第219回国会(臨時会)
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内閣参質二一九第二〇号 令和七年十一月七日 内閣総理大臣 高市 早苗
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員牧山ひろえ君提出物価高対策の緊要性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員牧山ひろえ君提出物価高対策の緊要性に関する質問に対する答弁書 一及び二について 足下で消費者物価は対前年比三パーセント程度で上昇する中、国民や事業者の方々は厳しい状況に置かれており、御指摘の「物価高対策」は喫緊の課題であると認識している。特に食料品などの価格上昇が続いていることによって、低所得者世帯などには相対的に物価上昇が影響しやすい可能性がある。お尋ねの「実態」については、例えば、令和七年九月の消費者物価指数の総合指数における対前年同月比の上昇率に対し、食料品の価格上昇の寄与度は六割程度を占めている。また、総務省の全国家計構造調査によると、低所得者世帯ほど、消費支出に占める食料品の割合が高い傾向にあり、食料品などの価格上昇の影響を受けやすいと考えられる。このため、食料品などの価格上昇が続いていることによって、国民は低所得者世帯を中心に大変厳しい状況に置かれていると認識している。 三について お尋ねの「「健康で文化的な最低限度の生活」が脅かされている状況」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、御指摘の「低所得家庭の子ども」については、こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十四号)に基づき、こども(こども基本法(令和四年法律第七十七号)第二条第一項に規定するこどもをいう。)の貧困に関する支援策の推進に取り組むとともに、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に基づき、生活に困窮する全ての国民に対し、健康で文化的な最低限度の生活に必要な保障を行っているところである。 四について 令和七年十月二十四日の所信表明演説において、高市内閣総理大臣が「この内閣が最優先で取り組むことは、国民の皆様が直面している物価高への対応です。暮らしの安心を確実かつ迅速に届けてまいります。」と述べたとおりである。 五について お尋ねの「物価高対策の効果に対する評価」については、例えば、令和七年十月一日の経済財政諮問会議の資料一「物価動向及び物価高対策の取組状況について」において、「消費者物価上昇率(総合、前年比)は、・・・電気・ガス料金の支援(七~九月使用分)により電気・ガスは低下に寄与している」こと及び「ガソリン価格(レギュラー、一リットル当たり)は、政策によって、百七十五円近傍で推移」していることを内閣府から報告しているところであり、御指摘の「想定された効果」については、令和六年度補正予算や令和七年度予算における関連施策の所期の効果が発現しているものと考えている。 六について お尋ねの「物価高を抑制する有効な手段」については、令和七年十月二十一日の閣議における内閣総理大臣指示(総合経済対策の策定について)の第一の柱である「生活の安全保障・物価高への対応」として、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金による対応や厳冬期の電気・ガス代の支援等、足下の物価高騰に係る対応策の具体的な内容を検討しているところである。 七について 政府としては、かねてから、消費税については、急速な高齢化を背景に社会保障給付費が大きく増大する中で、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置付けられていることから、消費税率の引下げについては、食料品に対する税率を含め、慎重な検討を要するものと考えているところ、国会での議論を受け、物価高騰に係る対策として消費税率を引き下げることについて改めて検討した結果、令和七年六月六日に衆議院予算委員会において、加藤財務大臣(当時)が「レジシステムの改修等々、様々な影響が生じるため、相当の準備期間が必要だ。また、高所得者や高額消費も含めて負担軽減がなされることになるため、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者への支援という意味では効率性に乏しいという点に留意する必要がある」と述べているとおりである。 八の1について お尋ねの「食料品に係る消費税(付加価値税)をゼロ税率又は非課税としている国における制度設計及び経済効果」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、御指摘の「物価高対策」として、食料品に関して、お尋ねの「ゼロ税率又は非課税」の措置を新たに採用した国における、当該措置の内容や物価高騰の抑制に係る効果を問うものであれば、当該措置の内容は各国における社会経済状況等に応じて様々であり、また、当該効果は内外経済状況等様々な要因の影響を受けていると考えられ、一概に申し上げることはできない。 八の2について お尋ねの「財政」への影響については、消費税の申告手続において、飲食料品に係る消費税額等の内訳までを申告いただく仕組みとはなっていないため、食料品に限定して税率を零パーセントにした場合の具体的な減収見込額についてお答えすることは困難であるが、軽減税率八パーセントを零パーセントとした場合の減収見込額を機械的に計算すると、国及び地方の合計で五兆円程度となる。なお、食料品を非課税とした場合については検討しておらず、お答えすることは困難である。 お尋ねの「消費者物価指数」及び「家計支出構造」への影響について、御指摘の「我が国が同様の制度を導入した場合」の物価動向については、食料品を含む物品に係るコストや需要の変化といった様々な要素によって影響を受けるため、政府として、確たることをお答えすることは困難である。 |