質問主意書

第219回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一九第五号
  令和七年十月三十一日
内閣総理大臣臨時代理        
国務大臣 木原 稔


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員塩村あやか君提出地方公共団体による介護職員の直接採用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員塩村あやか君提出地方公共団体による介護職員の直接採用に関する質問に対する答弁書

一、二及び七について

 御指摘の「地方公共団体が介護職員を直接採用するという方策」、「介護職員」の「公務員化」及び「介護サービスの主体を担う事業者が少ない地方公共団体においては、措置制度下のように国・地方公共団体の一般職員に準ずる給与等を保障した上で地方公共団体等が介護職員を採用する方策」については、現時点では具体的に検討及び評価は行っていないことから、これらの実施に当たっての御指摘の「詳細」な「課題」等についてお答えすることは困難であるが、例えば、「規制改革についての第二次見解」(平成十一年十二月十四日行政改革推進本部規制改革委員会公表)において、「多様な事業主体による多様なサービスの提供を確保することは、介護保険法の重要なねらいの一つ」及び「多様なサービス提供主体の参入を促し、介護サービスの供給量を増加させる」とされていること等を踏まえ、慎重な検討が必要であると考えている。

三について

 「財政的支援を行う考えはあるか」とのお尋ねについては、「地方公共団体が介護職員を直接採用する方策」の具体的な内容等によるため、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、お尋ねの「介護人材の定着・確保」については、令和七年五月二十六日の参議院決算委員会において、福岡厚生労働大臣(当時)が「担い手の確保は喫緊の課題だというふうに思います。そのために、新しく入っていただく方を増やすこととその定着支援を進めること、この両方に取り組んでいく必要がございます。厚生労働省では、累次にわたる処遇改善の取組を始め、ICTを活用した生産性向上の推進による介護現場の負担軽減、職場環境の改善、今、なかなか現場はもうそれ以上に忙しくというお話ありました。更なる改善するためにはどういうやり方があるのかも含めて検討を進めていくとともに、職員の方々のキャリアアップのための研修受講支援など、介護人材の確保に向けた総合的な対策を進めてまいりたいと思います。加えて、令和六年度補正予算に計上した賃上げに向けた支援なども実施してございます。さらに、介護のやりがいの発信であったり社会的評価の向上を図っていくこと、このことも重要でありますため、介護職などが主体となり、自らの声で仕事の魅力、やりがい、誇りを発信するコンテンツの企画、制作などを行い、それをプラットフォームで発信する、介護の仕事、魅力発信ポータルサイトで発信するなど、現場の最前線で活躍されている方の視点からその魅力を広く発信するなどの取組を行わせていただいています。こうした様々な取組を通じまして、人材確保に努めてまいりたいと思います」と答弁しているとおりである。

四及び五について

 お尋ねについては、一般論として、御指摘のような「地方における安定的な雇用の創出」及び「雇用先の倒産を始めとする将来への不安を払拭すること」のような「メリット」や可能性を否定するものではないが、いずれにせよ、一、二及び七についてで述べたとおり、慎重な検討が必要であると考えている。

六について

 御指摘の「介護に起因する労働生産性の低下や介護離職の発生による損失を減少させる」ためには、介護の受皿の整備、介護人材の確保、仕事と介護の両立支援等の総合的な対策に取り組むことが重要であり、これらの取組の一つとして、御指摘の「地方公共団体が介護職員を直接採用する方策を採る」ことについては、現時点では具体的に検討及び評価は行っていないことから、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、一、二及び七についてで述べたとおり、慎重な検討が必要であると考えている。