月十八日の衆議院財務金融委員会において、加藤財務大臣(当時)が「二千十九年の十月の引上げにおいては、十二月期のGDPの落ち込みが見られたものの、その要因としては税率引上げのほかに台風や暖冬の影響も挙げられたということで、消費税だけを切り出して景気への影響を論じることは必ずしも適当ではない」と述べているところであり、消費税率の引下げによって生じる効果について確たることをお答えすることは困難である。 一の3について お尋ねの「物価抑制の確実性」及び「価格低下の有効性」の具体的な内容が明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。 二の1について 食料品の消費税率が引き下げられたとしても、事業者において、原材料費の高騰等により、経営上の判断から小売価格を据え置く場合も考えられることから、お尋ねの「食料品消費税ゼロ%による生産者・供給者への効果」について確たることをお答えすることは困難である。 二の2について 御指摘の「双方の要請を両立する解決策」については、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律(令和七年法律第六十九号)による改正後の食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律(平成三年法律第五十九号)において、御指摘の「原材料のコスト高が進行する中」にあっても、生産者が食品等を持続的に供給できるよう、令和七年五月三十日の参議院本会議において、小泉農林水産大臣(当時)が述べたとおり、「生産から販売に至るコスト指標」の作成や公表を通じて、「どれだけのコストが掛かっているのかを明確に」すること等により、「生産者」と「消費者」の双方の理解を得ながら、合理的な費用を考慮した価格形成を促すこととしている。 また、御指摘の「消費者が食料品の価格高騰に苦しまないようにするため」、現在、飲食料品の生産・加工・流通の各段階におけるコストの削減等を推進しているほか、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金において食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者への支援も行っているところである。加えて、今後は、同年十月二十一日の閣議における内閣総理大臣指示(総合経済対策の策定について)に基づき、物価高騰に係る対策も含め、経済対策を取りまとめることとしている。 三について お尋ねについては、令和七年六月十三日の閣議後記者会見において、加藤財務大臣(当時)が「消費税減税については、これまでも説明あるいは国会で答弁させていただいていますけれども、幅広い国民の負担軽減が可能との主張もありますが、高所得者や高額消費も含めて負担軽減がなされるため、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者支援という意味では効率性が乏しいということ、また全国の事業者において、新たな税率に対応するためのレジシステムの改修、新たな値段設定の検討など、様々な影響が生じるため、相当の準備期間が必要になることといったことをこれまでも申し上げてまいりました。また、現金給付については、どのような政策目的で何を支援されるのか、それによって制度設計が異なりますので、一概に申し上げることは困難でありますが、いずれにしても政策目的との関係、それを実現するために必要な期間やコストなどの関係をよく整理する必要があることなどに留意をしていく必要がある」と述べているとおりである。 |